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三年貝の満足感。

文・撮影/長尾謙一
料理/横田渉

お刺身帆立ハーフシェル プレミアム(三年貝使用)(素材のちから第40号より)

ホタテの身の艶と弾力感が素晴らしい。旨みは濃厚でしっとりした甘みが口の中に広がっていく。これが冷凍品の鮮度なのか?「噴火湾産 お刺身帆立ハーフシェル プレミアム」は、水揚げした三年貝のホタテを片貝にして、すぐに3D凍結させたお刺身グレードの1回凍結品。このレベルはまるで活ホタテのようだ。

ホタテ貝は三年貝くらいになると、食べごたえのある大きさに成長する。11月後半、北海道噴火湾の冷たい海で獲れるホタテの三年貝は身がギュッと締まり、甘みが強く旨みが濃厚だ。刺身で食べるとそのおいしさは格別で、この上なき満足感が楽しめる。

大好評の「お刺身帆立ハーフシェル」が、
さらにグレードアップ。

お刺身グレードのワンフローズン(1回凍結)

片貝にしたホタテの冷凍商品で、お刺身グレードのものをほとんど見ない。収穫期の加工場では生食用をむく作業を優先させるため、ハーフシェルの加工は原料を一旦凍結させ、オフシーズンになってから解凍して加工し再び凍結させる。

このようにホタテの加工品は作業後に再凍結させるツーフローズン(2回凍結)になるため、品質をなかなか維持できない。

ご紹介する「噴火湾産 お刺身帆立ハーフシェル プレミアム」は、北海道の噴火湾で水揚げされたホタテをすぐにむき、凍結させた〝ワンフローズン(1回凍結)〟の商品だ。

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貝柱の大きい三年貝を原料に使う

ホタテの三年貝は大きく育った貝柱が好まれ、活ホタテや生鮮品としての需要が高いため、通常加工品用には二年貝が多く使われる。しかし「お刺身帆立ハーフシェル プレミアム」は、原料にこだわり生食用に使われる三年貝を使う。季節が冬へと移る11月後半、北海道噴火湾で良質なプランクトンをたっぷりと食べたホタテ貝の身が、ギュッと締まる時期をめがけて三年貝を収穫し加工する。寒い海で身が締まり甘みの強い三年貝の貝柱は大きく30gレベルにもなり、主に刺身用として全国の料理店からの需要は高い。

やはり刺身にして食べると満足感がある。身はプリプリで歯ごたえがたまらない。

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〝まるで活!〟を実現する3D凍結

「お刺身帆立ハーフシェル プレミアム」は〝3D凍結〟される。〝3D凍結〟は食品に直線的に1方向から冷気を当てるのではなく、立体的に包み込むようにムラなく冷気を当てて冷却・凍結させるシステムだ。

〝3D凍結〟で形成される氷結晶は微細なため、細胞膜の破壊が少なく食品の劣化を最小限に抑える。解凍すると、ドリップが極めて少ないことがその冷凍効果を表している。これによってブランド名にある〝まるで活!〟の鮮度を実現しているのだ。

殻付きを活かしたメニューを展開する

「お刺身帆立ハーフシェル プレミアム」の最大の特長は〝活〟に匹敵する鮮度と、何と言っても片貝が付いていることだ。

この2つの要素を持っているからこそ下のメニューのような〝まるで活をむいたような刺身〟が提供できる。殻はビジュアル的に大いにおいしさを演出できる。

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さらに「お刺身帆立ハーフシェル プレミアム」は加熱すると身がやわらかくふくらむ。鮮度のよさは加熱メニューにもはっきりと現れる。加熱された身は旨みと甘みを増し、濃厚でジューシーだ。

それでは、「お刺身帆立ハーフシェル プレミアム」を使ってメニューを試作してみることにしよう。

殻付きのシズル感でおいしさをアピール

すでに「お刺身帆立ハーフシェル プレミアム」の刺身を試食し、その旨みと甘みの強さ、歯ごたえのよさを味わった。十分に生食のおいしさを堪能したので、次は熱を入れたメニューを試作してみよう。

