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僕が「副業解禁」の先に見すえる「2030年ビジョン」とは

なぜ「副業解禁」を実現したいと思っているのか。
「副業解禁」の「その先」に何を見ているのかーー。

複業研究家として活動してきて、今まで書こう、書こうと思っていたものの、なかなか書けていなかったことがあります。

それは「なぜ、僕が企業の副業解禁に向けて活動をしているのか?その先に何を見据えているのか?」ということです。

叶えたい未来は、子どもたちが「はたらく」ことにワクワクできる世の中

僕の中には「2030年ビジョン」という計画があります。

”2030年までに、日本のエンプロイ・エンゲージメントを世界ベスト5まで上げる”
というものです。

実は、世界において日本のエンプロイー・エンゲージメントは、139ヵ国中で132位とワースト8位に位置しています。

*サッカーのFIFAランクでいうと、世界210カ国中199位のスリランカくらいのレベル感

エンプロイー・エンゲージメントは「熱意を持って働く人たち」の割合を示すものですが、エンプロイ・エンゲージメントが低いということが、日本の会社員が単にやる気がないといった問題に留まりません。

最悪の場合、労働環境が劣悪な会社で、パワハラ・モラハラのひどい上司に当たってしまい、逃げ出すこともできずに過労死・過労自殺自殺に至ってしまうケースもあるという程、労働環境にリスクのある国なのです。

では、なぜ2030年なのか。

実は2030年というのは、ちょうど僕の長男が22歳を迎え、社会人になる年です。

今のような労働環境にリスクのある日本社会に自分の子どもを胸を張って送り出したい!とは残念ながら思えません。

できるだけ早く、遅くとも2030年までには、子どもや若者が社会に出るのが楽しみに思えたり、はたらくことにわくわくできたりするような社会を作りたいと思っています。

以上が、僕がいま掲げている「2030年ビジョン」です。

「御恩と奉公モデル」の崩壊が、日本人から「はたらくエネルギー」を奪ってしまった

では、なぜ「2030年ビジョン」を実現するために直近取り組んでいるのが「副業解禁」なのでしょうか??

僕なりに、日本のエンプロイ・エンゲージメントを2030年までに世界トップ5まで上げるために、何が「センターピン」になるのか?そのために必要なことは何か?を考えた時に、見えてきた一つの仮説が「二兎を追って二兎を得られる世の中をつくる」ということでした。

そして、なぜそもそも日本のエンゲージメントがこんなにも低いのかというと、その要因は「御恩と奉公モデル」の崩壊だと思っています。

「御恩と奉公モデル」とは、かつての日本型企業に代表される長時間労働・複業禁止・単身赴任といった働き方のことです。自分のプライベートの時間をすべて投げうって、「会社に人生を預ける」ようなまさに滅私奉公の滅私のできる人材が重宝される社会でした。

会社員は企業に奉公する見返りとして、終身雇用や年功序列という仕組みで恩恵を受けていました。さほどパフォーマンスが上がっていなくとも、よっぽどなことがない限りクビになることはなく、年収も上がり続け、退職金までしっかりもらえるという「御恩」が期待できました。ありがたいシステムです。

若い頃に奉公した分が、将来的にはきちんと回収できるという約束があったから、どんなにつらくても頑張れたのがバブル経済がはじける以前の日本社会でした。

しかし、バブルの崩壊によって、終身雇用、年功序列といった「御恩と奉公」のシステムは多くの企業で崩壊していきました。いまや、定年まで安心して勤められる保障のある会社はどこにもありません。

「御恩と奉公モデル」は終焉を迎えたのです。そうした社会においてもなお、会社員の働き方は変わることがなく、「御恩」が単なる幻想に変わってしまい、かつてはGIVE&TAKEが成立していた「御恩と奉公」という関係性が崩れ、「奉公」は見返りのない一方的な「搾取」に変わり果ててしまいました。

その結果、熱意を持って働いている人は100人に6人しかいない状態に。
先進国である日本ですが、やりがいを持って働く人は世界でワースト8位という「エンプロイ・エンゲージメント」が限りなく低い国になってしまったのです。

なぜ「副業解禁」がエンプロイ・エンゲージメントの向上につながるのか?

