見出し画像

MLB到達のメリル・ケリー

メリル・ケリー(Merrill Kellyhttps://www.baseball-reference.com/register/player.fcgi?id=kelly-003ken)はアリゾナダイヤモンドバックスと2年550万ドルで契約した。
来年31歳 ここまで3Aが最高だったケリーがなぜここまで高評価されたのか。

ケリーのKBO4年間の成績 (ERA/WHIP/AVG)

15 : 11勝10敗 4.13/1.34/.270 (181.0回)
16 : 09勝08敗 3.68/1.32/.268 (200.1回)
17 : 16勝07敗 3.60/1.31/.272 (190.0回)
18 : 12勝07敗 4.09/1.26/.250 (158.1回)

ケリーを視察するため韓国を訪れたチームはかなりいた。古巣TBを始めBOS SD PIT PHI KCなど10球団以上は視察したであろう。しかし、獲得したのはあまり関心が無いように見えたARIだった。2年550万ドルを基本線に21、22年のオプションを全更新されると4年1440万ドル規模になる。しかもマイナー降格の拒否権付き。

**ケリーのARI年俸推移
2019 : 200万ドル
2020 : 300万ドル
2021 : 425万ドル(オプション)
2022 : 525万ドル(オプション)

*2021年 バイアウト(50万ドル)**
ケリー自身アリゾナは地元みたいなものだ。生まれはヒューストンだが高校大学はアリゾナだからだ。
ケリーはまた他の選手とはまた違った履歴の持ち主。2007年にBAL 2009年にCLEからの指名を断って2010年にTBに入団。有望株というほどでもないが2014年に3Aで28試合 9勝4敗 ERA2.76と好投。メジャー昇格は間違いなしではあったがレイズの特殊な環境がそれを妨げた。レイズはどのチームよりも投手層が厚く、先発枠の競争も他より激しいチームであった。また、当時25歳と若手と呼ぶには微妙な立ち位置であった部分もまた昇格できなかった部分でもあるだろう。
そこでケリーはアジア経由からMLB入りを目指すことにした。見知らぬ環境に不確実な未来、即ち結果を残せないとクビにされる世界に飛び込んだのだ。
この賭けには見事成功した。4年間で48勝32敗 ERA3.86今季は筋肉痙攣もありイニング数は減ったものの729.2イニングを4年間で投げた。普段の温厚な性格から一変し、投げる時は勝負強さを見せた。
ケリーはKBO初年度(2015)はフォーシームの平均球速は89.5マイル(144.1km)に過ぎなかった。しかし、今年は平均92.4マイル(148.8km)まで上がった。4年間で4.7km向上と確実な進歩を遂げ、かつMLBの平均球速が92.7マイルと平均球速の水準まで達したのだ。
ケリーを間近で見ていたSKのパクユンソン戦略育成チームマネージャーも球速向上した点を指摘した。「韓国に来てから球速が2〜3マイル上がった。チェンジアップは前から良かったけど球速向上でカッターの威力も上がった。」

威力向上が奪三振率にも変化

15 [K/9] 6.91 [空振り率] 22.2

16 [K/9] 6.83 [空振り率] 22.6

17 [K/9] 8.95 [空振り率] 24.8

18 [K/9] 9.15 [空振り率] 25.3

韓国に来る前は単調だったケリー。しかし来韓後は5つの球種(フォーシーム カッター スライダー カーブ チェンジアップ)を自在に操る投球スタイルに確立した。特に、昨年から投げ始めたカーブは大きく発展を遂げた。ここに球速上昇でカッターの威力がさらに向上した。

ケリーは成功するのか

では無事にケリーはMLBでも1年間フルに先発で活躍できるのか。前述のSKパクユンソン氏は「スタッツは疑わない」と語る。
「ただ、KBOのストライクゾーンは左右に広いことでケリーが得をした部分が大きかったMLBのストライクゾーンは上下に広く左右は狭い。変わったストライクゾーンに神経を使った投球になりそうだ。もう一つ重要なのはボールの配合。KBOではカッターをスライダーのように右打者の外側に投げていたことで空振りを誘っていた。しかし、MLBは内角に投げて外したり打ち損じさせて打球を捕球してアウトにするために使う。ケリーがこのような変化にどう対応できるのか注目したい。」

*KBO(枠線黒)とMLB(枠線オレンジ)のストライクゾーンの違い比較

ケリーは先発として起用されるだろう。今、ARIは先発整理をしている。コービンはナショナルズへ、シェルビー・ミラーはノンテンダー、グレインキーはトレードのオファーを聞きつつ放出を狙っている。また、ウォーカーはTJからリハビリ中だ。

トニー・バーネットもケリーと同じくアジア→MLB入りした投手だ。東京ヤクルトで6年在籍し、その後TEXと2年契約して好投したことは記憶に新しい。

しかし、バーネットはケリーとは違い中継ぎ投手だ。寧ろ、ケリーがお手本としないといけない投手はマイルズ・マイコラスだろう。

マイコラスは3年間巨人に在籍してカージナルスと2年1550万ドルで契約した。今シーズンオールスターにも選出される活躍で18勝4敗 ERA2.83 200.2イニングと活躍した。アリゾナは打者有利なので多少は劣った成績になるとは思える。私達アジア野球とMLBを見る者からすれば見守らないといけない投手が増えたと言える。

#MLB #KBO #NPB #メジャーリーグ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?