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「コミュニティマネージャーのためのLT大会 Vol.01」イベントレポート #CMLT

ここ数年で一気に増えた「コミュニティマネージャー」という役割。まだノウハウが確立しておらず、孤独を感じる人や独学の難しさを感じている人も多いと思いはず。

そこで企画したのが、コミュニティマネージャーのためのLT大会 #CMLT です。様々な悩みや課題を抱えているコミュニティマネージャーのために、お互いのナレッジをシェアする場として立ち上げました。

第一回目となる今回は、黎明期からコミュニティを立ち上げ、コミュニティマネージャーとして成果を出し続けてきた先輩コミュニティマネージャーたちがゲストとして登壇。それぞれのコミュニティマネジメントのカタチについてLT(=ライトニングトーク)形式で発表してもらいました。

・どうしたらコミュニティを面白くできるのか?
・メンバーが自走できるコミュニティとは?
・メンバーの熱量の上げ方は?
・コミュニティをマーケティングに活用するには?

など、コミュニティマネージャーの悩みを解決するヒントが盛りだくさんです!

合同会社Obu 代表 小父内 信也さん「Community2.0」

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小父内さん:
私はもともとSansan株式会社という名刺システムの会社で10年務めており、半年前に独立。今は主にコミュニティ関連事業を生業にしていて、Sansan株式会社が運営する名刺アプリ「Eight」のコミュニティマネージャー含め、7社の顧問をさせていただいています。

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私の人生のテーマは「世の中の凸凹をなめらかにしたい」というもの。需要と供給のアンマッチを、足し算や引き算することでなめらかにしていきたい、というのが僕のモットーなんです。

そんな私が、これからのコミュニティについて考えているのは、令和2年に加速する2つのこと。それがこちらです。

①マルチコミュニティ
②クロスコミュニティ

まず一つ目ですが、マルチコミュニティによるセルフコミュニティ化が促進されると考えています。

人って実は、すでに複数のコミュニティに属しているんですよね。たとえば、学校や地元、会社、スポーツクラブ。いろんなコミュニティにマルチに属していて、それが自分に収斂されるんです。そこで、セルフコミュニティをいかにマネジメントするかが重要になってきています。

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たとえば、あるコミュニティから「この人を紹介してほしい」と言われて人を繋ぐとしますよね。そうすると、化学反応が起きる。僕には、人と人を繋ぐことで人生をより良くしている実感があります。そのためには、セルフコミュニティをいかに丁寧に組み立てていくかが重要だと思っているんです。

二つ目として、クロスコミュニティによるAll Happyモデルへの移行が加速すると考えます。勝ち負けはどうでもよくて、「好きだから集まっている」という形で共創していく。その中で、関わる人みんなが嬉しいというモデルを追求しよう、ということです。

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コミュニティ同士をクロスさせていって、そこで起こる化学反応を楽しむ。そういったことが、この先どんどん進んでいくと考えています。

実は今、Eightのコミュニティとfreee株式会社のコミュニティとで、クロスしてコラボレーションすることを考えています。具体的には、お互いの得意分野の話を聞けるようなミートアップですね。そこで何が起こるのか、これから実験していく予定です。

株式会社MorningLabo 取締役・朝渋代表 井上皓史(5時こーじ)さん「自走型コミュニティの作り方」

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井上さん:
早起き村の村長として、3年前から「朝渋」という朝活コミュニティを運営しています。朝渋は、イベントを開催している渋谷だけでなく、全国で計350人ほど在籍するコミュニティ。

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そんな朝渋に対し、「どうしてメンバーが高い熱量を持って活動できるんですか?」と聞かれることがあるので、私の考える自走型コミュニティの作り方についてお話しします。

まず朝渋では、メンバーがオンラインとオフライン両方でコミュニケーションを取れるような仕組みを作っています。メンバーを8人ずつに分けてFacebookメッセンジャーグループで「おはよう」「おやすみ」を言い合ったり、朝からどんな活動をするのか報告し合ったり。月に一度はそのグループでモーニングに行ってもらい、オフラインでも活動してもらいます。

