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ピアノ室の防音相談

昨年から今年にかけての「木造ピアノ防音室」のご相談は、東京及び近県では圧倒的に「ピアノ教室の先生」からの依頼が多いです。

これは5年以上前の状況とは変わってきています。以前は個人の一般的な趣味の音楽室の依頼が多かったのですが、最近は様変わりしました。
考えられる理由は、景気が余計に悪くなり、個人の施主は中古のボックス型防音室を利用されるユーザが増えたことと関係があると思います。

プロピアニストはボックス型防音室は使用しない

プロピアニスト・ピアノ教室の先生は音楽の専門家ですから、音響も重視するためボックス型防音室を使用しないと、相談者からお聞きしました。音響が良くない割に費用対効果が良くないということが主な理由です。
それに木造ピアノ室に重いボックス型防音室を置くと、床の補強工事やデッドスペースなどの問題が有り、評判が良くないのです。

ただし、グランドピアノ以外の楽器でしたら、広い部屋にボックス型の防音室を設置して利用されている音楽教室の先生も居られます。その場合は、内部の音響調整をDIYで対処しているようです。

値段ばかり気にする無料相談が少なくない

もちろん、ご予算が確保できなければピアノ室の防音工事は出来ないので、金額を重視されるのは当然ですね。
問題は、専門業者への相見積り依頼で金額だけで判断されるかたが居ることです。内容を評価しないで、知名度や見積金額だけで評価するのはリスクがあります。

私の防音相談では、ある有名な専門業者や楽器メーカー代理店が施工したピアノ防音室のリフォーム相談があります。
それは、他の専門業者が失敗した状況を改善する防音設計・施工の依頼なのです。防音職人の問合せにはセカンドオピニオンとしての相談も来ています。ただし、ご予算を殆ど使い切った段階での対策は、最低限の音響調整とDIY防音材による音の減衰効果を出すことが主な目的になります。

私も、開業してから20年が経過するので、もう「無料相談で実績づくり」をする必要はありません。
無料相談は、元契約者や提携先の紹介案件しか行わないのですが、どうしても他の専門業者の設計内容・工法では問題を解決できない事情がある場合に限って、初回限定で仕事場での相談をお受けしている状況です。
*これも私の日程が空いている時だけです。

薄型防音仕様の需要

木造ピアノ室の半分程度が約6帖から8帖程度の部屋にグランドピアノを設置するものです。
物理的に分厚い防音構造の設計・施工では対処できません。

例えば、約6帖のピアノ室において、厚さ18センチから20センチの防音壁で施工すると、施工後には約4帖程度の広さになり、ピアノが配置できなくなります。
このため、木造であっても「薄型防音仕様」の設計・施工は大前提になります。これが主な理由で「防音職人」のほうへ相談が来るのです。

ただし、薄型防音設計は決して安くはならないです。難易度が高くなる分、検討時間がかかり、施工する現場の職人や管理する建築士の力量が問われます。腕の良い職人の単価は高めになり、人件費は普通のリフォームに比べて増額になります。
この点をご理解いただきたいと思います。

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