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「剣と魔法の税金対策」発売記念  【実話】あるラノベ作家が税務調査喰らった件その2

はい、というわけで、第二回でございます。

前回までのあらすじ!
今日も今日とてその日暮らしの底辺ライトノベル作家SOW。
彼のもとに、突如として訪れた税務調査の通知
申告した経費一切が認められなければ、しかもそれが年単位で遡られれば、まず間違いなく破産する!
恐怖し震える木っ端モノカキ。
その彼の窮状を知った正反対にスターダムを歩くとある売れっ子作家が、救いの手を差し伸べた。
「私の契約しているゼイリシのもとに行くが良い、知恵を貸してくれるであろう」
一縷の望みに賭け、貧乏モノカキは、税理士事務所に向かった・・・!



と、まぁそんな感じです。
うん、ほぼ合ってる。

というわけで数日後、私は都内某所にある、税理士事務所に訪れます。
後から知ったのですが、この界隈ではかなり有名な、かつ有能なところのようです。 
件の売れっ子作家さんいわく、他にも多くの作家さんの顧問税理士をされているそうです。
あまりにキレイな事務所なので、かなりビビりました。
正直、「貴様ごときの底辺作家の相手をする時間などワシにはないわ!」みたいに追い返されんじゃねぇかと、ガチでビビりました。

さて、現れた税理士さんと、もろもろ話をし、
かつこの数年分の納税関係の書類を見せた所、
凄まじい速さでチェックなされ、
「ふぅむ」と一言。
そして「珍しいですねぇ」と。

なにが珍しいかと言うと、はっきり言えば、
私ごときの事業規模の人のところに、
わざわざ税務署が調査に訪れることは、
「すげぇ珍しい」そうです。
税務署のリソースも限界があります。
納税者全員に調査はできません。
あくまで俗信ですが、
「年収一千万以上の人100人に一人」くらいが関の山なのだそうです。

税務調査は、「申告が間違っていないかの調査」なので、
間違っていなければむしろいいことなのですが、
そうもきれいごとは言ってられません。
世の中の取りっぱぐれた税金を、
一円でも多く徴税することが税務署の使命です。
税金は国の財産であり、国民の財産だからです。
なので、それが回り巡って社会のためになるのです。

だからこそ、同じ調査を行うにしても、
「より多く取れそうな人」 を選ぶのです。
アレな話に聞こえますが、税務署の職員のお給金もまた、
国民の税金から出ています。
それを無駄にできないのです。

ちなみに、「税を徴収する」立場上、税務署にはあまり金をかけてはならないという暗黙のルールがあるようです。
もし機会あれば、ご近所の税務署を見に行ってください。
他の公的機関にくらべ、格段に建物ボロいです

それはともかく・・・どうやら私はかなりのレアケースだったようです。
「SOWさんの事業規模と収入から考えて、税務調査が入る可能性は・・・一万人に一人ですね」
「1万分の1!?」  

だいたい、交通事故で死ぬ確率と同じくらいだそうです。
ウソみたいだろ?

なんでこう、自作は当たらねぇのに、変なもんには当たるのかねと、
天を仰ぐ私なわけですが、さぁどうしたもんかということで、
いろいろ話を伺いました。

結論から言うと、
「さすがに『ペンと紙以外は認めない』なんてことはありません」と、
「作家業を営むためには、普段から膨大な知識を仕入れなければならないのは基本です。それを認めないほうがおかしい。それを言われることはないでしょう」

「執筆にしても、昨今の情勢を鑑み、PCを使用しない執筆環境はむしろ考えられません。また、資料収集の一環として、ネットに接続し、業務の連絡で携帯を用いるわけですから、これらも通信費として認められるものです」

もろもろ、経費として認められるか不安であったものをズイズイと
「これはこう質問されたらこう答えなさい」 と、
的確なアドバイスをいただきました。
だが、こっからがけっこう問題が・・・

私「実は、領収書がない購入物が多くありましてね?」
税理士さん「ほう・・・それは・・・ウスイホンですか?」
私「よくおわかりで!?」
ウスイホン、すなわち、同人誌です。


同人誌即売会などでは、当たり前ですが、領収書は発行されません。
それらの購入物を、私は
「最低でもこれくらいは間違いなく使っている」
金額を計上していました。
ここを突かれると痛いと思ってたのですが 答えは――

税理士さん「ならばそうと言いましょう」
私「え?」
税理士さん「モノはあるわけですし、使ったのは事実です。なら、そうだとしか言いようがありません。違うというのなら、それを証すのは税務署の役目です」
私「そうなんですか?」
税理士さん「そうですよ」

意外と勘違いされがちですが、「領収書」とは、 「絶対に」必要なものではありません。
「何月何日にこれだけ使った」と申告し、それが正しいかそうでないかは、
税務署側が調べることであり、申告者が立証する義務はないのです。


同人誌即売会だけでなく、私はなにか次作に役に立つものはないかと、
週末に骨董市フリマなどを巡っているのですが、
そういうところも、同様に領収書は発行されません。
場所によっては「領収書は出ません」と告示しているところもあります。

店側がそれができるのは、「たとえ出せなくても、それが正しいか調べるのは税務署の仕事」という前提があるからなんですな。
税理士さん「領収書が出ないようなお店や、購入方式のものなんていくらでもあるでしょう? たとえば自動販売機とか」
そういえばそうでした。


 それからいろいろ諸々話し、
  「家の間取りを教えていただいてよろしいですか?」と、
 そこで、自宅の間取りに、家具やその他諸々の配置を事細かく、
紙に描いて説明をしました。
 それを見て、税理士さん、
「ふむふむ」と笑う。

「これなら、さほど大したことにはなりませんよ」 と、ニッコリ。
その言葉の意味を私が知ることになるのは、数日後のことなのですが、
そこからもさらに複数助言を頂きました。

ちなみに相談料は無料でした。
本来は、国家資格である税理士免許持ちの方の時間を使わせたので、
相応の代金を支払うものなんですが、
「◯◯先生のご紹介ですし。サービスです」
◯◯さん・・・どんだけ太い客なんだ。
私の大ピンチは、かの方にとって、「オプション無料」の範囲内だったようです。

 そしてそれから数日の後、ついに、税務調査の日が訪れます・・・
というところで、その2はココまで!

 そして、今回もございます!
 特別企画の応援イラスト第二弾! 
 まさかこの男が来てくれるとは!
 各所で大活躍の人気イラストレーター、蔓木鋼音さんです!

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 実は、蔓木さんとは、以前組ませていただいたことがございましてね?
 


 そして今回も「SAMPLE」の文字が・・・これはなにを意味するのか?
 まるで、「必要な目的があるので、他で使われないように」しているかのよう・・・
 そこらへんも含めて、「その3」にて!

 さぁていよいよ次回は、襲来した税務署調査員との戦いです!
 果たして、木っ端ラノベ作家はいくら支払うことになるのか!

 乞うご期待!

 そんなわけで、ついに発売「剣と魔法の税金対策」よろしくぅ!

ToBeContinued・・・












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