次に、「朝渋KNOCK」というコミュニティ参加前の3ヶ月間修行プロジェクトを作りました。

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そもそも朝渋のメンバーは、イベントに参加して「朝起きて学ぶっていいな」「これを機に朝活しよう」と思ってくれた人たちが、コミュニティ自体に興味を持って加入してくれるんです。そうして、月に約15人ずつメンバーが増えていきました。

しかしメンバーが150人ほどに増えた頃、すでに早起きできる人とこれから早起きしたい人との間で衝突が起こり、コミュニティがまとまらない状態に。その解決策が「朝渋KNOCK」だったんです。

3ヶ月間は、朝渋のことをより知ってもらうことや早起きの習慣を身に付けることにフォーカス。このプロジェクトが終わってから、コミュニティに参加してもらうようにしたんです。そうすると、やる気の高い人だけがコミュニティに入ってきますし、熱量の高い人が定期的に入れ替わって熱量を注入していってくれるんですね。

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その結果、メンバーが高い熱量で自走してくれるコミュニティができました。ただ、修行プログラムを導入したことでメンバーの拡大が緩やかになったので、そこは課題意識を持ってこれからも試行錯誤していきたいですね。

日本経済新聞社 永吉貴志さん「Nサロンのリアル」

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永吉さん
「Nサロン」というのは、日本経済新聞社とnoteが共同で立ち上げたコミュニティ。副業全盛期の今、会社の中だけで色々と活動するのは難しいという人たちのための「会社の外で個の力を高める場」として、約一年運営しています。

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2019年2月〜4月で第一期を、2019年7月〜12月で第二期を開催。どちらもnoteの人気クリエイターや日経が推すビジネスリーダーを講師に呼んで、ゼミやイベントをによる学びの場を展開してきました。

今回は、この第一期と第二期それぞれの狙いと開催してみた結果や気付きをリアルにお伝えしたいと思います。

まず開催の目的ですが、日経としては「新聞を読む人は多くても発信する人が少ない」という点に課題を感じていたため、発信者を発掘したかった。そしてnote側は、noteを書いたことがない人の裾野を広げたいという考えがありました。

第一期は、3ヶ月間の参加費が69,800円で230名ほど応募があり、選抜して97名に参加してもらうことに。2日に1回の頻度でゼミイベントを開催し、参加率は約50%。noteを使った発信は200件ほどありました。日経の活動をnoteやSNSで発信してくれるアンバサダー的な人たちが生まれたんです。

第二期は、月額5,000円で約200名が参加。参加費を下げたのは、日経の将来のコンテンツメーカーになりうる人を生み出したくて、とにかく人数を集めたかったからです。この事業に関しては「儲けは出なくていい」というコンセプトでしたので。

ただ、月額制に変えたことで、入ってくる人もいれば辞めていく人もいるため、メンバーの熱を上げることの難しさを実感したんですね。イベント回数を増やしてメンバーの接触頻度を上げても熱は全然高まらなかったし、新規メンバーも増えないという状況に陥りました。

この理由は、メンバー主導の非公式部活動にあります。イベント以外のところで、メンバーの熱が上がっていたんですね。しかし、非公式の分散化した部活動の集まりを「Nサロン」と定義していいのかというのが運営側の悩みでした。

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運営側としては、ここから次世代のリーダーたちを生み出したいという想いがあったので、ちゃんとした学びの軸を作りたかった。そこで、イベントコンセプトを見直して型を作ったんです。

「リーダーになるには何が必要か」というところからコンセプトを作っていった結果、自分を知ってそこから発信をするという、インプット・アウトプットの精度を個々人が高められるゼミプログラムができました。これにより、新規メンバーは前月比150%アップ。メンバー参加率もかなり上がったんです。

2020年4月から始まる第三期は、第二期までの気付きを元に、伝える・巻き込む・考えるというクリエイティビティの土台を作れるようなプログラムを考えています。

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株式会社はじまり商店街 共同代表取締役兼コミュニティビルダー 柴田大輔さん「はじまりを、はじめる。」