ホタテ貝のトマトグラタン

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それではまず〝ホタテ貝のトマトグラタン〟だ。白ワインで軽く蒸したホタテの貝柱を食べやすい大きさに切り殻に並べ、トマトソース、パルメザンチーズをふり200℃のオーブンで5分焼いてみた。やはり熱が加わった身はふっくらとしている。トマトソースの中からは旨みと甘みが増したホタテの風味が現れる。ホタテのグラタンにはホワイトソースがお決まりだが、トマトソースの酸味がフレッシュさを感じさせる。このメニューはかなりイケる。

ホタテ貝のミキュイ グリーンソース

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次は〝ホタテ貝のミキュイ グリーンソース〟だ。塩をあてておいたホタテの貝柱とヒモにオリーブオイルを塗り、グリルパンでさっと焼き、半生の状態で焼き目をつける。オリーブオイル、赤ワインビネガー、塩、胡椒でつくったドレッシングに水菜と春菊を加え、ホタテと一緒に殻に盛り付けた。

鮮度が悪いと加熱によって身が縮まってしまい、この半生のプリッとした食感は現れない。水菜、春菊の少し苦みのあるドレッシングと表面の焦げ目の香ばしさが加わり、ホタテの甘みが際立っている。

ホタテ貝のパイ包み焼き

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今度はパイ生地に包んで焼いてみよう。殻にバターソテーしたほうれん草を敷き、その上に食べやすい大きさに切ったホタテの貝柱をのせ、ホワイトソースを流しパイ生地で包む。表面に卵黄を塗り180℃のオーブンで25分焼いた。

先ほどホタテ貝とトマトソースの相性のよさを褒めたが、やはりホタテ貝とホワイトソースは鉄板の相性を持っている。ホワイトソースのバターの風味はホタテ貝に何とも言葉では表せない旨みの奥行きを加える。パイ生地の中で熱が入った貝柱はプリッとした歯ごたえを持ち、サクッとしたパイ生地と絶妙な食感のバランスをつくり出している。これも活に近い「お刺身帆立ハーフシェル プレミアム」の鮮度のよさを表している。

ホタテの香味ガーリックソテー

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最後に〝ホタテの香味ガーリックソテー〟を試作した。オリーブオイルの中に、ニンニクを入れ色づくまで加熱し取り出す。そのオイルで、食べやすく切ったホタテの貝柱とヒモを軽くソテーし、ニンニク、クルトンと一緒に盛り付けパセリをふった。

濃い!  ニンニクの風味がますます「お刺身帆立ハーフシェル プレミアム」の旨みの濃厚感を引き出している。それにしても、軽く熱の入った貝柱のプリッとした歯ざわりはホタテ貝独特の繊維感を感じて実においしい。

いかがだろう、「お刺身帆立ハーフシェル プレミアム」は味の面からも、ビジュアルの面からもお客様にアピールするメニューをつくる大きなポテンシャルを持っていると言える。

〝まるで活!〟のホタテ貝シリーズ

さて、「お刺身帆立ハーフシェル プレミアム」には姉妹品として生のホタテを一個一個手むきした「まるごと生むき帆立」がある。

新たにウロ取りタイプも加わった。原料は青森県陸奥湾産を使い、むいた身はプロトン凍結される。この凍結技術は、急速凍結環境に均等磁束と電磁波を加えてムラなく凍結することで鮮度を維持するものだ。メニューに合わせて使い分けたい。

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活の品質を、必要な時に必要なだけロスなく使える〝まるで活!〟のホタテ貝シリーズで、攻めのメニューを考えてみてはいかがだろうか。

協力/お問い合わせ:株式会社ナチュラルシー

(2021年3月31日発行「素材のちから」第40号掲載記事)

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