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防音工事の金額と効果

防音工事の対象となる部屋が狭いほど、できるだけ薄い防音構造が要求されるため難易度が上がります。
ですが、専門業者によっては費用対効果や金額がかなり差が出ます。専門業者・専門家の力量は、狭い部屋の生活防音や音楽防音室の設計・施工内容、防音効果を見れば明らかになります。

防音工事の金額が安いときは要注意

一般的に防音工事(新築・増改築・リフォーム)の費用が他の専門業者に比べてかなり安い場合、主にいくつかの理由が考えられます。
①専門的な防音材の使用量が少ない又は使用していない
*石膏ボードを多用している仕様は要注意。複数の周波数帯において弱点が生じる。
*吸音材にグラスウールを使用する(吸音率が低い)。
*遮音パネルを天井と壁に使用する(コインシデンスや隙間から音漏れ)。
*音響が悪化したり、壁・床の共振により防音効果が低下する。
②下請け業者(代理店など)に丸投げしている
*元請けが現場をチェックしないで、ピンハネする。
③最初から全ての現場に対して防音設計仕様が同じである
*現場の状況や特性を考慮しない金太郎飴のような防音設計。
*音源や楽器などの音の特性に応じた設計が行われていない。
などのリスクが潜んでいます。

木造には最適な防音設計・施工要領がある

現場の間取りや近所などへの防音対策に対応したレベル設定は木造とコンクリート構造では異なります。
構造体の遮音性や固体音伝播の特性が異なるため、建物構造によって防音設計仕様を、現場ごとに検討するのが基本です。
すべての現場において同じ設計仕様を適用することは、費用対効果や防音構造の適正な厚さ・重量そのものを無視することになります。

例えば、約6帖程度の木造ピアノ防音室において、分厚い防音壁や天井・床の厚さ(マス)に頼る設計仕様・施工は、物理的に無理があります。
できる限り薄い音響・防音構造が要求される現場において、建物構造や間取り・工法、防音室の用途などを踏まえてフレキシブルに対応する必要があります。

特に木造音楽室は建物用途に応じた細かい設計仕様・施工要領を検討する必要があり、遮音にシフトした力任せの対策は費用対効果の低い防音室となります。天井裏や床下空間、壁内の通気構造など木造の在来工法を生かした防音設計が私(防音職人)の理想です。

木造の現場は机上の理論式と防音効果が乖離する

蛇足かもしれませんが、木造防音室においては特に、経費を節約して資材(防音材を含む)のグレードを下げると、メーカーの製品資料よりもかなり遮音性能が低下します。
基本的に防音専門業者が流用している古い計算式は、資材の特性や防音材との相乗効果だけでなく、硬質系遮音材の弱点であるコインシデンス及び共振のリスクを殆ど考慮していないという欠陥があります。

このため、費用対効果どころか想定される防音効果が出ないため、思わぬ失敗に繋がります。机上の理論は現場の実例をもとに補正していかないと使えません。
目先の費用ばかり気にすると、一生の買い物を台無しにする場合がありますので、ご注意ください。

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