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冬の知床初体験。野生動物たちとの楽しい週末①(2023.2.10)

ANAのセールで全国片道7000円というのが出ていました。さあ、どこへ行こうかと家族会議を開催した結果、流氷を見ようということになりました。
私はオホーツクの流氷はすでに見たことがあったので、今度こそ羅臼側の根室海峡の流氷とバードウォッチングをしたいと思い、根室中標津空港便を確保しました。
寒さ対策などあれこれ準備を楽しみつつ当日を迎えましたが、なんと当日は東京が雪・・・。飛行機はさすがに大丈夫だよねと不安の中の出発です。
私だけちょっと会社に寄る必要があり、先に出勤、用事を済ませて電車内で合流しました。
雪とはいいながら、羽田に向かう車窓は雨に変わりました。空港はそれなりの人がいましたが、いつもと違って朝早い便ではないので、わりとスムーズに通っていけました。初めてのサテライトからの出発。椅子が居心地の良いものになっていて、長居できそうです。

サテライトターミナルはとてもきれい

搭乗は定刻通りだったものの、翼に凍結防止剤を噴射する作業もあって10分ほど遅れての出発でした。

寒い雨の中ご苦労様です

北海道には襟裳岬から入り、そのまま釧路湿原上空を通って一度標津方面へ抜け、旋回して東から中標津空港へと着陸するルートでした。

根室海峡に突き出た野付半島と氷結した野付湾
根室海峡を挟んで国後島もはっきりと見える
知床連山もくっきり。羅臼岳がたっぷりの雪に覆われている
ウッディな中標津空港

中標津空港に到着して、少し外に出てみると、意外とそれほど寒い感じがしませんでした。おそらくー5度くらい。これならいけるなという感じです。
レンタカーを借りて、初めての冬の北海道の道を一路羅臼へ向かいます。
道はまったく凍っておらず快適なドライブ。森の中にエゾシカもいて、興奮が高まります。
まずは今夜シマフクロウ観察のためにお世話になる「鷲の宿」へ向かいます。今回の宿泊は鷲の宿ではなくシマフクロウオブザバトリーだけの利用ですが、その日は外国からのツアー客が多く、それらの方々が帰った後でならということで受け入れていただいたので、宿の方が不在となる前に利用料をお支払いしつつ、暗くなってからではどういうところかわからないので、下見も兼ねて向かいました。

鷲の宿は手前の家。奥の茶色の建物は観察小屋、左のバスも観察用
駐車場から後ろを振り返ると、意外にも道も近くすぐ海という立地
裏手に滝が氷結していた。美しいブルーの水が見える
エゾシカもこちらを見ていた

場所のイメージがよくわかったので、鷲の宿を見学しておいて正解でした。
そこからまた来た道を戻って、今回の宿、「民宿まるみ食堂」へ。

途中羅臼岳がしっかりと見えた
民宿まるみ食堂は観光船アルラン三世と同系列。リニューアルしたばかりです
宿の前からは待望の流氷が白い線になって見えた。ちなみに朝には沖に流れてしまっていた
こちらが宿泊した部屋。もとは居間だったようで、大きなテレビにバー風のカウンターにびっくり
続く部屋に布団が置かれていた

まるみ食堂の上の階が民宿となっていて、リニューアルされたばかりとのこと。今回は私たち以外は仕事で来ている人たちが宿泊していました。残念ながらお風呂はなくてシャワールームなのですが、羅臼の場合は夜も早朝も動き回るので十分でした。
今回宿泊させていただいた部屋は、きっとここにオーナーがお住まいだった頃の部屋のようで、親戚のうちに遊び気にたような雰囲気で、なんとも落ち着きました。ただ・・・広すぎて部屋が温まりづらいのは難点でしたw
部屋からは白い帯になっている流氷が見えて、その奥には国後島。知床に来たな~という気分が否が応にも盛り上がります。

