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”アトリエとんび”のアカネちゃんにインタビュー

ある日のアトリエの風景。愛犬モネも一緒に。
アトリエには亀や植物などの生き物も沢山。

GENTLE BREEZE COFFEEがコーヒー以外に、“そよかぜ”のように皆さんにお届けする、アレコレ。

記念すべき第1回目は、京都府京都市左京区にある「アトリエとんび」の宮崎あかねさんを紹介します。

左からアカネちゃん(宮崎あかね)、ニコちゃん、かめちゃん(亀井友美)
2月に行われた”アトリエみつしま”の展覧会でのひとコマ

Profile
宮崎あかね(アカネちゃん)
1991年11月生まれ。茨城県で生まれた後、千葉、シンガポール、神戸、京都、東京と転勤族。京都芸術大学(旧京都造形芸術大学)こども芸術学科卒業(2014年)。同学内幼児教育機関「こども芸術大学」で芸術保育士をする(2020退職)
2020年9月~アトリエとんびをスタート。2021年4月開業。晴れてフリーランスに。福祉施設、幼稚園、小学校、児童館、イベント、展覧会など廃材を利用したアート活動を展開。

〈アトリエとんび〉
子どもたち、親子を中心に、幼保育園児から小中学生が通う、アカネちゃんの自宅の一角で開かれる自由なアトリエ。「習い事」ではなく、来た人みんなが自由に考えたり形にしたり話したり。安心して過ごせる空間。
メンバーはアカネちゃんとその父(じーじ)、モネ(犬)。

〈スタジオぐるり〉
頭ではなく、まず手を動かすことを大切に、地域から集めたハイザイを素材とした創作ワークショップをおこない、うまい・へたではない、みんなのアイデアが楽しめる場づくりを目指しています。アカネちゃん(宮崎あかね)と、かめちゃん(亀井友美)を中心に福祉施設や幼稚園、保育園、小学校、地域のイベント等でハイザイ(廃材)を利用してアート活動を展開中。
その時その場所によって、芸術家や音楽家などいろいろな方がメンバーとして参加することも。

◾️アトリエとんびについて
ーどうして始めたの?
2020年にこども芸大を退職して、その時に担任をしていた子たちと一緒に卒業する感じやった。2歳から付き合いのある教え子のお父さんに「辞めたら何するんですか?」って聞かれて、「アトリエとかできたらいいんですけどね〜」ってなんとなく言ったことを覚えててくれて、卒園からしばらく経った頃に「アトリエ通いたいんですけど」って連絡がきたのがキッカケ。
丁度コロナが大変な時期で、その当時はまだ今の家(アトリエ兼)に引っ越してなかったし、「環境が整ったら連絡します」と準備、引っ越しして9月にスタートして。はじめは小学生になった教え子と3歳だったニコの2人からスタートした感じ。
そこから別の活動で関わった子や、出会ったお母さんと「アトリエしてるんです」て話になって興味を持ってきてくれる人がいたり、口コミでどんどん広がって、今までトータル20組ぐらいの親子がきてくれたかな。

ーアトリエではみんなどんなふうに過ごしているの?
「おはよう、今日何するん?」と、まずはトランポリン跳んだり、それぞれつくったり、あそんだり、「なんか食べたいー」「りんごならあるでー」みたいに食べたり(笑)。一応テーマもあって、つくりたい子はそれをする。
10人以上来たときは、ほんまにカオス(笑)。みんなやりたいことが壮大でそれを叶えようと、お父さんと私でバタバタしちゃって、お母さんたちにも「アカネ先生大丈夫?(笑)」ってきかれて「大丈夫じゃないんで助けてください(笑)」みたいな感じでお母さんにも、作品をドライヤーで乾かして貰ったり、色々サポートして貰ってる。参加されてる親御さんも、スタッフのような存在になってるから、子は自分の親じゃなくても、安心して手伝って貰ったり共同作業したりできる関係性が、このアトリエという小さなコミュニティで育まれているなら嬉しいな。

