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【寒天】テイクアウトレスキュー2

文・撮影/長尾謙一 

イナゲル®パラパラご飯の素 
(素材のちから第39号より)

テイクアウトメニューをもっとおいしくしたい。

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せっかくの寿司も固まった酢飯にがっかりすることがある
寿司に使われる具材は生ものを使うことが多いため低い温度で扱われるが、ご飯は冷やすとくっつき硬くなる。テイクアウトの寿司メニューが抱えるこの矛盾を、寒天メーカーが開発した「パラパラご飯の素」が見事に解決する。

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テイクアウトメニューにとって〝ほぐれ〟は大きな課題だった。

ほどけるようにご飯がほぐれることで味わいを感じ、さらに香りも広がる

テイクアウトメニューの課題は、もともとテイクアウトを専門に展開してきた業態ではすでに解決できていることだろうが、イートインを基本にしてきた店にとっては、いきなり出された大きな課題だろう。

前号掲載の〝テイクアウトレスキュー〟で、ご飯の〝ほぐれ〟、〝サラダのドリップ〟、〝肉の艶〟などテイクアウトメニューの課題解決の提案をさせていただいたが、ご参考になっただろうか。

さて、その中で炊飯米や炒めたご飯、炒めた麺の〝ほぐれ〟に「パラパラご飯の素」をご紹介したが、その後、この商品を使いその効果を体験するにつれて見つけるものがたくさんあった。

特にご飯のほぐれというものは、メニューの見た目を左右する大きな要素だ。しかし、それだけではない。ご飯の〝ほぐれ〟は味にも大きく影響する。口の中でスムーズにほぐれることによって、心地よく味わいを感じ香りが広がる。ほぐれが悪いのでは、味も香りも感じられないのだ。

テイクアウトメニューはレンジアップして食べるものもある。冷たいご飯でも温かくすれば風味は上がるし、〝ほぐれ〟も少しはよくなるだろう。しかし、レンジアップしないメニューもある。たとえば生の素材を楽しむ寿司メニューだ。

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さらに、こうしたちらし、握り、巻き寿司などのメニューは低い温度で管理されるため、冷蔵のショーケースに置かれる。

時々シャリ玉と寿司ネタに一体感のない握り寿司を見る。冷たい寿司を口の中に入れると、たちまちシャリと寿司ネタに分かれ、食感はシャリの硬さに支配されてしまう。こうなるとネタの味は分からない。もし、このタイミングでシャリがほどけるようにほぐれたら、きっとおいしいに違いない。

ご飯の〝ほぐれ〟は、おいしさの大きな要素だ。今回は〝テイクアウトレスキュー〟の続編として、「パラパラご飯の素」の効果をさらに掘り下げたい。

「パラパラご飯の素」で、テイクアウト寿司の商品価値を上げる。

酢飯がほぐれる重要性を知る

テイクアウトの寿司を何度も食べるにつれ、寿司ネタや具材と酢飯の一体感が寿司メニューにとっていかに大切かが分かる。それでは「パラパラご飯の素」を使って五目ちらし寿司をつくってみよう。

ご飯に対して0.3%の「パラパラご飯の素」を溶かした寿司酢をご飯に混ぜ、ちらし寿司の具材を加え混ぜていく。比較するもう一方は「パラパラご飯の素」不使用だ。「パラパラご飯の素」を加えた方は、ご飯がスムーズにほぐれ具材が上手く混ざり合った。不使用の方はなかなかご飯がほぐれずに具材が混ざりにくかった。

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2時間ほど時間を置いて箸ですくうと、「パラパラご飯の素」使用の方はご飯の粒がほどけるようだが、不使用の方はご飯がくっついてかたまりになっていた。ほぐれがいい方が具材の味も香りも感じ、おいしかったことは言うまでもない。

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今度は酢飯をシャリ玉に握り、寿司ネタはのせないで1時間ほど冷蔵庫で保存して、「パラパラご飯の素」使用と不使用を比較してみた。すでに握った瞬間に手の感覚でほぐれの違いがわかる。比較写真はないが、やはり使用した方がやわらかくご飯がほぐれる。不使用の方はほぐれがやや悪いためシャリ玉に弾力性ができてゴワゴワした感覚だ。これではせっかくの握り寿司も台無しだ。

やはり、ご飯がほぐれるということはテイクアウト寿司の商品価値を上げてくれるのだ。

米飯テイクアウトメニューの食感を向上させる。

驚くほど速くご飯と具材が混ざり合い風味と艶が長く続く

混ぜご飯は鮭、しらす、竹の子やキノコ、鶏肉を使った五目など、具材の変化でバリエーションを広げやすく商品開発の可能性が高いだけに、仕上がりの見た目やご飯のほぐれは気になるところだ。

