ワトソン・ザ・リッパー 五章(1)
やぁ、また会ったね。
ああ、僕だ、天下の名探偵シャーロック・ホームズだよ。
ここまで長々とお付き合いいただき、誠に光栄の至りだ、心から感謝する。
我らが悪魔フェイ・ダーレンと、誠実にして純朴なる神父オーランド氏のお話も、いよいよ終盤に差し掛かっている。
だがしかし、まだ謎が残っている。
多くの謎が……違うな、不合理が残っている。
あるべき流れが、不自然に歪み、今の形になっている。
“切り裂きジャック”の正体は、英国が長き歴史の間に、「国家にとって不要な人物」を抹殺するためのゴーストユニット。
スコットランド・ヤードは、それを利用し、社会に悪影響を及ぼす――と考えられた外国人や異端者、政治団体を弾圧した。
それが全ての真実なのだろうか。
それで全ての真相が明かされたのだろうか。
物語は、終盤へとさしかかった。
あともう少し、お付き合いただきたい。
では、また後で――
つづく
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?