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柴田さん
1年半ほど前に、株式会社はじまり商店街を創業しました。街づくりや場の賑わいづくり、各種コミュニティ支援を行なっていて、2019年は年間358本のイベントを開催。今は都内の拠点10ヶ所を中心に、いろんな場所の賑わいづくりをやっています。2020年は浅草で「ニュータマリバ」という拠点を運営していく予定です。

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「はじまり」が始まらない時代なので、僕たちは「はじまりを、はじめる。」をビジョンに掲げて活動しています。最大の特徴は、場所を持っていないこと。そのため、自治体を含めた色々なところと協業してイベントを開催しているんです。

そんな僕たちが考えている「場づくり」のポイントをお伝えします。

はじまり商店街を創設したときにイメージしたのは、「誰もが”はじまり”を始めてるといいな。」ということ。だから僕は、イベント参加者に次のようなことをよく質問しています。

・あなたのやりたいことは何ですか?
・地域でよく行く場所はありますか?
・どんな繋がりを作って、生きたいですか?

「ジブンゴトを考える。」ということもよく伝えています。自分の「好き」や自分の決めたことが、コミュニティを運営する上で大事になってくるので。自分のやりたいことを実現して仕事にする。人や社会のせいにしない。そうするとだんだんジブンゴトが見つかるんじゃないかと考えています。

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また、僕らはPDCAの代わりに「FARM」という行動指針を作りました。

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F:Feel(感じる)
A:Action(実行)
R:Repeat(繰り返す)
M:Move(移動)

FeelとActionを繰り返すことで、いろんなものが見えてインプットが溢れてきます。その後、アウトプットするために移動したり越境したりして、普段と違うコミュニティの存在を知る。そこでコミュニティを混ぜていけば、また新しい価値観に出会えるわけです。

コミュニティの始まりに必要なのは「あなたは何がしたいですか?」ということ。やりたいことや好きなことの話をしながら「はじまりを、はじめる。」のが理想ですね。そして場づくりやコミュニティ運営をやりたい人は「愛」「継続」「編集」も大切にしてほしいと思います。

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CMLT共同代表・株式会社HARES代表/複業研究家・西村創一朗「BtoBマーケティングとしてのコミュニティ活用」

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僕は3年前、株式会社リクルートキャリアを退職して独立。現在は複業研究家として、企業の副業解禁支援や個人の複業支援をしています。また、700人ほど在籍している複業実践者のコミュニティ含め、4つほどコミュニティを運営しているほか、企業のコミュニティマーケティング支援なども行なっています。

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そこで今回お話しするのは、「ゼロからはじめるコミュニティマーケティング」の入門編についてです。

コミュニティとはそもそも、共通の興味関心や趣味、職業、出身地など、なんらかの「共通項」を持った複数人が集まる「場」のことを指します。チームの場合は共通の目的・目標を持ちますが、コミュニティの場合は共通項さえあれば成立するわけです。

そんなコミュニティには、4つの偉大な力があると考えています。

①加熱する力
②保温する力
③学びあう力
④つながる力

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コミュニティの持つこれら4つの力が、見込顧客の獲得や獲得顧客のナーチャリング、既存顧客のカスタマーサクセス(満足度アップ)といった形でマーケティングに活用ができることから、「コミュニティマーケティング」と呼ばれているんです。

様々な既存のマーケティング手法がある中で、それだけでは達成できないことがコミュニティならできる。新規顧客獲得からリードナーチャリング、そして契約後のカスタマーサクセスに至るまで、マーケティングの新たな方法としてコミュニティマーケティングがここ2〜3年注目されています。このコミュニティマーケティングの成功法則として僕が考えているのが、以下の4つのステップです。

STEP1:顧客に「憑依」する
STEP2:インフルエンサーを巻き込む
STEP3:オンライン×オフラインで熱量を高める
STEP4:リファラルを促す

まずは「コミュニティ参加者はどういうことを求めているんだろう?」と、相手に憑依するレベルで考え抜くことが大切。それがユーザーにとってのメリットとなります。その上でコミュニティの引力を高めるために、インフルエンサー(=その界隈における影響力を持った人)を巻き込む。

