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手づくりグリーティングカード22:暑中お見舞いと郵便屋さん

7月となれば夏も本番。今回は暑中お見舞いと郵便についてのお話です。


ゆっくりでも郵便で

天に数多と散らされた衛星により、メールやSNSのメッセージが地球の反対側に暮らす人にも瞬時に届く。

ミレニアル世代には当然のことかもしれませんが、そのほんのひとつ上の世代はワープロ(ワードプロセッサ)の登場にも目をぱちくりさせていたのです。

当時、「20年後にはだれもがポケットに入る電話で会話しているよ。声だけじゃなく文字でも」と言われて、その風景を頭に描くことができた人がどれくらいたでしょうか。

本当に、21世紀のテクノロジーやその進化の速度には目を見張るばかりです。

デジタル通信に時差がなくなったのに対して、通信の老舗である郵便のほうはというと、この頃はゆっくりになりました。東京からの普通郵便はたいていの地方に届くまでに約3日かかるといいます。

3日間もあれば、今や国内のみならず世界のほとんどの国にたどり着ける時代。翌日配達がふつうだった頃を知る者としては、もどかしさを感じないこともないのですが、それでもなお郵便で届けたい便りがあります。

暑中見舞いはどこ?

例えば季節のグリーティングカードはそのひとつです。

クリスマスカードや年賀状などはあらかじめ準備ができますから、大切な人にはデジタルではなく、アナログでおくりたいものです。

7月の今は暑中お見舞いの季節。小暑(7月7日頃)から立秋(8月7日頃)にかけておくるあいさつ状です。

近頃は春でも気温が高く、夏日もめずらしくありません。暦が文月にかわる頃には、すでに夏の暑さにうんざりしていることも。暑中見舞いに綴る「お体を大切に」のひと言にも力が入ります。

ところで、この暑中お見舞いのカードなのですが、海外のグリーティングカードでは見かけることがないのです。少なくともアメリカやイギリスといった英語圏の国にはないと思います。

そもそも夏のカードは種類が少なく、そのほとんどは "Hello Summer "とか "Happy Sunshine" とか "Happy Summer Holiday" など夏を歓迎するようメッセージ。

気温が低く、湿度も低い、夏のさわやかな国では暑中お見舞いをする必要もないからなのでしょう。冬の長い国ではお日さまもヒート(熱)も大歓迎です。

ただ涼しいと言われるヨーロッパの夏でも、最近は異常に高い気温の日もあるようです。日本の夏も、世界の夏も、どうかこれ以上暑くなりませんようにと祈る気持ちです。

郵便の魅力

隣の町からでも、はるばる海を越えてでも、郵便で届けられる便りはうれしいものです。なぜなのでしょうか。

ある日、帰宅して郵便受けを開けると、そこに一通の手紙が。見覚えのある筆跡に胸を躍らせたことはありませんか。

「その人」が時間を割いて選んでくれたであろう便箋やペン。紙の感触、文字の表情。「その人」の書いた文字をたどるうちに、互いの置かれた地理的な距離も、文字が書かれたた時とそれを読む今との時差も消えていく。

親しい人からの便りを受け取ると、こんな神秘的とも言える不思議な気持ちになります。まるで「その人」の温もりさえ感じられるような幸福感に満たされます。

郵便の魅力はたくさんありますが、手紙や葉書を受け取るうれしさはデジタル通信にはない味わいです。

郵便屋さんの手

「便り」という名のうれしい贈り物。郵便が遅くなった事情はさておき、それを届けてくださる郵便局の方への感謝の気持ちは忘れずにいたいと思います。

郵便が届くまでには多くの方の「手」が必要です。「ゆうびんが届くまで」という動画を見ると、女の子が出した葉書がおじいさんに届くまでに10人以上の人の手が登場します。

郵便番号の読み取りや区分けなど自動化は進んだとはいえ、実際にはまだ多くの手のバトンによって一通の便りが運ばれているのですね。

郵便にある温もりは、もしかすると郵便局の方の手の温もりでもあるのかもしれません。

このかわいらしい動画の最後には、「ひでおじいさん」のオチもついていますよ。

郵便屋さんへの感謝

正確に届くということにおいて日本の郵便ほど信頼できる国はありません。さらに日本の郵便ですばらしいと感じるのは、システムばかりではなく、郵便物に対する気配りです。

先月のこと、どしゃ降りの中、一通の便りが届けられました。配達の方がいつものようにバイクで来られたのも驚きでしたが、郵便物は郵便屋さんの雨合羽の下で護られ、手渡された封筒には一滴のしずくも落ちていないのです。

かつて暮らした国では、雨の日は封筒もぬれてよれよれ、ときに破れていたり、中の物が落ちてなくなっていたりすることもありました。

日本の厳しすぎる暑さのもと、日々の配達はさぞ大変なことでしょう。雨の日などあの雨合羽の中どうなっているか、想像を絶します。

さまざまな苦労を重ねて郵便を届けてくださっている全国の郵便局の方に、ありがとうございます。そして暑中お見舞い申し上げます。

※見出し写真のカードのつくり方は次回にアップします。


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