【実録小説】病床と劣情。
今年に入ってからだろうか、私は定期的に寝たきりのような状態に陥る事がある。
1日のほとんどを布団の中で過ごし、本当に最低限の食事や家事をするために起きる。
そしてまたぐったりと横になって過ごす。
そういう状態が。
今もまたそのような時期で、この記事も布団の中で横たわって書いている。
今日は腰が随分と痛くて、先程はついぞ痛み止めを飲んだ。
まぁ、そんなことは良いのだ。
話はつい先程のこと。
あまりの痛みに、私は嗚咽した。
「うっ……はぁ、はぁ……」
と、嫌がおうにも口から漏れてしまうのだ。
痛みに顔を顰め、細く息を吐いて耐える私。
しかしてその脳内はと言えば、ニタニタと笑っているのである。
ゲイビの喘ぎみたいなエロい声しやがってw
と、ニタニタと私を笑うのだ。
風邪を引いて熱っぽくか弱いパートナーのハフハフと息苦しそうな姿というのは庇護欲とともに劣情も湧くものではあるが、そういった劣情に自己嫌悪を飼いながら世話を焼くという事も今や遠い昔の思い出である。
しかしまぁ、なにせ相手は自分。
私はそんな脳内に呆れながら、細く細く息を吐いて痛みに耐えるのだ。
ちなみにゲイビってのは、ゲイ向けのAVの事である。
そのまま妄想に励めればある意味では良かろうが、この痛みではそうもいかぬのがまた厄介というもので。
とはいえ痛みからは気を逸らさねば耐え難いものもあるがゆえに、こうして筆を取った次第である。
私のこの出来事を面白おかしく読者に届けようと思えば、この書き方は酷く下手な手法であろう。
しかして、私の身に起きている滑稽さはこうして素直に書く方がより伝わるのではなかろうかと真面目ぶって筆を取っている。
面白おかしく空元気のような道化を演じる書き方が出来る程の冷静さもない、というのもありはするのだが。
きっと私はこの記事を、読み直して校正をすることもなくアップするのだろう。
とかく、私は今日、下品な笑いでニヤつく私と、冷ややかな目でそれを感じる私とを内包しながら、ハフハフと痛みに耐える、しょーもない時間を過ごしているのである。
それをこうして書き記すあまりにもしょーもないこういう時間は、そのしょーもなさゆえのなんとも人らしくて愛らしい事象であるとも感じつつ。
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