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ミセス・ダウト

あらすじ

声優としても父親としてもうだつの上がらない主人公。
妻から離婚を突きつけられ、子供と週に一度しか会えなくなってしまう。
どうしても子供に会いたい彼は家政婦になりすまし、妻に雇われることに。
正体を隠し通そうと必死になるコメディ映画。

「トッツィー」と「クレイマークレイマー」を足したみたいなやつ?


偶然観た映画でたいして期待していなかったのですが、
結構面白くて笑えました。

吉本新喜劇ですねw
下ネタがややしつこい感じではありましたが…。
家族で見て笑えるコメディです。

こういうタイプの映画は大体家族円満超ハッピーエンディングみたいな感じになるんだろうと思っていたけど、
それが案外違いました。

離婚

離婚は離婚として、妻とは「距離を置く」という結末です。
主人公が改心して、父親として成長するっていうことでもなく、
普通だったら和解のシーンになるはずの後半でもケンカ。
本当だったら「僕が悪かった」となるところでならない。

ショーシャンクだったら
最後審問のシーンで明らかに改心や成長みたいなものを感じさせようとしているのですが、
この主人公は最後の審問でも最初の審問と態度がそんなに変わらない。
あれ?と思って最後どうなるのかなと思ったら
「離婚」「距離を置く」という
予想以上のものすごくリアルなエンディング。
そこはコメディでもファンタジーでもないんだ。

「青」と「黄色」

最後のシーン
子供と会うシーンがあるのですが、
子供が青い服を着ていない。
(5歳の末っ子だけ青い服)
冒頭では長男も長女もものすごい青い服を着ているんです。
多分「父親に依存している」というような意味だと思うのですが。
子供たちはまだ「子供」なので「正しさ」や「理性」
というものを理解していません。
お母さんがなぜお父さんを追い出そうとしているのかが
理解できない。
これがEDで変わって来るのです。

主人公は基本青い服を着ているし、
青は「家」や「家族」「父親」というものの象徴として扱われているよう。
子供たちの服、家の前の花、
母親が男に迫られ戸惑ったとき抱えている布なども鮮やかな青です。

ちなみに他人は「黄色」らしい。
妻の新しい男は「黄色」で表現されていますが
後半での家族のディナーでは青いシャツを着ていました。
もう家族としてのニュアンスが強いということ?
最後、主人公は青いシャツにオレンジのTシャツを着ています。
家族と他人の半々ということなのでしょうか。

色はかなり派手な色なので
冒頭で見ている人に意図を気付かせようとしている感じですね。

家族の形は色々なの

あと
主人公の成長を強調しないのは彼が声優というエンタメに
属した人だからじゃないかな。
夢とかファンタジーとかをずっと信じている人だから、そういう仕事に向いている、ということなんです。
彼は後半「仕事」か「家族」かというのを迫られるシーンがあって、
これは妻が冒頭で同じ状況に立たされることが伏線になっています。
自分が妻が冒頭で悩んでいた状況を自ら体験することで妻を理解していくんです。
それで彼は結局「仕事」を選ぶんです。
子供とは会いますが、離婚は離婚だし、仕事で成功することがEDで描かれます。
普通だったらなぜ自分が声優として売れなかったのか、ということを理解して仕事人として成功する。
もしくは仕事より家族の方が大事、という結論。
もしくは妻の大変さを理解して妻と和解する、ということが描かれるのかなと予想していました。
そうではなく、夢を持ち続けること、見続けること、ファンタジーの中で生きること、妥協せずこだわりを貫くことの大切さ、みたいな感じのEDなんです。

これは映画を撮る人の希望というか願望というか贖罪でもあるのかな。

自分は映画を撮っているけど、でも家族を犠牲にしているという部分はあると思う。
でも映画への夢やファンタジーは捨てられない、映画みたいなエンタメが人を救うんだっていう夢を信じたいじゃないですか。
自分は父親としてはだめかもしれない、でもTVの中では1流なんだ。
真実を語れて、人を救えんるんだっていうことなんだと思うんです。

そういう残酷さみたいなものを主人公は理解して、
妻に「家に入ったら?」って言われても「いいや、いいよ、ありがとう」
となるわけです。
妻も冒頭に着ていた「母親」っていう感じの服を着ておらず、
自立したキャリアっていう感じに変わっていました。
2人は「終わった」わけです。

でも映像の中に夢はある、そういうことなんでしょう。
最後TVタレントとして成功した主人公はTVの中から語りかけます。
もう離婚云々というフェーズで語っていません。

家族というのは色々あるんです。
お父さんやお母さんがいないおうちもある。
お父さんとお母さんが二組づつのおうちもある。
おじいちゃん、おばあちゃん
おじさん、おばさんと暮らすおうちもある。
何かの事情で遠く離れて暮らすおうちもある。

たとえお父さんとお母さんがケンカをしても
それはあなたのせいじゃない。
たとえ遠く離れていても
あなたのことを愛する気持ちは変わらないの。




※録画で観てないので細かいところは覚えていません。



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