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「私は偏見ないから」という問題

LGBTQについて啓発する資料には、「カミングアウト」と「アウティング」について書かれています。

例えば、東京都が発行する「多様な性について知るBOOK」には、次のように説明されています。

カミングアウトは

本人が自発的にセクシュアリティを他の人に打ち明けること

東京都『多様な性について知るBOOK』(2020)

アウティングは

誰かの性のあり方を第三者に勝手に伝えること

東京都『多様な性について知るBOOK』(2020)

両者の違いは、本人が伝えるか本人以外が勝手に伝えるかということ。

カミングアウトしたときの反応は人によって様々だといいます。
「これからも変わらず仲良くしよ!」と言ってくれる人や、中には嫌悪感をもつ人も。
人の考えはそれぞれなので、反応もそれぞれで良いと思います。

反応の例として、
「私は偏見ないよ」とか、「そんなのたいしたことないよ~」とか、
言ってくれる人がいるようです。

理解してくれるのはとてもありがたいです。
ただ、同時に心配になってしまうことがあります。

それは、
私は偏見ない→わざわざ隠すことはないよね→第三者に話してしまう
という流れです。

先ほどの東京都の資料でいえば、

「あなたがトランスジェンダーであることは、先に部署に伝えておいたから安心してね」

東京都『多様な性について知るBOOK』(2020)

という例があります。

これってアウティングではありませんか?

そう。悪気はなくとも「よかれと思って」第三者に話してしまうことがあるのです。

もちろん、カミングアウトした本人が「他の人に言っても構わない」というなら問題ありませんが、そうでない場合話すべきではありません。

というのも、たとえ周囲の人に偏見がないと分かっていて、きっと受け入れてくれると思っていても、カミングアウトするには多少の心の準備が必要です。

「まずこの人とこの人に話してみて、あの人にはこのタイミングで伝えよう。この人にはわざわざ伝えなくてもいいかな。」などと色々考えているのです。(少なくとも僕は)

難しいですね。カミングアウトが必要ない社会ならば、そんなことを考えることもないのかもしれないけれど…。

カミングアウトをされる側にとっても、驚いたり、すぐに受け入れられなかったりすることはあると思います。
啓発資料によく書かれているのは、カミングアウトをされた際に相談したい時には「守秘義務のある相談窓口に相談する」という方法です。

感じ方は人それぞれです。そういうことを全く気にしない人もいれば、勝手に言いふらされて生きていることさえ辛くなる人もいると思います。もし困ったら、カミングアウトしてくれた本人と話してみるのも良いかもしれません。

今回は、カミングアウトを受けた際に、ひとつ知っておいてほしいと思うことを綴ってみました。

肝心の僕はというと、まだ誰にもカミングアウトしたことはありません。
(したこともないのにこんな記事を書いてしまいましたが…)

僕のカミングアウトについては、またの機会に綴りたいと思います。

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