「グループの当事者性が変わった?」 久しぶりの合宿#2

割引あり

(前回#1の続き)

当事者性が上がることで「仲間になる」

事前に準備されたプログラムは3つのセッションで、それぞれ、①書く、②共有する、③話し合う、④話し合いを振り返るのステップで進めます。

最初のセッションは、「お互いに知り合う」です。
「今の気持ち」、「私の場」、「参加のきっかけ」、「この研修でしたいこと」をそれぞれ書いていきます。

「今の気持ち」では、「日常でやり残したことが気になって、まだここに居る感じがしないソワソワ」を絵で表現してみます。「私の場」は家族をはじめ、地域や学校コミュニティ、そしてもちろん仕事の場のことを。そして、この研修でしたいこととして、半構成的なグループ(テーマを持って話し合う)体験とその体験を学びの素材とすることでした。参加のきっかけは、前回ご紹介した通り、文珠さんの思い切った決断に後輩として貢献したい気持ちであり、それは「Tグループの火を灯し続ける」気持ちからです。
書いたものを何度か見直す中で、「Tグループの火を灯し続ける」に「仲間になる」と書き足し、「Tグループの火を灯し続ける仲間になる」としました。

この時はちょっと不思議な感覚で、「僕がTグループを残していくために何ができるか?自分が何とかしなければ!」という前へ進む気持ちより、同じことを大事にしたい人とちゃんと繋がっていきたい、という横へ広げる気持ちの方が強いという発見でした。元来、自己顕示欲と目的志向の強い僕が、「何のために来たんだっけ?」と考えながら「灯し続ける」では何かが足りないと感じた違和感を言葉にしたのが、「仲間になる」だったのです。

今考えてみれば、参加者も主催者側に立てるような民主的な場が設定されたことによって、ここで何かを受け取って別のどこかで活かそうとする消費者的な学習者から、このグループに良い貢献をしたいチームメンバーへ移行したと考えられます。言い換えるなら参加者の組織社会化が進み、「グループの当事者性」が上がったということでしょうか。

組織社会化とは、新しい従業員が組織の文化、価値観、行動様式、および社会的な期待を学び、理解し、受け入れるプロセスを指す。このプロセスは、新入社員が組織内での役割を効果的に果たし、組織に適応するために重要である。

2つ目のセッションは、「私がメンバーとして参加したラボラトリー体験」共有します。

僕の原体験は14年前(もうそんなに!!)のある1週間の合宿トレーニングでした。一言で表現するならば、「衝撃」でした。以前、エドガー・シャイン先生に「Tグループとは何か?」と質問したときも、「Tグループとは衝撃である」と回答いただきました。最初の体験から3年間で30回程参加し、途中からトレーナーを務めるなど、僕の基盤を作ってくれた経験になります。このお話は長く、僕のセンシティブな部分に触れる経験になるので。別の記事でご紹介できればと思います。

2日目の朝に行われた3つ目のセッションは、「私が思うファシリテーション」を取り扱いました。

私が開いている「対話の学校」では、ファシリテーションを、「人とグループの成長を支援する技術」としているので、普段考えている整理する時間になりました。それでも、ファシリテーションは手段であり、その手段を必要とする場を開く目的が重要なのでは?、などとファシリテーションの定義に留まらない議論の深まりがありました。

なお、このセッションの冒頭で、ラボラトリー・トレーニングの定番である「コンテントとプロセス」という概念のレクチャーを、初日のスタッフ・ミーティングで手を挙げた参加者が提供しました。


よく考えられた構成された3つのセッション

3つのセッションは、1つ目に現在、2つ目に過去、そして3つ目に今考える定義と、思考し易いステップになっていました。良く考えられた構成だなと思ったものです。

ここまでの3セッションは思考のプロセスでしたが、この後、参加者の希望で設定された体験のセッションに入っていきます。思考を元に体験することで、今までのTグループとは違う味わいがありました。さらに、体験を踏まえてもう一度思考深めていきます。

続きはまた〜

ここから先は

0字

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?