ー来ている子ども達の親御さんの中には、ちゃんと作品にしてほしい人もいるのかなと思うけどどうなの?
うーん、無理してつくるもんでもないし、「アトリエ」ってきいて、絵がうまくなるとか、なんていうんかな、いわゆる絵画教室と思ってくる人もいるけど、成果物より過程や子どもの自主性に重きを置いてるから作品として持ち帰れるカタチにならない子もいる。なんか違ったなと感じる人もいると思うし、ここが居場所になってる子はずっと通って来てくれてる。
来たけど作らないで外の公園(アトリエの前は公園で、アトリエの窓から全体がよく見える)で遊んで今日は満足って子もいるし、OK。参加費勿体無いから、お母さんお父さんにつくって貰ったり臨機応変、無理強いしない、子どもだけじゃなくて大人も楽しんでもらえたらと思ってやってる。
とは言え、子ども達が作ったものは毎回天才的なものが出来上がってくるから流石です。いつも「今日、こんなすごいんできましたよ!お母さん!」てなってる。ただ、今はぐるりでの活動もあって、土曜日が人気ってこともあって月に1回くらいしかできていない現状。一応今回はこんなのするよってお知らせと、できないときは、いついつはここでイベントしてるから遊びに来てね、とか、ここ来たら一緒にあそべるよ、とかそんなんを連絡してみんな来てくれてる。

■モチベーションについて
ー活動の源は?
自分がやりたいかどうか。あとは、「やりたい!」と言われたら私の方がやる気みなぎり「すごいのつくろ!」ってなる。オファーがある限りやる。そしてオファーがあるから自分のワークショップのレシピやアイディアも増えるし、いろいろチャレンジできるから、WinWinで有難い限り。

アトリエでもそうやけど、ぐるりで活動してても、大人も子どもと一緒に関わってつくるんやけど、関わる人によって出来上がるものも違って、少なからずお互いの影響を受け合っていて、「あ、ここは子どもにやってもらったらよかったな」とか逆に、「ここはもうちょっと一緒にガッツリやりたかったな」とか、塩梅難しいけど、自分には無い発想をしてくれる子どもたちとのモノづくりの時間は、子ども以上に私が楽しんでるかも(笑)
そんで子どもたちが、「今日めっちゃ楽しかった」とか「次これしたい!」とか言われると嬉しいな。アトリエ始めたのも、こんなんしてほしいって想いに共感したところからずっと続いて、今に至る。机や椅子を作りたい!と木工した日は大きすぎて持ち帰れず(笑)だから、つくったからには責任もって、車で家まで届けに行ったりしてる(笑)

子どもたちが必要な素材をすぐ手に取れるように、
ハイザイ(廃材)や道具がきれいに整理されている。

ー影響を受けた人は?
水野先生(元京都造形芸術大学こども芸術学科長名誉教授:水野哲雄先生)みたいになれたらなと思うけど、なれないし、ギューちゃん(現代美術家の篠原有司男氏)みたいに生きたいと思っても憧れなだけな気もするし。日々色んな素敵な人と出会い、共にしてるからお互いに影響し合ってるんだろうけど、誰っていうのは無いかな。マイペース過ぎて“自分”が強いからかな(笑)

あとは、ニコ(6歳)には本当に助けられてる。やっぱ小さい時からつくる機会が多いから、保育園でも「ニコちゃんは絵もつくるのも上手」ってなってるらしくて、「ニコちゃん描いてよ」って言われたりするらしいねんけど、そんな時「下手ちゃうし大丈夫やから1回自分で描いてみたらって描いてもらって、普通に上手やん!てなった」とか「小学生になったらその絵描けないから、大事にしてってお友だちに言った」とか、保育園でのこと話してきて「みんな、生きてるだけでいいのにね、ママ」とか「将来絵本作家なって、ママと同じ仕事したい、そしたらずっとママといられるな」とか。
もうほんまにすごいなと。そんな感じで、ニコに助けられたりアイデア貰ったりしてます(笑)

