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死にたくなった夜、ピアスを開けた。

先日、朝から絶不調だった。
薬を増量したせいか起きられず、一旦ベットから這い出て水を飲むも、また戻って何もせずに時間が過ぎていく。
カーテンを閉めていても、窓からの光がなくなって、夜になっていく。

体がしんどい。
ぼーっとできて楽ではあるけど、楽しいとか嬉しいとか、何か食べたいとか行きたいとか、そういう欲も何もなくなって、ただ「死なないだけ」の状態だった。

横になったままYouTubeで音楽を探して、暗めの曲をいくつか聞いていた。
とても共感して、でも同時に辛かった心が解放されたのか、涙が止まらなくなった。消えてしまいたかった。

でも行動に移す気力もなく、ピアスを開けようと思い立った。

前から買っておいたピアッサーと、消毒やら軟膏やらを出して来て、机に並べた。

これまではロブしか開けたことがない。
買ってあったのは軟骨用(ヘリックスに開けたかった)
何かあったら使おうと思って買ってあったものだった。

「今日開けたらバイトで困るかもしれない。」
「就活関係やその先で隠す手間が出るかもしれない。」

そんな現実的な懸念もあったけれど、それでも「開けるなら今日だ」という謎の確信があった。

開けるのはあっという間だった。
痛みはほとんどなく、出血もなかった。
バチンという音の後もぎゅっと押して、ピアッサーをそっと外したときの達成感の方が優っていた。

できた。
かわいい。
まだもう少し、生きていよう。

そう決意した。
ちょうどアーティストの誕生日ライブのチケットを申し込んだ翌日。
数ヶ月先の、未来の約束。
そこまでは生きているという自分との約束の証みたいなものだ。

祈りや願いや約束を込めて開けているピアスは、いつの間にか増えていた。
本気でハマっている人ほどバチバチ感はないけれど、一般の人よりは多い。

自分から開けた穴。
まるで心に開いた穴のようにも思える。それを金属の棒で蓋をして、何かバリアを張っている感覚。自分を守っている感覚。
これ、伝わる人いるかな。

そしてピアスを開けるたびに「この体は私だけのものだ」と思える。
誰にも渡さないし渡せない。痛みも辛さも全部ひっくるめて、この体で生きていくのは私だ。

とりあえず次のライブまで生きる。
大丈夫。
大丈夫。

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