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ステイホーム需要で変わった防音設計と工事

約4年前(2019年)までは、私が担当する東京・神奈川方面の防音工事現場は、私自身も出向いて現場をチェックしていました。
ところが、緊急事態によるステイホーム需要で、提携先と明確に役割分担する業務スタイルに変化しました。
これによって、対応できる防音工事の現場が増えました。

そして、必要に応じて、私の仕事場(国立音楽大附属小学校の近所)において、初回限定の無料相談と防音相談(有料コンサルティング)を行い、ウェブサイト・メール・電話による打合せを併用しました。
私の担当は音響・防音設計、提携先建築士の担当は音測定簡易調査(道具は私の所有物)および現場管理です。
*工事中の状況は担当建築士が画像を転送し、私がPCを見ながら指示を送ります。
職人は全て提携先の社員なので、担当建築士が現場を指示したほうがスムーズに行きます。

主なテーマは「木造住宅の生活防音」「木造音楽室・防音室の音響・防音施工」にしぼり、マンションは提携先の紹介案件に限定しています。

生活防音の案件の変化

生活防音としては今までは新築木造住宅が多かったのですが、3年前から依頼者(施主)が使用する自宅併設の仕事場の防音対策が増えましました。
ご家族への配慮だけでなく、近所からの騒音対策を目的とした施工も増えています。
仕事場は夜遅くテレビ会議や電話での打合せがあり、防音レベルも木造防音室の薄型防音構造と同等の性能が要求されます。

特に木造に最適な防音材と設計仕様が不可欠ですが、施工要領を忠実に守りながら丁寧に施工してくれる職人の存在が大きいと思います。

仕事場の用途は、木製品・彫刻工作室、RPGを含めた音楽の録音室・テレワークの防音室、RPGを含めたウェブサイトのプラットフォームデザイン・プログラムをPCで作るための防音室、テレビ会議が出来るテレワークのスモールオフィスなどです。
*私の依頼者には原作アニメのアニメーターやプロデューサー、プログラマーも居ます。TVアニメやライトノベルからアニメ化された作品があります。

音楽ではRPGに使用するテーマ曲を担当する作曲家は、自宅の仕事場PCで作業することが増え、これも比較的新しい需要だと思います。

木造の防音設計は相見積りを辞退する

一般的な専門業者は、相見積りの現場において提案書を提示して仕事を契約するという方式ですが、防音職人は相見積りは提携先の紹介がない限り辞退しています。
それは、私の作成する提案書(計画書)は、他の業者に比べて詳細で現場の状況や構造に応じて細かく検討して作るからです。そのまま流用されると、かなり困ります・笑。ただし、具体的な施工要領や指定する防音材がなければ想定する防音効果は出ません。
*他の専門業者は、私が約30年間見てきた限りでは、どこの業者も金太郎飴のような設計仕様で面積規模だけで見積書を作ります。とても木造の特性を考慮している内容には見えません。

ちなみに、木造ピアノ防音室においては、他の専門業者が提案する防音壁は約20センチから25センチ程度の厚さです。天井と床の防音構造を合わせると厚さは約30センチ以上になります。
防音職人の既往の事例では、標準防音壁は9センチから12センチ。天井と床の防音構造は合わせて約9センチから10センチ程度です。
設計内容がかなり違います。

なお、私が計画書を他の業者に見せないように依頼者に伝えたにも関わらず、流用されたとき、他の専門業者は「こんな薄い防音構造でピアノ室が造れるわけがない。ぜひ我社にご依頼ください。」と言ったそうです・笑。
もちろん、この依頼者からの再相談はお断りしました。約束を守れない相談者の案件は辞退します。

業務スタイルが変化しても、私の提案内容は変わりません。施主のご予算を考慮しながら費用対効果の高い提案をするだけです。限られた空間をできる限り狭くしない防音構造を計画することが基本です。

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