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冬雑草をあえて採らない5つの理由

雑草といえば野菜の栄養を一方的に奪うので、徹底的に排除する方が良いと言うのが常識ですが、実はそうではありません。

雑草の種類によっては野菜と十分に共生できるだけでなく、畑にとってさまざまなメリットをもたらしてくれます。

冬の雑草をあえて取らずに残すメリットとしては、主に以下の5つがあります。

1)連作障害対策

雑草を含めて畑の中の植生を多様にすることで、土壌内の栄養素や微生物、土壌生物などのバランスが崩れにくくなり、結果的に連作障害を防ぐ根本的な対策になります。

2)害虫対策(インセクタリープランツ)

シロツメクサやヨモギは害虫の天敵の住処となるインセクタリープランツとして期待できるほか、その他の雑草も含めての植生の多様さが昆虫生態系の複雑さをもたらします。これにより結果的に特定の害虫のみが大量発生するリスクが低くなります。

3)土壌保全効果

雑草が生えていることにより、生きているマルチング素材として、保湿・保温・土壌流出対策の効果が期待できます。栄養を保持しておく役割としての植栽(キャッチクロップ)としての役割も果たします。

4)夏雑草の抑制

雑草種子は日光を浴びることが休眠から目覚める条件の一つですが、葉を透過した赤外線を受けた雑草種子は発芽が抑制されることがわかっています。そのため野菜とは相性の良い冬型の雑草を残すことによって、より野菜と競合しやすい春夏雑草の発芽を抑制する働きがあります。

5)菌糸ネットワークの形成

植物のほんとどは根に共生する微生物が存在し、そこから菌糸と呼ばれるものすごく細い菌の糸を地中に張り巡らせます。
(ある研究によると土1gの中に200m分の菌糸が存在していたとか)
この菌糸は他の植物同士でも互いにつながり合い、情報や栄養素・水分の交換を行うこともわかっており、畑の中でもこのネットワークを形成することが、より野菜への栄養素・情報・水分の安定供給をもたらすと考えられます。

特に自然農のように無化学肥料・不耕起・多様な植生という環境下ではこの共生する微生物が増えやすいことも分かっています。
生きた雑草を残すことがこの菌糸ネットワークの形成に役立ち、結果的に野菜は畑全体の生態系にとっての恩恵となると考えています。

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