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バイクは急には曲がれねぃ

日常をいっぺんに変えてしまうような幸福な出来事が起こることを待ち望んでいる
でも、日常は物語の旋律を外れているからこそ日常である
急にハンドルを切ったら思い切りコケてしまうから、目的地があるのならそれを見据えてじわじわとハンドルを切るしかない

去年の10月に中国地方に行ってきた
年も越して今更も今更なのだけど、楽しかったので日記にしておく

一日目
羽田空港へ向かう京急の中、電車が傾く線路で窓の外には空しか映っていなくて『CURE』のバスのシーンを思い出す

空港に着いて友達と合流して広島空港行きの飛行機へ、鬼酔う
空港からバスと電車を乗り継いで尾道駅に着く

尾道駅前を歩いてるとおばあさんにチラシを手渡される
今日は「灯り祭」があって、町中がお祭りになるという

尾道の町中に子供たちが描いた絵を周りに巻いたキャンドルが置かれていた
地元の人たちがほとんどらしく、広島の言葉が行き交う中を通り抜ける
いろいろ食べ歩いて町中でお風呂に入ってホテルに向かって一日目終了!
ホテルに着くとフロントでちょうどキングオブコントの優勝者発表が流れていた

尾道ラーメン 背脂がたっぷりなのでアツアツ
尾道ラーメンはどこも売り切れで店じまいが早かった
鯛でとった出汁とコクのある醤油スープ
尾道の夜景 ムーンリバーができてとても綺麗
尾道大橋がキラキラ
尾道のロープウェイのてっぺんにあるバカデカ展望台
構造が夢の中に出てくる建物みたいで良かった
なんとエレベーターもついている
ぐるぐる巨大な螺旋で展望台に登らせるトリッキー建造物
はっさく大福 酸っぱいはっさくと白餡の甘さが餅という母に包まれて…
大福界でいちばん好きかも
灯り祭で賑わう尾道駅前


二日目
特に観光!的なことをせず広島市内をうろうろする
『ドライブ・マイ・カー』のロケ地になったゴミ処理場に行く

170cmくらいあるように映った写真


夕方、山口に向かう、ホテルの近くにある小料理屋で魚をいっぱい食べる
ホテルで前日のキングオブコントを観返す
明日のバイクで走る道をしっかり頭に叩き込む、疲労感が気持ちいい

のどぐろの炙り 魚はほとんど食べないけど身が甘くてすごく美味しくて感動した
甘口の醤油と出されたけど身の甘さを感じたかったので塩とすだちで食べてみたら口の中で超新星爆誕
甘い日本酒とも合って天国!だった
また食べたい

三日目
雨の予報が出ていたけど起きて急いでカーテンを開けたら無事快晴でほっとする
そうだ、今日は体育の日、晴れの特異日だったと思う
早速友達とレンタルバイク屋へ向かう
お店のガラス戸越しにミニチュアダックスフンドが熱烈歓迎している

レンタルバイク屋のおじさんは優しいおじさんで(中国地方の人は優しい人が多い!)ヘルメットもグローブもタダで貸してくれた。
「ハナちゃん」というミニチュアダックスフンドはとても人懐こく賢い犬で、おじさんがハナちゃんを外のテーブルの上に乗せるとじっとしていて、他の犬(盲導犬)が道を通っても吠えたりしなかった。
かと思えば、少し撫でようと手を近づけただけでゴローンとヘソ天してしまう驚きの警戒力の無さが可愛かった。
ちいちゃい犬は存在として弱すぎるのであまり好きじゃないのだけど、ハナちゃん強火担になってしまった。

「先週免許とったばかりなんですよね」「保険は全損もOKのいちばん高い保険でお願いします」と言った後に、出発する時上手く操作できなかったのでおじさんもとても肝を冷やしたと思う。おじさんごめん。

大学の夏休みの時に友達と秋吉台に行ったことがあったが、バスでなだらかな道を走った先にあったものだと記憶していた。
だけど記憶はあてにならないもので秋吉台へ向かう道はバッチバチの山道だった
初めての公道がめちゃくちゃ山道でおじさん以上に肝を冷やした。
木、木、カーブ、落ち葉、冷たい風、坂道、カーブ、落ち葉、追い越し禁止車線、近い後続車
あまりに怖くてきっと人を殺しに行く時のような表情をしていたと思う。

数十分走ると秋吉台に入った、いきなりカルスト台地が目の前に広がるので笑ってしまう。「あぁ、ここまで来れたなあ」としみじみと思う。

秋芳洞を抜けた先にある通りで食べた瓦そば 話のタネになるからご当地グルメを食べようと思うのは社会人しぐさ
レンタルしたバイク CBR250R
足がしっかりつかなくて止まるたびに怖かった
後ろにハナちゃんが写ってる
数年ぶりに訪れた秋吉台はオシャレなカフェーができていた
前は食堂しかなかったのと夏に訪れたので太陽に遠慮なく照らされたことを思い出す


バイクの免許取って秋吉台を走ったら「なんだかなぁ」な日常が変わる気がしてた
でも特に何も変わらなかった
免許とって、自力で走ったって事実それだけ、でも「それだけ」で全然大丈夫

一つ胸が高鳴るほうへと転がってみると、次にしたいことが出てきた
大学の時ずいぶん好きだった人のこと
あの人のタフさと身軽さがずっとずっと羨ましかったこと
憧れた人が持っているものは自分でも手に入れたい

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