心の会話ができる親子と認めてくれた校長先生との出会い。
昨夜、遅くまでスライム作りに勤しんでいたぴぃが唐突に話し始めた。
よく見るYouTuberの動画に心打たれたらしい。
「死にたいと思っても生きているのは、体が生きたがっているからなんだって。」
から始まり、
学校に行けなくなってから、毎晩のように寝る前に明日はどんな1日なるのかを考えてきた。
不安で不安で、もうこんなの嫌だ、終わりにしたいと何度も思ってきた。
でも、死ななかったのは、体が生きたがってるんだってことがわかった。
ぴぃは家族が一番大事で、家族に愛されていたいと思っている。
そして、今、パパとママの愛情をたくさん感じている。
ワンコが来て、幸せに感じられることもできることも増えた。
ミッケも落ち着いているから、これからたくさん楽しいことをしたい。
だから、生きていたいなと思った。
それでもやっぱり学校には行きたくないと思う。
ただまだ、自分が何をやりたいか、どうなりたいかは分からないけど、今この時間はいい意味で特別な時間だと感じることにした。
不安に思って過ごすより、楽しい気持ちで過ごした方がいいもんね。
大事なところを抜粋するとこんな感じに。
興奮気味に、息つく隙もなく、一気に話したぴぃ。
いってみたら自己啓発的な考え方を、YouTuberからの受け売りなのか、自分で考えて組み立てたのか、わずか11歳の女子とは思えないほど、しっかりとした口調で話していた。
その話の流れで、ぴぃがくれた悲痛な叫びが綴られた手紙の話になる。
あの頃は病みまくっていたから、思ってることを全部書いた。
誰にもわかってもらえないことが辛かったけど、ママはわかってくれようとしてるのも伝わっていた。あれはぴぃの八つ当たりみたいなもんだったと。
そして、生きている意味についての答えも、あの時ママがくれた言葉は、あの時の自分を救ってくれるものではなかった。ということも言っていた。
そうなんだよ、今どうにかして欲しい人に、この先のためと言っても、そう思ってやり過ごせるほど簡単な状況ではない時もある。きれい事はアウト。
ぴぃの方が、よっぽど自己分析ができてるんだよな。
それらを聞いた私は「生きていたいと言ってくれてありがとう」と伝えるのがやっとだった。
ぴぃは前を向いている、過去の辛い出来事もしっかり俯瞰できている。
のに、私の気持ちは全然晴れていなかった。
やっぱり、どんなに友達が来て楽しんだ日でも、どんなに家族で笑って過ごした日でも、1日の終わりに噛み締めるのは不安な気持ちだけだったということが、本人の口からしっかり聞かされて、複雑な気持ちでいた。
私は今日、学校へ行った。
校長先生と担任の先生と、7月中旬に控える修学旅行についての話し合いのために。
学校側としては、ぴぃが安心して過ごせるように、さまざまな対応を考えてくださるとのことだった。
校長先生とは初めましてだったが、「ぴぃさんのことは聞いています。私達の勝手な意見ですが、修学旅行には涙が出るほど来て欲しいと思っています。」という第一声にお人柄の良さを感じ得ずにはいられなかった。
私はつい心ほぐれて、昨夜のぴぃとの会話をざっくりと聞いてもらう。
そして、今ぴぃはすこし意欲的にはなっているけど、修学旅行については行ける気がしないと本人は言っている。
私の気持ちとしては、行けるか行けないかではなく、ぴぃ自身の行きたいか行きたくないかの判断に委ねたい、と伝えた。
校長先生は、私の話を口を挟むことなく、何度も頷きながら、時々驚いたような感じで聞いてくれていた。
そして校長先生は、もちろんぴぃの気持ち優先でということで、
・もし当日になって行きたいとなった場合の2人分の宿の確保。
・心の負担にならぬよう修学旅行ではなく、お母さんとの旅行ということで基本は別行動にする。
・もし参加したいグループ行動があった際、当日のスケジュールがスムーズに共有できる対策をとる。
を検討してくれるとのことだった。
最後に、「今日、お母さんとお話しできてとてもよかったです。ひとつ感じたのは、お母さんとぴぃさんの心の会話がしっかりできていることに感心しました。そんな親子の会話を初めて聞きました。ぴぃさんのお年頃でその会話は難しいと思うんです。」と言った。
その言葉に、なんだか救われたような、報われたような、昨日までの複雑な思いが一気に吹っ飛んでいく感覚がした。
やっと、なりたかった母親になれてきたのかもしれないと思えた。
うれしくて、うれしすぎて、最後の最後に涙が止まらなかった。
もう一度、修学旅行についての話し合いの機会を設けたいと校長先生は言った。
修学旅行への淡い期待なんてとっくにないけど、でも私はまたこの校長先生と話してみたいと思った。
今日ともう一回の話し合いが無駄に終わっても、意味のある時間と思って過ごしたい。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?