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わかりあえなさの正体は愛や尊敬のなさ

言葉にこだわるとわからなくなる
人は言っていることより、やっていることに注目した方がわかりやすい。

また、言っている言葉や文章自体よりも、発言された場面や文脈を踏まえて、その背景にある意図を見た方がわかりやすい。

逆に言えば、発言や、発言の中の言葉尻にこだわりすぎる人は、人が伝えようとしている「何か」をなかなかわかることはできない。

逆説的だが、ある意味一生懸命を理解しようとして、一言一句にこだわるから本意が見えなくなる。ADHDな僕はたまにそうなってしまう。

想像で埋め合わせてわかりあう
会話は、書き起こしてみるとよくわかるが、ほとんどの人(含む、自分)が、論旨がめちゃくちゃ(noteとかSNSなどの気を抜いたものは文章もそうかも)。本書いている時など、「めちゃくちゃなことを言っている」と我ながら思い、恥ずかしくなる。

でも、たいていは別に誤解なく(少なくとも主観では)コミュニケーションは進んでいく。

それぞれが「場の意味」や「発言者自身」や「発言の対象」について共通認識を持っていたりすることで、欠けたり間違ったりするところを補正しながら理解するからだろう。

誤解をすることのメリット
ただ、そんな理解の仕方では誤解が生じることもある。緊急時の業務連絡みたいに誤解が生じてはいけない場では、相手の理解力や場の文脈などに頼って会話してはいけない。

しかし、相手の発言の誤読が、新しい意味やアイデアを生み出すこともある。飲み屋の会話や、創発的なワークショップなどは、むしろ曖昧でよかったりする。その方が楽しい。そして、実は会話やワークショップなどの目的は、こちらの方が結構多かったりもする。別に曖昧でいいのだ。

よくシンポジウムとかを聞いて「何を言っているのかわからなかった」「話が脈絡なかった」とか筋道や結論じみたものがないことをがっかりする人がいるが、僕はそもそもそんなものはそういう会には求めておらず、イージーリスニングというか、拡散的な刺激を求めにいくことが多い(ちなみに今日は行く予定だった顔の表情から得られる情報についてのシンポジウムはコロナがあるので泣く泣く欠席・・・)。そして、刺激を受けた自分が何を思うのか、そちらの方に興味がある。何か思いついたりすることがそういう場に出向く主な目的だったりする。

パネリストの発言を知りたいなら、読書した方が100倍早い。実際、シンポジウムなどでパネリスト自身に興味を持つと、その人の著書を大人買いしたりする。それを読むと「ああ、深くいろいろ考えている方なんだな」と思う。しかし、たいていパネルディスカッションの場では、その実力を発揮できておらず(そういう意味ではあのフォーマットはイケてないのでしょう)、もっとすごい人なのになと思ったりもする。自分もパネルとかに出ることも多いが、おそらくたくさんの人に(実物と比べて、ですが)しょうもないやつと思われていることでしょう(本読んでもダメかもですが涙)。

結局、わかりたければわかり、わかりたくなければわからない
さて、話を相手の理解というところに戻すと、相手と共通認識(お互いのバックグラウンドを含めて)を持っていない、持っていても使わない、持てない、あるいは持とうとしなければ、わかりあえないということになる。

能力なら仕方ない。能力が高い方(たいていどっちも俺のほうがすごいと思っている)が歩み寄るしかない。歩み寄ればある程度は伝わるはず。ただ、一定の頭がないとわからないものはもちろんある。例えば、僕に最新の物理学の話をしようとしても無理だろう。簡単に説明してくれたものは多分真実を換骨奪胎したものだろうし。

もったいないのは、相手に興味がなかったり、尊敬がなかったり、敵意や嫉妬などを抱いていて、「わかってやらないぞ」と無意識で思っている場合。要は「愛がない」時。今の日韓関係などはそうかもしれない。何かすると、悪く取る。本当は「その背後に、何か深いわけがあるに違いない」と思いたいものですが・・・。

所詮言葉などというものはJ-POPの歌詞ではないが「言葉にすると嘘になる」ものであって、真理との比較においては正確さなど望むべくもない(論文など、正確な文章ほど読みにくい。必要ですが)。だから、相手に興味関心、できれば少しの愛を持ち、その表面的な言葉にこだわらずに性善説で、その奥底にある本意を読もうとするスタンスを持てることが、結局、コミュニケーション能力の基礎なのではないでしょうか。

(おまけ)ちなみにピーター・ドラッカーもこんなことを言っています。

「コミュニケーションにおいて最も大切なことは、
相手の語らない本意をくみとることだ」
The most important thing in communication
is to hear what isn’t being said.

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