一人暮らし(5日)

なんだかんだで毎日を生きることができている。これまでは家の中でさえ他人の目を気にして動いていたことが、たった1人なので自分で思い立った時に全てやってしまう。

猫の写真を見たり、友人の声を聞くと少しの寂しさが湧いてくるが、これは故郷を離れたからではなく、単純に1人で暮らすなかで人と話していないからだと思う。
一人暮らしで寂しくない人は多分、酒の場とかで知らない人と仲良く喋れるタイプではなかろうか。他人と話すのが好きというか、外を向くのが好きというか……そういう人なら、寂しい夜に酒場に出かけたり道すがら近所のおじいちゃんに話しかけることができるだろう。
私もそうなりたい。

今日も早く起き(といっても当社比、6時起きは早いのだ)、洗濯機を回す。回してる間に、ホットケーキを焼く。

焦げてカチカチ

焦がした。
朝ごはんは焦がしたホットケーキと、紙パックのりんごジュース。聞こえるのは鳶の高らかなピーヒョロロロロ。

社員寮廊下の、踏まれそうな位置にいる蛾を端に寄せて、ベランダに現れた黄緑色の蜘蛛の糸をつまんですぐそばの田園へと放り、濡れた洗濯物を干す。
田舎は暗くなるのが早いけど、明るくなるのも早い。景観条例がないのに高い建物が山以外にない。ダイレクトな日差し。

先日、この付近でオオタカやハイタカが見られる噂を聞いたので、当分はそれを楽しみに毎日を生きていきたい。

あとは仕事のみが不安の種だが、今孤独を大いに養うことで、他人と関われる仕事を逆に楽しみにできるように、なりそうではある。


余談だが、実家ではなんとなく母より早く起きれなかった。
自分で早起きして色々をやることを、なんとなく許されていない心地だった。
母は何もかもをやってくれる人だった。
ありがたい話だが、良くも悪くも、母が家の雰囲気も空気感も時間感覚もすべて掌握していたのである。

こうやって実家から離れて、自分の感覚で、自分のペースで、始めて、終わるというのは、気分が悪いものではない。独り立ち、一人暮らし、親離れ、は私と似た家庭環境の人間にはやはり必要な気がする

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