親日と言われる「台湾」の採用市場とは? 13年台湾で過ごした原体験から台湾の採用市場を紐解きます🇹🇼
みなさんこんにちは!ポテンシャライトの渡辺です。
今回は、普段ポテンシャライトがアウトプットしている内容とは少々異なる記事です。
「台湾の就職 / 転職活動」
について実際の体験談を踏まえてご紹介させていただきます!
まず、簡単に自己紹介をさせていただきます!
私が通っていた台湾大学は、1学年で10,000名くらい在学しており、そのうち日本人は私含めて10名以下でした。卒業後に日本に戻ってHR企業に所属しているのは、おそらく私含めて数名程度かと思います。
そのため、台湾の就職 / 転職市場と、日本の就職 / 転職市場の両者を理解しているHRパーソンは、もしかしたら私くらいなのでは?と思い、このブログの執筆にいたっています。
他国と日本の採用活動を比べることで、何か新しい発見が生まれるきっかけになれば嬉しいです!
では、スタートです💁🏻♀️
1. 台湾の「就活」市場
1-1. 台湾には「就活」がない
まず第一前提として、台湾には「就活」という概念がありません。
※本noteにて「就活」とは、新卒学生の就職活動を指しています。
理由の一つとして、台湾に存在する「兵役制度」が挙げられると思います。多くの男性は大学を卒業後、服務期間を終えてから就職活動を始めることになります。
その為、日本のように「就活期間」が明確ではなく、大体の学生は卒業後3ヶ月〜1年かけて最初の就職先を探すことが多いです。
当時の自分は就活という概念が頭にあったため、大学4年生後期は論文制作に追われながら「就活」をしていましたが、周りには何を焦っているんだと不思議な目で見られていました😅
今でも台湾では 大学=学業専念 が主流です。
しかし最近では、企業が大学に来校して「就業博覧会」(日本でいうジョブフェス)を行うようになりました。大多数の企業が理系学生(未来のエンジニアなど)に向けてアプローチをする場となっています。
その就職博覧会にて簡単な書類選考を済ませて、面接を設定する企業もあるようです。
1-2. 台湾企業には「新卒一括採用」がない
台湾企業には「新卒一括採用」というものが殆どありません。
「新卒枠」というものがない為、各企業が必要なときに必要な人材の募集をかけます。
必然的に、経験のない新卒の採用率は低く、新卒でも「何ができるのか」など能力や即戦力として働けるかを重視されます。
意識の高い学生は、インターンや必要な技術の勉強、アルバイトなどで経験を重ね、運が良ければインターンとして働いていた企業に就職する、というパターンも見られます。
2. 台湾の「転職」市場
2-1. 台湾における転職とは?
台湾で「転職」はキャリアアップの手段とされているため、割とポジティブなものとして受け取られています。転職回数が多いなど、日本ではマイナスと考えられそうな経歴も、経験 / 実績としてアピールされることが多いです。(日系企業さんが採用活動を行う際に戸惑う要素の一つだそうです)
台湾人の転職回数は極めて多く、長くて2~3年、早い人で1年以内で転職します。台湾労働局の調査によると1年以内での転職率は約40%です。
2-2. 台湾の転職活動における特徴
① なぜこんなにも転職回数が多いのか
理由として考えられるのは、「新卒一括採用」が無いからだと思います。
新卒の場合、能力が相対的に低いので自分の志望する企業には入れないケースが多いです。その為、多くの人が自分の目標企業・職種を求め、入社してから2年ぐらいのスパンでキャリアアップのため転職します。
② 転職時に「学び直し・学習期間」を設ける人が多い
台湾では転職回数の多さ、離職期間の長さに対してあまりネガティブなイメージはないため、さらなるキャリアアップを求め海外留学などに挑戦する人も多いようです。
③ 台湾人が使う転職手法
主に求人掲載サイトと会社HPの採用ページからの応募が大半を占めています。理由としては、この2つは採用コストが低いからだと考えられます。
台湾の求人掲載サイトに係る料金は年間約15万と言われています。(日本よりすごく割安ですね)
会社HPの採用ページに関しては、必要時の会社運用になるのでさらにコストがかかりません。
2-3. なぜ台湾ではこういった転職市場になっているのか?
