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中学生時代

私には課題があった。

まず、中学に上がったら、いじめっ子ともクラスが変わるだろうから自ら生まれ変わろう。

満を持して中学生になる。
が、地元集中とはこういうことを言うのか、なんと私をいじめていたその子とまた同じクラスになってしまうのであった。

オーマイガー!!

だが、もうこれは笑い話とする。
私は生まれ変わるのだ。

まずは、クラブ。
文化部ではダメだ。
明るい運動部に入るべきだ。
(ただのイメージ)
バレーボール、バスケ、ソフトボール…
ダメだ。どれも小学生で皆んな経験がある。
既に実力の差があり過ぎだ。

中学生でみんなが初心者で同じスタートが出来るもの…

これだ!!テニス部だ!

と、言う理由で私は軟式テニス部に入った。
これは正解だった。

身体を動かし、私は性格も少しずつ明るくなっていった。
同じクラスになってしまったいじめっ子も、他に興味を持つことが出来たのか、もう私をいじめることはなくなっていた。

そして、もう1つ。
バンドを組むこと。

日本の世の中的にも、既にバンドブームが訪れていて、アイドルバンドからビジュアルバンドなど色んなジャンルのバンドが多くデビューを果たしていた。

再びメンバーを集めた。
私はギター。
ピアノを習っているあの子をキーボードに。
歌が上手いあの子がボーカルだ。
後、ドラムとベースは仲良しのあの子とあの子。
同じ学年の女の子5人を集めた。

ここからどうしたもんか。
とりあえず、エレキギターとエレキーベースを手に入れよう。
ドラムは流石に購入は難しい。
でもスティックは買っておいてくれ。と伝えた。

私は早々に貯めていたお年玉を握りしめ、楽器店で真っ黒いエレキギターを購入。
恐る恐る自宅へ帰る。
この日に限って父が既に帰宅していた。
父は私の背負っているギターケースを見るなり、なんだそれは。とこっちに持ってくるよう指示した。

なんだ、買った初日に親に取り上げられるのか、叱られるのか、、、。

と、思った矢先、取り上げたエレキギターを手にした父は、おもむろにケースから取り出し、ギターを構えるとすぐに演歌だったがソロギターを弾き出した。

え、弾けるの!?

しかも、やや上手かった。
なんだ、叱られるのかと思ったが逆だった。
あまりにもサラッと弾けて格好よかったのだ。その演歌でいいから教えて!と懇願した記憶がある。

ちなみに父はミュージシャンはしていなかったが、若い時に大胆な骨折をしてしまい長らく入院をしていた際に、暇だったのでその時に練習したそうだ。

そう言えば、スーパーカブの前でギターを構えた若かりし頃の父の色褪せた古い写真を見たことがあった気がする。

メンバーと、ドラム以外の楽器も揃った。
後は、ドラムと練習出来る場所があればいいのに、、、使えるガレージも知らないしなぁ、、。
中学一年生の私はまだスタジオという存在すら知らないのである。

まだバンド練習を一度もスタート出来ないまま、毎週末、私はギターを背負って友人宅に集まりバンドミーティングをしていた。
バンド名を決めたり、練習する楽曲を決めたり、ライブをする場所を決めたり。
多重録音でラジオの真似事をして番組を作り録音したりもしていた。
(この頃、やっている順番がおかしい事にも気付いていなかった。)

ある日、ショッピングセンターをメンバーでブラブラしていた時のこと。

一瞬、遠くの方に透明なガラスの向こうに演奏しているミュージシャンが見えた。

え?
私は駆け寄った。
何これ?なにこれ?

音は聞こえないが少し狭い部屋の中で、演奏しているバンドの人が居た。
周りを見渡す。
受付カウンターを見つけた。
駆け寄って説明を受ける。

ここはレンタルスタジオ。
有料で2時間単位で使用可能。
室内にはドラムと各アンプ、マイクが設置。
楽器を持参いただくだけでバンド演奏練習が出来るとのこと。

ここだ!!
ここなのだ!!
求めていたものがそのままのサービス内容で既にあるじゃないか!!
ドラムもアンプもあるだと!

これには衝撃的過ぎて、発見したスタジオの前でみんなで万歳をした。

すぐに練習し始めれるぞ。

バンドスコアの楽譜を購入。
ギターもベースもドラムも譜面に記載されている。
要はTAB譜というやつだ。

誰もその譜面の読み方、解読の仕方を知らなかった。
音楽の先生にも聞いた。が、知らないと言われた。

うーん。
私はギター片手に一晩中譜面を睨んでいた。
はっ!五線譜と思っていたが、ギターのTAB譜は六線譜で、ベースのTAB譜は四線譜じゃないか!
それに、音符についている数字はもしかして。
という事は………

分かった!!
分かったぞ!!

もう、夜が明けていた。

一晩かけて解読したTAB譜の読み方。
翌日すぐにドラムとベース担当のメンバーに説明した。

そして、1週間後にスタジオを予約。
こうやってバンドがしたい!と思った小6から1年程かかってようやく練習が始まったのだ。

弱冠12・3歳の女の子達が集まってスタジオで練習している様は、はたから見ても滑稽に映ったんじゃなかろうか。
その頃の練習模様を収めたカセットテープも残っているが聞けたもんじゃない。
が、青春とエネルギーがいっぱい詰まった楽しさが残っている。

たまに別バンドのお兄さんが、私達の練習中のスタジオを乗っ取り、1曲演奏されるというハプニングもあったが、逆にその時の楽曲は忘れられず、同じ楽器で演奏しているのにこんなにも音が違うのか!と衝撃を覚えたりもした。

譜面をメンバーに配布する為、学校に持参した日に抜き打ちで持ち物検査があり、学校では必要ないと没収された時もあった。
返却してくれなかったので再度購入することがあったりで、先生を恨んだりもした。
(マンガ本じゃなく譜面なのに!!)

こうして、中学時代はテニスクラブとバンド練習に明け暮れる3年間を過ごす事になる。
もはや、それ以外のことを思い出そうとしても何も思い出せなかった。

つづく。

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