見出し画像

逆転劇 青から見るか?白から見るか?

柔道史に残る大熱戦だった。できすぎたストーリーだった。

白のニッポンは、幾度も立ちはだかってきた35歳の英雄を、22歳の若者(亡き父は伝説の金メダリストであり鬼コーチ)が最後の最後で倒すという劇的なドラマを願った。

青のフランスは、絶体絶命の1勝3敗からの3連勝で大逆転。自国開催での金メダル、しかも柔道発祥の国を倒して連覇というストーリーを決してあきらめていなかったように見えた。

さかのぼること3年前。

2021年夏の東京。柔道混合団体。1勝4敗でフランスが金、日本が銀メダル。個人では金メダルを獲っていたウルフ・アロンがテディ・リネールに敗れた。1勝は素根輝。

2024年のパリ。3勝3敗になり代表戦へ。くるくるとルーレットがまわり「+90kg」で止まる。テディ・リネールが斉藤立に2度勝利した。3勝は村尾三四郎、高山莉加、角田夏実。

劇的な試合のあとの常套句「まるで漫画か映画のようだった!」たしか去年の野球WBCの決勝のあとも何度も見聞きした。銀メダリストにとっては笑えない漫画だが、スポーツの世界は常に表裏一体だ。そして、数年後に雪辱を晴らすチャンスがあるから、スポーツはおもしろい。悔し涙だってうつくしい。

2028年のロサンゼルス五輪。
そこは、斉藤立の父親が金メダルを獲った街だ。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?