ワトソン・ザ・リッパー おわりがたり
―――と、いうわけだ。
そう、これが「切り裂きジャック」の真実だ。
長らく色んな人達が、あれやこれやと、僕がなぜ、かの殺人鬼の逮捕に動かなかったのか、いろいろ言われたんだがね。
簡単な話だ。
我が最愛の友人を、売るわけには行かないからねぇ。
ジョンは、その後彼女に連れられ、ベイカー街の我が下宿に訪れる。
そして僕たちは出会い、君等もご存知のかの物語が紡がれる。
ただまぁ、あれは、その……だいぶ、事実をいじっているんだけどね。
なにせ、彼女は人間の滑稽な様を見るのが大好きだからね。
真相は異なる事件を、さも様々なトリックによって行われた人間の犯行だと、違う真実を流布して信じ込む人たちを眺めるなど……彼女にとってはとんでもないごちそうなんだよ。
ひどい女だよねぇ、あれは魔女だよ。
あいや、ちがうな、悪魔だ。
ん? あの悪魔とどういう関係だって?
あは!
あははははははっ!
いやいや失礼失礼。
つい、おかしくってね。
その反応だよ。
きっと、彼女は、「まだ彼女の正体を気づかない」人たちを思うだけで、あの意地の悪い、いたずらっぽい笑いを漏らすことだろうね。
そう、最後のその種明かしをするとしよう。
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