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1000人のハイパフォーマーに話を聞いてみてわかった共通点


創作の星野です。

個人で中小企業のコンサルタントをされているAさんに将棋を月に一度教えているのですが、ある時

Aさん「星野さんなら私と同じようなコンサルタントの仕事できる可能性あると思いますよ」
星野「どういうことですか?」
Aさん「将棋のこと説明するのがとても上手なのでーーーーー以下略」

一晩考えたんですけどやっぱり想像つかないんですよねー。どう思いますか、山内さん。ありえないですよねー。

山内「こういう話は、どちらかと言えばうかつにのっていいんじゃないか、と思います。仕事って周りからの頼まれごとなので、こういうことを頼みたい、と人が言うときは、自分で勝手に作った自分の限界を超えるチャンスなんじゃないかなと。もちろん、限界超えるときはとっても大変で、しまった! と100万回思いますけど。だから、うかつさがないとできません。でも超えた先の景色は広がっていて、ああ、あれは成長痛だったんだな、と終わってから思えるんじゃないでしょうか。私も成長痛で年中体が痛いです」


自分が変えられる領域にのみ注力している

星野:前回適職の見つけ方についてお話頂きましたが、今回は社内のハイパフォーマー(適職をみつけたであろう人)が普段どんな働き方や意識を持っているかということをお聞きしたいと思います。

山内:はい、そうですね。ハイパフォーマーの人にたくさん話聞いてわかったのは、当たり前だけどハイパフォーマーはすごいポジティブだってことです。悲観的に考えてやってる人ってあんまりいない。

星野:当たり前なんですね!どういうところからポジティブと感じるのでしょうか?

山内:性格はね、みんないろいろなんだけど、明日は今日より良くなるって思っているところだけは共通している。なぜそう思えるんだろうなと思いながら聞いていると、自分が働きかけて変えているからなんですよね。

星野:うーん、ちょっとピンとこないです・・・。

山内:自分が変えられるものをコントローラブル、自分では変えられないものをアンコントローラブルな領域とするとき、ハイパフォーマーの人はアンコントローラブルな領域にはこだわってない。
逆にね、アンコントローラブルな領域に囚われている人は、上司が悪い、取引先が悪い、協力会社が悪い、職場の環境が悪い、と変えられないものばかりに目が向いてしまいがち。その結果、自分は悪くないってなる。

星野:たしかに愚痴ばっかり言ってる人はハイパフォーマーではなさそうですね。

山内:たまにヒアリングでもね、ネガティブな話を放り投げてみるわけですよ。
そうはいってもこういうところ難しくて困ったりするんじゃないですかと。
でも、ネガティブでアンコントローラブルな話題は、それはそうなんですけどっていう一言で話が終わる。

星野:もうちょっと教えてほしいですね。笑

山内:これがハイパフォーマーじゃないとね、そうなんですよって言ってそこから愚痴が始まるのよ。でも、ハイパフォーマーはコントローラブルな領域が広いから目の前の自分の変えられる領域に注力することで精いっぱい。アンコントローラブルなことを考えている時間がもったいないんだよね。

星野:なるほど、コントローラブルな領域に注力している様子がポジティブな考え方に見えるということですね!

振り返りは俯瞰的な理解につながる


山内:もう一つの特徴があるとしたら、仕事ができるハイパフォーマーの話は総じてわかりやすい。これ何でだろうなって思うと、自分たちが見てるものについてちゃんと分析してるから。
よく僕たちがビジネスシミュレーション終わったとき、どうしていたらもっと良い結果になったと思いますか?っていう振り返りを入れるじゃないですか。

星野:はい、そうですね。

山内:これと同じことをハイパフォーマーは息を吸って吐くかのようにすべての出来事でね、振り返って改善しているんです。そして振り返りをすることで、俯瞰的にみることができる。サッカー選手でいうとプレーしていたのに観客席から見ていたかのように試合で起こったことを話せるようになる。
仕事の話で言えば、誰がいつ何をやったかがはっきりわかってて、時系列もしっかりしていて、どれが仕事の成功に決定的だったかもよくわかっている。だから話がすごくわかりやすい。
でも振り返らない人は、記憶がおぼろげで自分の見えてる範囲のことしかわかっていない。サッカーで言えば、左からボールが転がってきたから僕は一生懸命前に蹴りましたっていう話し方になる。それだと試合のいつどこでどう試合に影響したのかってところがわからない。

星野:なるほど、それは大きな違いですね。

山内:そう、ハイパフォーマーじゃない人の話は頑張ったことだけよくわかるんですが、全体像が見えづらいんです。

星野:こういう違いってどういうところで生まれるんでしょうか?

山内:この話は、前に話した仕事を選ぶ話とつながってくるけど、結局得意なことをやれって話になるんですよね。だって嫌いなことなんて振り返れない。好きだからもっと結果を出したいと思うから振り返るんだし、だから元々振り返れる人が成果を出してるんじゃなくて、振り返られるぐらい好きなことに取り組んでるから、より上手くなるんです。
そして、振り返ったら改善行動が大事です。努力が大事。
ピアノだって教室にいる時間だけじゃなくて、うまくなる人は家でけっこう練習するじゃないですか。好きだから練習できてうまくなる。うまくなるからますます練習して頑張るっていう。
究極は、習慣化でしょうか。習慣なので、全く練習が苦痛じゃないという。これが成功への、一番のカギですね。習慣化っていうのはお友達なんです、成功の。

