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防音対策に使える資材が石膏ボードしかない場合は

住宅などの建築現場で、急に施主から「生活防音」を目的としたオプションを相談されて、予算が殆どないと言われたらどうするか?

現場の担当である施工業者の監督者または設計担当の建築士は、どうしたら良いのでしょうか。

大半の現場監督・建築士は「石膏ボードを二重に重ねて対処」しようとします。ところが、これは他の記事でも触れたように逆効果になる周波数帯が生じることになり、大きなマイナスです。

本稿では、主に二つの方法を推奨します。これは究極の「お金がいないときの最終手段」です。

特性の異なる素材を挟んで弱点を緩和する

すでに施工された石膏ボードのうえに石膏ボードを重ねる前に、落ち着いて、つなぎ目をアクリル製樹脂コーキング材でシールします。

次に安くて薄いカーペットの下地などに使用するフェルト材を探します。必ずポリエステル繊維のフェルト材を探してください。厚さは、3ミリから6ミリ程度。

これをタッカーで石膏ボードの上に張り、別の石膏ボード9.5ミリまたは12.5ミリを重ねて施工します。これで弱点が緩やかになり、石膏ボードの得意な周波数帯を中心にして遮音性能が全体的に向上します。

あとは表層の石膏ボードのつなぎ目をパテ処理してから、壁紙仕上げすればいいです。天井でも壁でも有効です。

合板を活用する

もしも合板を一枚ほど重ねる予算が捻出できるのであれば、上記と同様にコーキング材処理をしたあとで、厚さ4ミリ以上の合板を重ねて張ります。※合板はコインシデンスが緩やかなので、石膏ボードとは異なる遮音性を持っています。

使用する合板は、シナ合板、ラワン合板、ラーチ構造用合板(針葉樹)ですが、お勧めは「ラーチ構造用合板」です。

針葉樹で出来た合板は、広葉樹よりも柔らかく好都合です。

以上、緊急的な二つの方法を提示しましたが、予算的に有利な方を選択してください。くれぐれも、焦って石膏ボードを単純に二重張りしないように注意してください。

きっと、木造の現場では役立つと思います。

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