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個人会社時代

旅から帰ってきた私は、とりあえず働く気が満々だった。

前店で一緒だった先輩ともう1人と3人で会社を作った。
先輩の知り合いのバイク修理会社の工場の二階を間借りして、装飾し、そこを居場所にした。
当時まだパソコンが一般家庭には普及してはなかった時代だ。
まずはレコード音源をCDに変換する事業から始めた。
当時、Macの先駆けでMacintoshを扱っていた。どでかいやつだ。

何十枚のフロッピーディスクでOS入れていた記憶がある。
工場の二階はやはり都合が悪く、次は先輩の自宅を大工の私の父が改装し、簡単なオフィスに作り替えた。

そこに昼間通いながら、生活費を稼ぐ為に夜はラウンジでホステス業もした。
それでもまだ飽き足らず、ラウンジ後に、知り合いがオープンし始めたショットバーの終了する夜中から明け方までバーテンとして入らせてもらったりした。

それでも元気だった。
殆ど寝ずでも働ける元気があった。
音楽のこと、お酒のこと、全部やりたかった。
仕事をしているという感覚ではなく、普通にやりたいことをやっているだけの感覚だった。全くしんどさなど感じなかった。

が、そんな生活は長続きしなかった。
少し空いた時間ができてしまい、自宅に帰ってホッと休んでしまったのだ。
気が付いたら1時間オーバーしてしまっていた。
寝てはいけない時間だったのに寝てしまったようだ。
そして、ショットバーの入り時間に1時間遅くなってしまった。

終わった。

一回の失敗が命取り。
クビになってしまった。
自分のミスだから仕方ない、勿体ない事をしてしまった。
許してくれなかったというよりは、生活を変えなければまた同じ事をするだろう。という事だった。

そうやって、失敗も繰り返しながら、有り余るエネルギーを片っ端からやりたい事へと消費していった。


つづく。

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