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誰から見ても僕が盗んだとすぐにわかる状況だった。けれど八重子おばさんは、僕を問い詰めた…
お金を手にした八重子おばさんは、ベッドを下りると畳に正座した。それからしわくちゃになっ…
母の部屋に入って、大きなベッドと窓の隙間に盗んだお金を投げ入れた。そこからは人生で初と…
ばれやしないかという恐怖と、泣かせてしまったという罪悪感と、なんとかうまくこの場を切り…
まさか泣き出すなんて思ってもみなかった僕は、これまでに味わったことのない罪悪感に襲われ…
その後、八重子おばさんが財布を開けて 「ああっ」 と声をあげた。今まで一度もそんなことが…
こういうことがあった。 母が病院通いを始めて入退院を繰り返し始めたのが小一か小二の頃だったろうか。 八重子おばさんは住み込みのお手伝いさんで、母親代わりだった。 ある日、僕は八重子おばさんが預かっている家の財布からこっそりお金を盗んだ。 当時流通していた五百円札を数枚、多分けっこうな金額だったと思う。しかもそれが初めてではなかった。何度目だったかは覚えていないが、財布からお金を盗むことがクセになり始めていた。