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六本木でアルバイトをして、世の中の階層を目の当たりにした話

 ここは東京、六本木。人々の欲望が集まる、華やかな街だと思う。見渡せば高層ビル、ハイブランドなショップ、クラブやバーの看板、いかにもセレブっぽい人々。

私が六本木でアルバイトを始めたのは大学2年生のとき。決して「六本木」という場所で選んだのではなく、アルバイト先の魅力に惹かれて応募して、偶然その場所が六本木だった。それまでのアルバイトは地元の学習塾で、見慣れた街並みと小中学生という限られた年齢層を相手に仕事をしていたので、六本木という空間の華やかさも出会う人々の多様さも、私の目にはすべてが新鮮に映った。


都心で働いてみて思うのは、やはりそこで出会う人々は、私の住む東京の田舎とは一線を画すものがあるということ。


まず、同僚の大学生の育ちの良さには、「生まれながらにして人は平等ではないんだな」と痛感した。六本木周辺に実家があって、高校までに海外で暮らした経験があって、親のクレジットカードで買い物をして、留学に行きたいと言えば親が全額負担してくれる。彼/彼女らにとってはそれが当たり前で、ましてや「私、親嫌いなんです」と言っているのには驚いた。本人にしか分からない苦痛もあるのだろうけれど、これだけ恵まれた環境にいることに感謝すべきではと思う。

次に、私のアルバイト先は社長との距離が近く、その方の周囲にいる普段は到底出会うことができない人にも会ってきた。某大手コンビニの社長であったり、某大手ドリンクメーカーの社長、オリンピック選手、そのほか自分でお店や会社を経営している人たちなど…。最初は話すことすら恐れ多かったのだけど、彼らに共通しているのは「気さく」であり「人を見下さない」ことで、私のようなただの学生にも丁寧に話してくれる。それが仕事ができ、信頼されトップに立つ人の資質なんだと思う。このような機会は六本木のアルバイト全てに当てはまるものではないけれど、都心の方が出会える可能性は高いと思う。

また、お客さんの層もかなり幅広い。芸能人が来ることも稀ではないし、ビルの最上階が高級ホテルなのでそこに泊まりに来たお客さんもかなり多く、高級時計に高そうな服を着ている人もごまんといる。時には「綾鷹」が通じず、スーパーやコンビニでは緑茶を買わないのかと、住んでいる世界の違いに驚いた。


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一方で、ある日、閉店作業中にゴミ処理場に行くと男性の奇声が聴こえた。何事かと思うと、作業員のおじさんが奇声を発しながらゴミの仕分け作業をしていた。最上階では1泊約30万円のホテルで富裕層が優雅なひと時を過ごしている中、同じ建物の地下では最低賃金で奇声を発しながらゴミを分けている人がいる。

おそらく前者は人を雇って動かすことでお金を発生させる側の人たちで、後者は限られた雇われ先かつ最低賃金で雇われることでしかお金を得られない側の人。ほぼ100%今後この立場が逆転することはないだろう。どちらが偉いというわけではないけれど、その建物のビルの階数と同じように、世の中の階層が目に見えた気がした。


六本木は多様な層の人々が集まる場所だと思う。近場でアルバイト先を探す人も多いけれど、都心でしかできない経験や価値も豊富にあると自信を持って言える。せっかくアルバイトをするならば、お金と時間を交換するだけではなくて、貴重な経験ができるところにしてみるのがお勧めです。


最後まで読んで下さりありがとうございます。良い一日を!








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