まるみ食堂の夕食

夕食は地元の魚介がたっぷり。中でもスケソウダラの煮つけ、ホッケと鮭の氷頭の飯寿司、ソイのこぶ締めが絶品でした。いくらのしょうゆ漬けもさすがにおいしくて、ご飯が進みます。
ご飯の後は仮眠です。40分ほどは横になりましたが、あまり眠れないので、シマフクロウに会いに行く準備を始めました。家族は翌早朝のクルーズに備えて、寝る準備です。
ツアー客が帰ったころにお電話を頂くということでしたが、眠れないので9時ごろにそろそろツアー客は帰ったかなと思い、鷲の宿へ向かうことにしました。宿に入る道は、意外にも煌々と街灯がともっていました。シマフクロウは人の暮らしの近くに暮らす鳥なのだということがよくわかります。
指示通り駐車場に車を停めて、静かに川に鳥がいないのを確認して、観察小屋に入ります。10人以上の人が静かに鳥を待っていて、小声で「こんばんわ」と言っても無反応・・・。よくよく見ると、皆さん外国の方でした。それは通じないか。
端の方に移動して、撮影の準備を始めると、ツアーの皆さんは時間になってしまったようで、一気に帰ってしまい、プレハブにはおひとりが残りました。バスの中にも4人ほど、宿にはお1人いらっしゃったようです。

観察小屋の前は特殊な電気がつけられている

観察小屋の窓はすべて外してありましたが、ツアーの方が帰ったのでということで、宿の方と一緒にガラス戸を嵌めます。梟が来たら開ければよいとのこと。ストーブがともる暖かい環境で梟を待てるのは快適です。
そうこうするうちに日本の方1名、シンガポールの方2名が来られて、このメンバーで一晩を過ごすことになりました。

コーヒーやお茶も飲み放題で話をするのも自由。なかなかに快適

この施設では、数年前からシマフクロウが最も活発に動く薄暗い時間帯と同じ照度の照明を、フクロウも人間も認識しない1/80秒間隔で1/800秒点滅照射することで、一定の設定をすれば暗い状況でも撮影が可能という装置を使用しています。フクロウも一定の場所で一定の動きをする人間を気にすることなく、自然の状態で餌を取りに来る状況を作るということを実施しており、そのことでシマフクロウの保護と撮影者や観察者が自然を荒らさないようにするということを行っているとのことです。
なんといっても国内に150羽ほどしかいない天然記念物なので、保護と観察のバランスをしっかりと取る必要があるというのはよく理解できます。

キタキツネやエゾシカも通って行く
飛んできたシマフクロウ
池の魚をつかんだ
明け方には2羽が木にとまった(右下の端に1羽)

私が観察小屋に着いたのは21時で、ツアーの皆さんたちは結局フクロウを見られずに帰られたとのことでしたが、おしゃべりをしながら待つこと1時間以上、22時25分にふわっと1羽が飛んできました。そして5分ほどの間滞在し、1匹の魚を食べ、また音もなく飛び去りました。
その後もエゾシカやキタキツネが通り過ぎたりして飽きることはありませんでした。
続いて2時間後の0時を回ったころにまた1羽、今度は2匹を食べる間いてくれましたが、10分も経たず飛び去りました。でも、バスの中で撮影していた方から教えてもらい、この個体はこの後バス近くの枝の上にとまったそうで、暗い森の中にじっととまっている姿が見えました。
ここからが長丁場。数人の方が宿に帰って行きました。おしゃべりも尽きた頃、3時を過ぎてもう1羽が木の上に現れ、ようやく餌場まで来たのは3時30分ごろ。
一晩で合計3回(近くの木の上には長時間滞在)姿を見ることができました。おそらく2個体ではないかと思います。シマフクロウの写真は別記事でもまとめます。
年間数日一度も来ないことがあるそうですが、何とかみることができ、徹夜した甲斐がありました。
この頃は明け方が活発だということですが、そろそろクルーズのために家族を起こさなくてはなりません。そっと鷲の宿を後にし、宿へと帰りました。
宿を出発するまでの30分、わずかな時間を仮眠に費やし、ここまでが私の知床初日となりました。初日からなかなか濃い知床を過ごすことができました。

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