オフラインは加熱力が強いのですが、そこで高めた熱量を保温するためにオンラインでコミュニティを持っておくことも重要となります。ある程度メンバーの熱量が高まってきたら、コミュニティを紹介してもらうよう促し、参加者増加に繋げるのです。

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これからコミュニティを持とうと考えている方や、コミュニティマーケティングに挑戦したい方はぜひこの4ステップを意識してみてください。

CMLT共同代表・議論メシ主宰 黒田悠介さん「毎月イベントが20回開催されるコミュニティの能動性のデザイン」

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私はディスカッションパートナーとしてフリーランスで4年半活動しており、経営者の壁打ち相手をしています。今はコミュニティ運営がメインで、「FreelanceNow」「議論メシ」という2つのコミュニティを運営中です。

今回は「議論メシ」というコミュニティについて、「人を始点にするコミュニティ運営」というテーマでお話しします。

このコミュニティは2年半ほど前に立ち上げた、議論をするためのコミュニティです。ほぼ毎日イベントがあって、そこで議論をするのがメインコンテンツ。月間20〜30件くらい毎月イベントが開催されているのですが、大半はメンバーが開催しているんです。「議論メシ」では、誰もが自分でイベントを開催できる状況を作っています。

そのために、ジブンゴトをイベント化してもらうようにしているんです。たとえば「魚食文化を日本に残したい」と考えている人がセッションを開催するなど、必ず個人からテーマをもらいます。常に人の数だけテーマがあるわけです。

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だから新しい人が入ってくるたびに一対一で話をして、「あなたのジブンゴトの問いはなんですか?」と聞き、その人のイベントを立てる……といったことを続けています。「想いがあるならやっちゃいましょう」と後押しをするのも大事です。

このとき、誰に声を掛けるべきなのかがポイント。温度が40〜50℃の人を100℃にするのは大変なので、「この人沸騰しそう」という99℃くらいの人を見つけて声を掛け、100℃にするのがベストです。このふつふつ感を見極めるために、Twitterでメンバーの活動をチェックしたり、イベント会場で直接声を掛けたりしています。

沸点ギリギリのメンバーに対しては、ジブンゴトの問いの言語化を支援し、言語化できたテーマでメンバーにイベントを周知する。そうして開催されたイベントの場で熱量が発生し、その熱量に別の誰かが感化されてジブンゴトの沸点になっていく……というループを回しています。

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これによって、途切れることなく毎月20件以上のイベントが開催される状況が作れているんです。人を「始点」にすることを重視しながら、みんなが何をしたいのか聞いて、それを実現できる状態にしておくこと。ここを意識してコミュニティデザインをしています。

第2回を開催予定!

以上、6人のLTの一部をご紹介しました!オフレコトーク満載!だったのでだいぶ省いてコンパクトにまとまっていますが、「動画をみたい!」という方はこちらからどうぞ!ご購入いただけた方には、動画視聴用のURLをお届けします。

また、第2回を5月頃に開催する予定です。興味ある!という方はこちらからフォローいただければ、イベント公開と同時にお知らせできます。

登壇くださったみなさん、参加者の皆さん、ありがとうございました!!!

Special Thanks

今回、元々オフライン開催を予定していたのですが、今回のコロナウイルスの影響で「オンライン開催への切り替え」を決断しました。

今回、オンラインでの配信を行う上でネックになったのが、僕も含めてオンライン配信の機材・技術・ナレッジがない、ということでしたが、今回ピンチヒッターとしてフォトグラファーで動画も得意な矢野拓実さんに打診したところ、「いいですよー」と快諾してくれました…!感謝!

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イベントや採用説明会など、オンライン配信を検討している方も多いかと思いますが、ぜひ矢野さんに頼ってもらえたら!と思います。

こんな募集もしているそうです👇


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