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循環経済(サーキュラーエコノミー)の実現に向けた中間報告が公表されました

経済産業省は、日本での循環経済(サーキュラーエコノミー)の実現・強化に向けた「成長志向型の資源自律経済戦略の 実現に向けた制度見直しに関する 中間とりまとめ」を発表しました。


1. 将来の資源枯渇の問題

日本は資源自給率が低く、多くの資源を輸入に依存しています。国内での資源確保が難しい状況にあり、特に石油、天然ガス、レアメタルなどの資源については、輸入に大きく依存しています。

また、世界的な資源需要の増加、特定の国への供給集中による地政学リスク、廃棄物処理の困難性、資源制約・リスクなどは、日本の経済安全保障にも大きな影響を与えています。

 このように、資源の枯渇や供給不安は、日本の産業、経済活動、さらには経済安全保障に直接的な影響を及ぼし、日本の持続可能な成長を妨げる要因となっています。

2. サーキュラーエコノミーとは何か

近年、上記課題を解決する政策の1つとして、サーキュラーエコノミーが注目されています。
サーキュラーエコノミーとは、経済活動のあらゆる段階で資源を効率的・循環的に利用し、ストックを有効活用しながら、サービス化を通じて付加価値を最大化する経済システムを指します。これの対義語が「リニアエコノミー」です。リニアエコノミーからサーキュラーエコノミーへの転換が、わが国での喫緊の課題となっています。

サーキュラーエコノミーの実現のためには、天然資源の消費を抑え、廃棄物の発生を抑制し、持続可能な経済成長を促すことが重要となります。再利用、リサイクル、リメイクなどの3R活動を通じて、資源効率を高め、環境への負荷を減らすことを目指します。

3. サーキュラーエコノミーを普及する上での課題

まず、消費者や企業のサーキュラーエコノミーに対する理解・認識不足が挙げられます。サーキュラーエコノミーの重要性や具体的な取り組み方法について、まだ広く知られていないのが現状です。

また、グリーン素材や再生材の価格が高く、バージン素材に依存していることも、サーキュラーエコノミー実現の足かせとなっています。
環境配慮型の素材や技術の導入に対する初期投資が大きく、特に中小企業にとっては負担が重い一方、負担軽減策も十分ではないため、サーキュラーエコノミーを促進するためのインセンティブが不十分と言えます。
結局のところ、現状は、企業の自主的な取り組みに依存していると言えます。

さらに、資源循環を支える技術やインフラの整備が遅れていることも課題として挙げられます。廃棄物の分別・回収システムやリサイクル技術の開発が十分ではなく、また、インフラが未整備であることがネックとなっています。

4. 課題の解決指針

上記課題を解決するための現状の方針としては、以下の5点が挙げられます。
①認識向上と教育
 消費者や企業に対する教育・啓発活動を強化します。サーキュラーエコノミーの重要性や具体的な取り組み方法について、広く周知し、理解を深めます。

②法制度の整備
再生材利用の義務化、エコデザイン規則の導入、ガイドライン策定などを行います。法的枠組みを整え、企業がサーキュラーエコノミーに取り組みやすい環境を整備します。
例えば、バッテリーや自動車部品などにおいて再生材の使用を義務付ける規制を導入し、資源循環を促進します。特定の製品や素材に対して、再生材の利用を法的に義務付けるなどの規制が考えられます。

③技術開発とイノベーション
資源生産性の最大化を目指し、技術開発や新産業の創出を支援します。サーキュラーエコノミーに必要な技術やインフラの整備を促進し、企業のイノベーションを後押しします。

④市場促進
再生材の需要創出、供給強化、品質向上を図るためのインセンティブ付与や認証制度の導入を進めます。再生材市場の発展を支援し、サーキュラーエコノミーの実現に向けた市場環境を整えます。

⑤連携強化
産官学のパートナーシップを形成し、情報連携プラットフォームの構築を進めます。企業、政府、大学が協力し、サーキュラーエコノミーの推進に向けた連携体制を強化します。

日本政府としては、今後も、サーキュラーエコノミーへの移行と持続可能な成長の実現に注力していくものと思われます。新たなビジネスチャンスの生まれる分野と言えるのではないでしょうか。

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