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私の中の柔らかい場所17

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あれ??どうしよう

こういう時って、、、、??

随分長い時間に感じたけど、おそらく2、3分だろうか

彼の唇が首元に近づいて、髪をそっとかき分けてキスをした。

思わず身体の芯が熱くなり、その先の展開を期待してしまった。

彼の唇は再び私の口元に近づいた。

少し躊躇して顔を背けようとしたが、あっという間に彼に唇を塞がれた。

どの位の時間だったか分からないが、あっという間に太陽は沈んで太陽の強烈な光は消え夜の帳が降りてきた。

少しの肌寒さが、彼の肌の温かさをより感じさせた。

あれ、これは現実なのか夢なのか

ふと見上げるとブルーグレーを濃くした様な色の空に、細い三日月が見えた。

甘くウットリする様な香水の香りに誘因され、彼との距離を離れ難くした。

遠くの砂丘の方で、走るバギーの音が聞こえた。

そっと彼の身体を手で押し返した。

バギーが数台砂丘を駆け降りたり登ったりしながら

こちらに近づいて来た。

座る私達の4、5メートル先をバギーが通り過ぎて行った。

その後、ブルーグレーの空がゆっくりと色濃くなる様子を見つめながら、私達は色々なとりとめの無い話しをした。

彼の名前はタカユキ

彼の家族の事、私の以前の仕事の事、

ついこの前の事なのに、日本での生活が遠い昔の事の様に感じた。

空の色がブルーグレーからやがて墨の様な黒さになり、もうそろそろ帰ろうか?と言う雰囲気になった。

「砂漠にはいつまでいるの?」

彼の質問に私が即答できないでいると

「男ができた?」と聞かれた。

「男、、、?そう言う言い方もできるけど、何だかフィーリングが合わない感じがあってね。もうそろそろ、海のある街に移動したいとも思ってて」


「海か!僕も海が見たいと思ってて!もし行き先が同じなら、アパートメントをシェアしてもいいね。ドミトリーは何か落ち着かないし。」と彼の突然の提案にびっくりした。

「同じ部屋って事??」という私の問いかけに彼はハッと気づいた様に

「あっ、ごめん!何かさ、初対面だと思えなくて図々しい提案しちゃったよね。勿論、嫌なら無理にとは言わないし忘れて」彼は申し訳無さそうに美しい目でこちらを見つめた。

さぁどうする私?

目の前の美しい男性の誘いに、乗るか乗らないか心が揺れていた。

「いい提案だね!いつ出発するかは、少し考えさせて。明日の夜には決めるから。」

私が返答すると、ホッとした様な表情を浮かべ彼は「分かった!じゃ明日連絡を待つよ」と言いながらそっと立ち上がった。

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