ご飯に対して0.3%の「パラパラご飯の素」と具材をご飯に加え混ぜ合わせ、もう一方はご飯に具材だけを混ぜ合わせた。比較すると混ぜ合わせ始めた時点で大きな違いがあった。

混ざり方がまったく違う。ちらし寿司に比べてご飯に色がつくので、見た目にも違いが分かりやすい。ご飯のほぐれがいいため、均一にムラなく混ざり、混ざりやすいためご飯粒が潰れない。さらに「パラパラご飯の素」は米のまわりをやさしく保護するためにほぐれもよく艶が長持ちする。

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次に、炒めたご飯への効果を見てみよう。前号ではケチャップライスをつくって炒めたご飯のほぐれを見たが、チャーハンでも同じ効果が確認できた。

ご飯に対して0.3%の「パラパラご飯の素」を炒める時に加えるが、加えないものに比べてほぐれが断然違う。ご飯がみるみるほぐれていく。でき上がったチャーハンはご飯一粒一粒がいきいきとしていて、焼けた香りが芳ばしい。

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これなら使う油の量を減らしてもいいだろう。時間が経ってもご飯の艶とほぐれは長く続き、冷凍してもそのままだ。

麺のくっつきをやわらげ、スムーズにほぐれる。

茹で上げ麺のほぐれを向上させる解決策

次は麺メニューへの効果だ。茹でたそばは時間が経つとすぐにくっついてしまうが、「パラパラご飯の素」でつくる溶液に浸けておくと、時間が経ってもくっつきにくい。

それではそばを茹でて「パラパラご飯の素」を使ったものと使わなかったものを比較する。

まず熱湯を用意し、これに対して7%の「パラパラご飯の素」を加えさらに加熱し、沸騰したら粗熱をとって冷蔵保存し溶液をつくっておく。そばを茹で上げ流水でもみ洗いしたあと、「パラパラご飯の素」でつくった溶液に30秒間浸け、ザルで溶液を切り皿に盛り、ラップをかけて冷蔵庫で保存した。もう一方は流水でもみ洗いしただけで保存した。

2時間後に取り出して両方のほぐれをチェックした。箸で持ち上げると結果は一目瞭然だ。「パラパラご飯の素」の溶液に浸けた方は比較的スムーズにほぐれるが、浸けなかった方はそばがひと塊になってかなりほぐれにくい。

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さらに「パラパラご飯の素」は麺の表面をコーティングして乾きを防いでいる。これによって麺の伸びが少なく歯ごたえも違う。

茹で上げ麺のほぐれは、テイクアウトにとってかなり難しいテーマだが、「パラパラご飯の素」が解決の糸口を見せてくれた。

前号で、ソース焼きそばをつくって炒めた麺のほぐれをチェックしたが、時間が経っても麺がほぐれ表面のソースの艶も残り、その効果が確認できた。「パラパラご飯の素」は麺メニュー全般に効果を発揮するのだ。

餃子の皮の破れ、生春巻きの皮のくっつきを防いでくれる。

餃子も生春巻きも皮が破れたら商品価値は大きく下がる

「パラパラご飯の素」は餃子のひっつきによる皮の破れを防ぐ効果がある。

フライパンに油を敷いて強火で熱し餃子を並べ、そこに水の量に対して3%の「パラパラご飯の素」を加えて混ぜ溶かした蒸し水を注いで焼き上げた。わざと餃子を寄せて焼いてみたが、寄せた餃子をはがす時に「パラパラご飯の素」を使った方の皮は破れず、使わなかった方は皮が破れた。

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「パラパラご飯の素」は、生春巻きの皮のくっつきも防いでくれる。沸騰したお湯に対して4%の「パラパラご飯の素」を混ぜて溶かし、冷ましておいた。これに生春巻きの皮を浸け、もどったら引き上げた。皮はくっつかず端まで綺麗に伸ばすことができた。これなら扱いやすく、スムーズに具材が巻ける。「パラパラご飯の素」を使わない方はやはり皮がくっついて巻きにくい。こうして皮を無駄にしてしまうこともあるだろう。

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さらに、「パラパラご飯の素」の水溶液に浸けた皮は、時間が経っても乾燥しづらく、表面の艶が長持ちするため商品の価値を高めることができる。

いかがだろうか。こうして試作してみると、「パラパラご飯の素」の幅広い効果が確認できる。試作はどれも少量で行ったが、大量につくる場合はその効果はもっと大きなものになる。上手に使って厳しい今の経営環境を突破したい。


協力/お問い合わせ:伊那食品工業株式会社

(2020年11月30日発行「素材のちから」第39号掲載記事)

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