では次に、なぜ僕が「副業解禁」「複業支援」というアプローチを通じて、エンプロイエンゲージメントの向上を目指しているのか。

それには2つ理由があります。

ひとつは、複業するということが、今まで会社のものになってしまっていた自分の人生を、自分の手に取り戻すための有効な手段になりうると考えていること。

もうひとつは、「副業解禁」は個人から「◯◯できない」という言い訳をなくすことができるからです。

まず、ひとつめの、複業によって自分の人生を自分の手に取り戻す、ということですが、会社員としての仕事は、基本的には「やりたいこと」よりも「やるべきこと」が優先される構造にあります。

仮にやりたくなくても、お給料を頂いている以上、やるべきことをきちんと全うしなくてはなりません。そして、残念なことに会社で仕事をしていくなかでは「お前のやりたいことは聞いていない。いいからやるべきことをやれ。」と会社や上司から制限をされることも現実には少なくないと思います。

どんなに学生時代に「あれをしたい!これをしたい!」という「Will」を描いていた人でも、そのように会社から一度フタをされてしまうと、人は自分が本当に何をやりたいかを考えることを辞めてしまうのです。

本来は高く跳べるはずのノミが、一度フタの付いた瓶に入れられてしまうと、二度とフタの高さ以上には跳べなくなってしまうように。

一方、会社員が与えられる会社の仕事に対して、複業は誰かに命じられてやるものではなく、自分の意志でやると決めて実行していくものです。

”Why to do” 
”What to do”
”How to do”

なぜやりたいのか、なにをやるのか、どうやるのか、基本的には全部自分で決めないといけません。もちろん誰かに相談することはできますが、最終的には自分次第なんです。

実際に複業をやってみることや、思考実験としてどんな複業をしようか考えてみることで、人は本来自分が持っていたWillを取り戻すことができます。

複業によって、改めて自分の市場価値を確かめることもできます。自分ってこんなことができたんだ、意外にもこんなスキルで人に貢献できるんだ、と自己効力感にも繋がります。

健全な自己効力感や自己肯定感を保つことは、結果として、本業へのモチベーションもあがっていくという好循環にも繋がるのです。

もうひとつの、「〇〇できない」という言い訳を失くすことができる、ということについてですが、会社員に限ったことではありませんが、「本当はこんなことやりたいけど、会社が全然理解してくれなくてできない。」といった悩みはよくあることだと思います。

こうした悩みへの答えはシンプルで、「本当にやりたいのであれば、まずは自分でやってみては?」ということなのですが、自分でやってみたら?というアドバイスをしても、今の世の中では、「うちの会社は副業禁止なんですよね(=だからできないんです。)」と言い訳ができてしまいます。

副業解禁が実現すれば、やってみたいならまずは実験的に「複業」でスタートすればいい、という選択肢ができるので、個人のやりたいことができないといった不満を解消することができます。そして、個人はやりたいことが「〇〇のせいでできない」といった言い訳ができなくなるのです。

こうした理由から、僕は「副業解禁」や「複業支援」のために様々な活動をしています。

もちろん、すべての人が複業をすべきとは思っていませんが、「複業にチャレンジしたい人が複業ができる」という働き方の選択肢を増やすことは重要だと思っています。

とはいえ、今まで副業禁止だった会社が副業を解禁したとしても、急に複業をする人が増えるわけではありませんし、複業のできる社会になったからといって、すぐにエンプロイー・エンゲージメントが上昇して、やりがいに溢れた日本になるとも思っていません。

「複業」をいわゆる意識高い系の人たちだけのものではなく、すべての人々の人生の選択肢のひとつとして増やすことで、誰もが自分の人生にオーナーシップを持ち、人生という舟のオールを自分の手で持ち漕いでいくことができる未来の実現を目指していきたいと思います。

そこまでにはおそらく10年程度はかかると思います。

2030年まで残すところ12年ーー。

まずは2020年までに、上場企業における副業解禁100パーセントを目指していきます。


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