いつか真っ直ぐに「好き」って伝えられる日が来たらいいな
船で行った泊りがけの実習。
行きの船内で、ある男の子に声をかけられ、僕は彼と話した。
彼とは同じ学科で、以前に少し話したことがある。
初めて会ったときは、「ちょっとチャラそうだな…。」と思ってやや身構えてしまったのだが、意外と穏やかな子だった。
実習中も移動の班が同じで、よく話した。
色白で、すらっとした首とか手足。
うーん…好き。
思えば高校生の時に好きになった男の子もそんな感じだった。
好きといっても、外見だけではない。
話しているととっても心地良い。
こちらの話をちゃんと聞いてくれるし、本当に穏やかに話す子だなぁ、と、内面にもすっかり惹かれてしまった。
帰りの船。
大部屋の船室から、ひとり抜け出す彼。
「どこへ行ったのかな?」
そう思って、デッキに出てみる。
「いた。」
もうすっかり暗くなった海を見ていた。
ちょっとだけ、二人きりになってみたかった。
出身地のこと、よく遊びに行く場所のこと、研究室配属のこと…
向こうの海岸線を縁取る夜景を見ながら、色々なことを話した。
もう十分好きなのかもしれない。
でも、「好きになっても辛いだけだよ。」って言っている自分が
心のどこかにいる。
だから、本当に好きなのかよくわからない。
「相手男だしなぁ。」と理由をつけるのはよくないかもしれない。
異性だって同性だって、「好き」という感情は難しい。
あるいは僕がまだ大人になれていないだけなのか。
好きになるのが怖い。
結局また、自分の中で気持ちを飲み込むだけになってしまった。
いつか真っ直ぐに「好き」って伝えられる日は来るのかな?
来たらいいな。
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