まとめると以下3点が主な理由だと考えます。
「② 採用にコストをかけない」については、台湾の失業率と関連があると考えています。
台湾の平均失業率は4%弱、日本に比べて高い傾向にあります。失業率が高いが故に、台湾の採用市場は買い手市場となっているのかもしれません。
こういった点からも、日本の売り手市場と大きな違いがあるようです。
3. 台湾人の就職における志向性について
これまで、台湾の主な就職状況について簡単にまとめさせていただきましたが、そんな中で台湾の就職状況も少しずつ変わり始めています。
求職者の志向性の変化について、従来〜未来の動きを考えてみました。
※こちらの志向性については、新卒就活・転職どちらも該当するものを挙げさせていただいてます。
3-1. 従来の就職における志向性
従来の台湾で求職者における志向性は以下になると思います。
① 安定性、高年収を求める
やはり第一志望はネームバリューや高年収で選ぶ方が多いです。
大企業以外に、日本でいう国家公務員など安定した就職先を目指す方も多いです。
② 外資系はずっと人気
台湾は日本に比べGDPが低いです。そんな中で、国民の中に潜在的に(国内だけでは成長が難しい…)という意識があるのではないでしょうか?そのため、幼少期から海外市場でも活躍できる人材に育てることに、親はもちろん国も力を入れています。
余談になりますが、台湾人の英語力や語学力は本当に高かったです・・・。
③ 高学歴な人ほど海外にでていく
前項と同じになりますが、国内では仕事のシェアが限られており、大きなビジネスは難しい、と考えられています。
さらに理由挙げるとすれば、海外に出た方が給与は数倍高くなるという点も影響していると思います。
3-2. ここ最近変化してきた志向性
そんな中、いま台湾ではベンチャー企業に就職する人が年々増えています。
大学時代、周りの友人はベンチャーへ就職する人が本当に多かったです!
なぜベンチャー志向の人が増えてきたのか、自分なりに理由を考えてみました。
① 教育 / 研修環境がある
台湾のベンチャー企業において、中小企業より教育 / 研修環境がしっかりされている会社がほとんどです。
ポテンシャル採用的な意味合いで、「育てる」という概念を持った会社が多いようです。海外ベンチャーの入社オンボーディングを取り入れているのではないでしょうか?
② 自己成長の幅が広がる
こちらも同じく、ポテンシャル採用を実施しているところが多いため、新卒でも面白い仕事をさせてもらえる機会が大企業よりあるからだと思います。若いうちにどんどん経験したいという想いから、優秀な若い世代が今ベンチャーに集まっているようです。
③ 社会問題への意識
台湾は長年の外来政権による支配など歴史的な背景から、いち国民としての意識(ナショナル・アイデンティティ)が高く、全国民の社会問題や国際問題などへの関心はすごく高いです。
※余談になりますが、ちょうど今週末にも台湾で住民投票が行われました。詳細は省きますが、ここ数日はFBやInstagramで投票についての考え、投票の仕方などの投稿で埋め尽くされていました(←台湾ではよくある光景です)
ベンチャー企業も社会問題など向けたMissonやValueを置いている企業が多く、実際に台湾で結果を残しているベンチャー企業もそういった背景の企業がほとんどです。
(例:「Wemo」シェア電動スクーター事業で排出ガス、資材投棄などの解決を目的としています。)
こういった背景から、社会課題への意識が強い学生や人材がベンチャーに就職することが増えてきました。
④ 海外志向
海外のノウハウを積極的に取り入れたり、海外に進出&海外企業と協力しているベンチャーの比率が多いため、チャレンジしたい方が増えています。
⑤ 著名人の宣伝効果
有名創業者・若くて有名な官僚大臣(ex.コロナ対策で知られるオードリー・タンなど)が積極的にスタートアップを推しているようです。スタートアップ博覧会などのイベントも最近はよく行われています。
(台湾は政治参加も積極的なのもあり、若い層の官僚はベンチャー企業などへのアプローチを行うことも多いです。)
4. 最後に
簡単に日本と台湾の比較を表にすると・・・↓
経済状況や国際社会での立場、もしくは文化などたくさんの要素が影響しあい、採用という市場にも国によって大きな違いがあると感じています。各国にあった新しい採用市場や手法がこれからもどんどん生まれてくるのではないでしょうか?
今回は思いつくままに台湾の採用市場を紹介させていただきましたが、自分もポテンシャライトの一員として、新しく生まれる「採用」におけるノウハウをどんどん紹介していけたらと思います!
皆さんいかがでしたでしょうか?
今回のブログでは当社の採用/人事組織系支援について触れませんでしたが、もしご興味がある方はお気軽にお声掛けください!
台湾・中国など海外展開をご検討されている方がいらっしゃいましたら、少しでもご支援できるかと思います。是非お気軽にご連絡ください。
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