■世の中について(社会とか政治とか)
ーどんなことを思っている?気になっていることなど
今考えて浮かんできたのは、なんでもカテゴライズされすぎてるんちゃうかなってことかな。色んな人を含めた多様性のある環境、場がもっとあったらいいなって思う。鴨川みたいな、公園みたいな。そういう場に、例えばアートとか音楽とかあったら、その場にいる色んな人たちとの化学反応も起こりそうそうやなって思ったり。
…その他に、もちろんガザや災害、地球のこと、生き物のこといろいろあるよね。

■実現したいことや理想など
去年は、京都を飛び出して、大阪や福岡で出前ワークショップをさせてもらって、これからまたいろんな場所で地元の方や現地アーティストとコラボしたり交流できたらいいな。アートを通して行ったことないところに行けたら嬉しいし、そこでの出会いもまた楽しみ。単純にそういう仕事が各地で繋がっていくことで、日常が旅をしながら暮らしていくっていうことになればいいなって思う。
ゆくゆくは、森の中にアトリエを構えたいのと、畑と田んぼもしたいし、保護犬の預かりボランティアもしたいし、めっちゃいっぱいまだまだある(笑)

■最近印象に残った出来事
アトリエに来てる親子との話の流れから「アカネちゃん、学校やってよ!」って言われて、「いや~やりたいんですけどね~」って話してて。
そう思ったら、自分のアート活動は子どもたちとの暮らしの延長線上にある生活の中の「アート」が、自分にとっての「アート」の感覚なんちゃうのかな?と思ったってことかな。
あとは、この前ニコが小学生になるのに学校用に銀行口座作りに行って、職業の欄に“自営業”だけじゃなく、業種?分類?を書かなあかんくて、担当の人とも「業種、なんでしょうね」「保育…?違いますね、福祉、だけじゃないですもんね」て、うーんうーんてなって(笑)
あとから担当の人が「あーわかりました!これだ、“芸術家業”です」って「確かにこれですね、これからこれ使います」ってなったことかな。

アトリエにある様々な素材を使って、自由に制作する子どもたち。

■大切にしていることや信念はどんなこと?
ー個人的に大切にしていることは?
自分の感覚や価値観を大事にしつつも、相手のやりたいこと、気持ちを表現できるように関われる存在でありたい。
生き物もそう。言葉は違えど、創作、共創を通してつながるときがある。共鳴?

それぞれが持ち寄った土から土絵具を作り、描く活動の作品。
みんなそれぞれに違う色合いの絵具ができた。

ーどうやって活動しているの?と思う人も多いと思う。そして、アカネちゃんに出会って、インスピレーションを受けた人や自分も何かしたいと思っているけど…という人は多いと思う。そんな人たちに何かメッセージなどあれば。
自分の直感を信じて、とにかく続けることかな。というか、気づいたらずっとこれしてた、みたいなのが私は「こども芸術」やったっていう。10年以上やっていることは変わらへんけど、続けていると色々わかってきて、どんどん面白くなってきてる。好きなことは続けて、あとはボチボチ、何より健康第一で。

段ボールで制作された戸棚。

アカネちゃんのインタビューは以上です。

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子ども達は、目の前にある物を使って様々なものをカタチにする。
「食べたらうんちするみたいに、生きてたらなんかできたっていう、うんちみたいな作品つくりたいねん。」と学生時代の卒業制作中に話したアカネちゃん。子ども達も同じように本当に自然にカタチにしていると感じる。
開業届を出すときに、「アトリエとんび」ではなく「宮崎あかね」で提出し、分類が何になるのかどんどん質問に答えていきついたら“アーティスト”だったというエピソードも、アカネちゃんが今の時代を芸術家として生きている様が伝わってくる。

GENTLE BREEZE COFFEEを始めて1年、有難いことですが、コーヒーを通して様々なご縁につながり、たくさんの方に応援、ご協力を頂きました。
コーヒーから考え広がることも多く、その多様性には面白さと可能性を感じます。

今後も、コーヒーと共に“そよかぜ”のようなひと時を皆様の暮らしにお届けできることを楽しみにしております。

今後もどうぞ、よろしくお願いいたします。

あなたの暮らしにSOYOKAZEを。

有難うございました!


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