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あたらしい、風が吹いた。

みんなが自分の名前を好きなわけではない


名前は、親からもらう最初の贈り物。
私はそよ風のように…という由来から、
「そよか」という名前をもらった。

この名前はよく褒めてもらうけれど、私は好きではなかった。
正しく言うと、嫌いでもない。普通。
変えられないものだから、好きとか嫌いとか言っても仕方がないと思っていた。

私の父は典型的な九州男児で、私が大学進学を希望した際も、「女のくせに」と反対され、結局私は働きながら夜間の大学を卒業した。

こんな父が、末っ子長男の弟に太陽に関する名前を贈ったのも、納得できる。
男は全てを照らす太陽。女の私は形のない風。

何より、辞書ではそよかぜ=「微風」だから、
広告業界の先輩方には
「人に流されそう」「吹いていてもわからない風」
とからかわれることも多かった。
もちろん、愛のある弄りなのだけど、若い頃は生まれた時から自分はダメなんだ。
そう言われている気がしてクラクラした。

阿部広太郎さんの”名前の解釈”

そんな私にあたらしい風を送り込んでくれた人。
それは、コピーライター・作詞家の阿部広太郎さん。

著書「それ、勝手な決めつけかもよ?」の第1章、
「自分の知らない自分と出会う」の中で、
名前の由来を調べ、解釈をするというワークがあった。

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いくつかのプロセスを経て、「親から受け取った名前×見出した意志」で、
自分の「こうしていきたい!」を見つけるという流れ。

私もすぐに挑戦した。
漢字1文字の由来を調べたり、苗字の発祥を探ったり。
しかし、何度向き合ってみても答えが出ない。

そのうち辛くなってきて、自分の名前に思入れのない私には無理なのかと、答えを先延ばしにした。


あたらしい、風が吹いた。

7月18日、阿部さんとお話しする機会があった。
忙しい方だから、できるだけ要点だけを伝えようと会話を整理し、ZOOMにログイン。
阿部さんからいただいた最初の言葉は、
「そよかさんって、素敵な名前ですね」だった。

社会人になってから、名刺交換の度にいろんな方からかけて頂いたこの言葉。また気を使わせてしまったかな…と思いつつ、素直にその言葉を受け止めることとができなかった。

それは、阿部さんの著書の第1章からつまずいているのに、
企画生に選ばれてしまったという罪悪感もあったのかもしれない。

「そよかという名前に負けている気がする」、
「広告業界の先輩にからかわれることが多い」。
私の言葉を「うん、うん」とうなずきながら聞いてくださる阿部さん。企画生なのに…いい年の大人なのに…とがっかりされるかなと思い、阿部さんの反応を待つ。

阿部さんがくれたのは、否定でもお叱りでもなく、「そよか」という名前の新しい解釈だった。

「たくさんの人の心に届く広告は強い風じゃなくていい。
 優しい穏やかな風が、人の間に広がっていく」

思い出しても、胸がいっぱいになる。

コピーライターとしても尊敬している阿部さんに名前の解釈を頂けたことは、一生の宝物。
 
この解釈に負けない人になろうと、そう思った。

結論

私は、自分の心と向き合うことから逃げてきた。
忙しいというのはただの言い訳で、それが楽だったから。

あまりに長い間放置していた自分の心は、すっかり遠くにいってしまって、自分と親友になるには、とても時間がかかりそうだ。
だけど、ずっと風を吹かせ続けるには強い想いがいるから。
時間をかけて向き合っていくしかない。

いつか私が起こした風が、
たくさんの人の心を、ほんの少しでも温かくできるように。
まずは私が、温かい人になりたい。

12月11日の企画メシ卒業までに変われるかはわからないけど、
本当の意味で、やっとスタートラインに立てた気がした。

個人的には、ずっと「ライター」としか名乗れずにいた自分に、阿部さんが「コピーライターと名乗っていい」と言ってくださったことが本当に嬉しかった。

忘れないようにnoteにまとめておきます。


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