【夢喫茶＊Dream Cafe＊（４）夢のメッセージをひもとくためのヒント】

Kさんがみた夢

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「私は見知らぬ街を一人で歩いていました。私の専門分野の大会が開かれている建物を探していたのです。
 
しばらくしてやっとその建物にたどり着きました。灰色で味気ない箱型のビルです。入り口を探そうとするのですが、なかなか見つかりません。
 
建物の周りをぐるりと周ると、外階段が見つかりました。私は仕方なく、まずはその外階段を使って３階くらいまで上がってから、ドアを開けてビルの中に入っていきました。

ビルの中の階段をさらにどんどん上がっていくと、ある階にたどり着きました。そこではたくさんの研究者たちが白衣を着て、何やら実験をしています。
 
私はそれを横目で見ながら、さらに上へ上へとのぼっていき、とうとう屋上までたどり着きました。私は屋上の端まで行くと、柵にもたれかかって眺めを楽しむことにしました。
 
すると突然、建物全体が揺れたような気がして、私はびっくりして柵にしがみつきました。ビルがぐらん、ぐらん、と左右に揺れながら少しずつ傾いていくような気がします。
 
私はその時、何を思ったか建物が揺れるのに身を任せて、自分も揺れることにしました。柵から手を離して、右足、左足、と交互に体重をかけながら、ぐらん、ぐらん、としていると、ちょっといい感じがしてきます。
 
しばらくして、私は、最後に両膝を少し曲げてから、ふわんと飛び立ち、空を飛んでいきました。」

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上記を読んで、「あっ、私も空を飛んだ夢を見たことがある」と呟いた方も多いかもしれませんね。これはドリーム・カフェ参加者のKさんがある朝みた夢ですが、今日はこの夢を例にとりながら、夢のひもとき方の流れについてご紹介します。

（＊この夢喫茶シリーズでは自己理解を深めるためのヒントとしての夢解きについてお伝えしています。カウンセリングやコーチングなどの対人支援職のトレーニングを受けた方以外は、あくまでもご自分自身の夢のメッセージを受けとる際の参考にしていただけたら幸いです。）

一箇所に絞ってみていく

夢の意味をひもとくやり方はたくさんあって、一つの夢をいくつもの方向から見たり、どこまでも深く掘り下げていくこともできるのですが、今回はその中でも夢解釈初心者の方でもやりやすい方法をご紹介します。それは、

気になる部分を一つだけ選び、そこだけを丁寧にみていく

というやり方です。

まず、自分の夢の中に出てくる以下の中から、特に意外な感じがするものや印象的なものをひとつだけ選びます。

⭐️夢に出てくる物や人などのキャラクター
⭐️風景や特に印象に残ったイメージ
⭐️特別なフィーリングや感覚
⭐️自分や他の登場人物がとっている行動や態度
 

 Kさんは「空を飛んでいること」と「ぐらんぐらんと揺れている感覚」が特に印象に残ったとのことでした。どちらも意外な感じがするし、普段の自分だったらしないことだったので、二つのあいだで迷っていましたが、最終的に後者を選ぶことにしました。
 

何を意味しているのかを探ってみる

 
夢の中で気になる部分を選んだら、今度はその部分にはどのような意味が隠されているのかを探っていきます。

このブログシリーズの初回の記事でお伝えした通り、夢はシンボルやストーリーを通して間接的にメッセージを届けようとすることが多いです。そこで、夢を文字通りに受け取るのではなく、

「このイメージは何を象徴しているんだろう」
「この部分を通して夢は本当のところ何を伝えようとしているんだろう」

と一歩深める段階が必要となります。
 
例えば、前回の記事でたくさんの動物が出てくる夢を見たSさんは、一番気になる部分として「ライオン」を選びました。そしてSさんにとって、夢の中のライオンは、「ゆったりどっしりした冷静さ」の象徴とのことでした。
 
Kさんの場合はどうでしょうか？Kさんは目をつぶって「建物の揺れに合わせて自分もぐらんぐらんと揺れている感覚」をもう一度思い出しながら、最終的に、それは「何かを信頼して任せきっているようなあり方」のことなのでは、と思い至りました。

夢のメッセージを昼間の人生に生かしていく

ここまでのところでKさんが選んだ夢のこの部分は、
 
「『信頼して任せきる』というようなあり方やものごとへの態度についてもっと意識していくとよい」
 
とKさんに伝えようとしているらしい、ということがわかってきました。 

せっかく夢からのメッセージが届いたので、意味がわかった、というところでやめてしまうのではなく、「夢のメッセージを自分のあり方や生き方にどのように生かしていったらよいのかを考える」というステップも大切です。
 
例えばKさんの場合だったら；
 
🌞今の人生の段階で「信頼して任せきる」というようなテーマが出てきてい　るだろうか
🌞もしも「信頼して任せる」ことが苦手だったり、あまりしてこなかった場合は、どのような形でこれからの人生に取り入れていくと良いだろうか
 
などを探っていくとよいかと思います。Kさんにそのあたりを伺っていくと、次のようなことを語ってくれました；
 
Kさん：「私は元々、きっちりと段階を踏んで物事を進めていくタイプで、流れに任せる、みたいなことはあまりやってこなかったと思います。職場では、ベテランになってきた部下にもいちいち指示を細かく出してしまいがちですが、そろそろ自分は一歩引いて任せてみる、信頼して待ってみる、ということをしていった方がよいかもしれないですね」
 
そしてKさんは最後に、
 
「あっ、夢に出てきた箱型の灰色のビルは、『これまでの自分』の象徴で、それは味気なくてつまらなくなってきているっていうことですよね。そこから飛び立っていくといい、ということかな」
 
と、夢全体の意味を自らひもときながら、何かに深く納得したようでした。Kさんの中で何かが大きく変化しつつあるようですが、夢はKさんに「この変化の過程を信頼していくとよい」ということも伝えているかのようです。

まとめ

 
いかがでしたか？今回はひとつの夢を例にとりながら、

夢の中で一番気になる部分をひとつだけ選ぶ　→ その部分を通して夢が何を伝えようとしているのか探る　→ 　夢のメッセージを日常や人生に生かすための一歩を踏み出す
 
という夢解きの流れをご紹介しました。

夢の意味を探る部分は少し難しいかもしれませんが、正しい答えはないので、色々と想像を膨らませていってみてください。次回気になる夢や長い夢をみたら、まずは「どの部分が一番印象に残っているんだろう？」というところから始めてみてはいかがでしょうか。　　　　　

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ここまでお読みくださりありがとうございました。