星野:自然にできちゃう仕組みつくりは最強ですよね。

オンリーワンを実現するには


山内:一方で得意なこと一つだけだと先細りすることもあって、キャリアを考えたときは、自分の専門性を一つだけじゃなくて二つ持つことがオススメです。専門性を二つ持つことによって、ある種のオンリーワンになるし、独自の視点を持つ専門家になれる。
ヒアリングさせていただいたハイパフォーマーも「今、この仕事で活躍している人」というレベルの更に上に、「過去のキャリアの積み重ねで二つの専門性を持っていて、一段高い次元で成果を出している人」というのがいます。入社して10年たってから差がつくのは、この次元で仕事しているかどうかではないかと思います。

星野:そうですね、でもなかなか二つの専門性を身につけるって難しいんじゃないですかね。

山内:二つ目の専門性を獲得するチャンスって、頼まれごとに潜んでいると思います。ごくたまに、自分が好きか嫌いか、得意か不得意かちょっとよくわからない仕事が降ってくることがある。あれ、この仕事って、自分に向いてる? 断った方が良くない? って悩むんですよね。
こういう時は一旦騙されたと思って食べてみると、二つ目の専門性を持てるチャンスになる。自分のところに流れ着いてくるキャリアって意外にね、自分が引き寄せてるっていうか、結構好きになる可能性が高いもの、得意になる可能性が高いものだけが来ること多くて、何か全然関係ないものが流れてくることはあんまりないんですよ。
ハイパフォーマーでも、二つの専門性を意図的に選んで作っている人は少ない印象です。ほとんどの人は頼まれごとをやっていたら、自分でも思ってもいなかった専門性を獲得しちゃってた、というケースが多いように思います。

星野:山内さんのキャリアの中ではそうやって流れてきたことはあったんですか?

山内:ありますよ。私のキャリアについて少し話しますね。新卒では化学メーカーの経理でした。経営に興味があってその仕事を選んだわけで、そういう意味では大正解でした。300人ぐらい働いている製造部のひとつを一人で担当させてもらえるんです。2年目ぐらいのぺーぺーが。

星野:2年目で任されるとはやはり優秀だったんですね。

山内:一応、経営幹部候補として育成いただいたと思います。私が稟議あげないと設備投資できないので、その製造部の部長さん、課長さんから次々と相談してもらえる。とても勉強になりました。ただ……働く場所が四国の人口12万しかいない町だったんですよ。仕事以外の彩りがなさすぎて……。そこに10年いるのは我慢できなかったんですよね。それで、3年で辞めてオーストラリアへワーキングホリデーに行ってしまい、帰ってきてから転職活動していたんです。

星野:オーストラリア行ってたんですね!気になるけど、脱線必至なので転職の話にしましょう。

山内:はい、当時はコンサルティング業務に興味があっていろんな会社のコンサルってかっこいいなと思ってたら IT コンサルの仕事っていうのが転がってきて……。私はどちらかというとアナログな人間なので、ITにはまるで興味なかったわけです。だけど、コンサルってついてるし、貯金は10万円切ってるし、ほかに拾ってくれるところ一つもなかったんで一旦このキャリアを食べてみることにしたわけですよ。
でも入社して2年たったある時の上司に、「山内君、今回の評価は付けられる中では一番最悪な評価つけといたから」って言われたことがあって、そんなの本人に黙ってそういう評価をつけてくれればいいじゃない(笑)。まあよっぽどITコンサル向いてなかったんでしょうね。

星野:山内さんもハイパフォーマーじゃない時代があったんですね。今からは想像もできません。

山内:4年間もやっていたのにプログラムを一切書けない、読めない、駄目なシステムエンジニアだったんです。口八丁手八丁でシステムを作る話をしている、一番危ないITコンサルでした(笑)。
でも、今ビジネスシミュレーションを作る仕事で一番要望が多いのがIT領域なんです。私はシステムの仕事の醍醐味も、システムに興味ない人の気持ちも両方わかるので、すごく芸の肥やしになっています。やっぱり好奇心を持って何でも受け入れてみるってのが大事。
ITコンサルを4年間やったんだけど、向いてないことがよくわかった。それで辞めてしまうわけですけど、本気でやったからこそ向いていないことがわかったんですね。
今、ビジネスシミュレーション作る仕事に転じて思うのは、そういった偶発的なキャリアの積み重ねで、顧客企業理解×ビジネスシミュレーション開発という二つの専門性が武器になっているということ。二つの専門性を兼ねそろえた瞬間、オンリーワンが実現する。
ITコンサル領域は私より優秀なエンジニアがたくさんいます。そこで戦っても勝てない。そこで、二つの専門性の掛け算で、自分だけの専門性を作っていくのはキャリア戦略の一つとしてアリなんじゃないでしょうか。


インタビューから思うこと(星野良生)
将棋ではある程度のレベルになったら感想戦といって対戦を振り返るのが当たり前に毎回行うようになる。その中でも棋界の中で自分は感想戦がうざがれているかもしれないぐらい長い方だ。これは将棋が好きで好きでたまらないから長いというよりは、ただしゃべっているのが好きというのに近い。幼い頃、学校では人間関係が苦痛に感じていた時に、将棋というツールを通じたコミュニケーションが心地よかったんだと今になって思う。それを今でもこじらせてるだけ。順位戦という深夜まで行われる試合がたくさんあるときに夕方以降から何人かで深夜までああでもない、こうでもないとリアルタイムで検討するのが一番楽しい時間だったかもと思いだした。もうコロナ前のことだ。何が言いたかったというと周りに比べれば将棋好きではなかったのに振り返る習慣があったということ。
振り返ると言えばこの前のスライドとトークスクリプトどこ直されたか振り返らねば・・・ぐぬぬ 振り返らねばと思ってる時点で・・・ぐぬぬ。