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「茶道」を何と読む?Chadoがなぜグローバリゼーションにつながるのか

茶道は「さどう」と読むのでしょうか、「ちゃどう」とよむのでしょうか。
一般的には「さどう」と読む事が多いように思います。裏千家ではChadoと英語表記しており、この「ちゃどう」と読む意味を考えました。
今回は、「ちゃどう」という読み方が、なぜグローバリゼーションにつながるのか?を説明します。

はじめに

茶の湯のはじまりは、鎌倉時代に中国から「茶」が日本に運ばれてから、その喫食方法も含めて茶の湯として伝わってきました。
室町時代には、豪華な道具を用いるきらびやかな茶の湯から、簡素にした侘び茶(わびちゃ)が作られ、千利休が侘び茶を大成したと言われています。茶道とは、それまでの茶の湯に「一期一会」「一座建立」や「もてなしの心」などの精神的な要素を盛り込んだ形として、千利休の時代から作られたものと、私は解釈しています。
450年と脈々と続いた現在、茶道を各宗派ではどのように読んでいるのでしょうか。

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いろいろな宗派の茶道の読み方

茶道には、いろいろな流派があります。
利休の流れをくむ、表千家、裏千家、武者小路千家、それから、遠州流、宗偏流、薮内流、江戸千家、大日本茶同学会など
それぞれの流派の英語サイトから、茶道の呼び方をひもといてみました。
表千家(Chanoyu、Sado)、裏千家(Chado)、武者小路千家(way of tea)、遠州流(Sado)、大日本茶同学会(Chado)

茶道を何と読むのか?の問いの答えは、「さどう」でも「ちゃどう」でも正解のようです。

「ちゃ」と読ませる意味

ではなぜ「ちゃどう」とあまり聞きなれない言い方があるのでしょうか。

ご存じの通り、茶は、植物のチャの木の葉っぱを加工したもので、飲料になります。
茶葉は中国が原産で、大陸を渡ってインドに広がり茶が栽培されました。
1600年代に、イギリスの植民地にあったインドの茶を、イギリス女王がたいそう気に入り、東インド会社にて茶を貿易するようになりました。

中国では茶を「ちゃ」といい、インドではおなじみの「ちゃい」。トルコ語でも「ちゃい」、ロシア語も「ちゃい」のようです。
海路をわたってイギリスではTea、フランス語はThe、とTの語音になります。(ドイツ語、イタリア語、スペイン語なども)

このように茶葉のグローバリゼーションを追いかけると、「ちゃ」または「て」の音がグローバルには分かりやすいということです。
なので「ちゃどう」と読ませる時の「ちゃ」はこの語音から用いられたようです。

「さどう」と「ちゃどう」を考える

茶道の記載がある小学校の教科書に、茶道(さどう)とふりがなが振ってありました。(数年前の情報のため現在は未確認)
茶を「さ」と読ませる、昔からの語音が一般的なので、茶道を「さどう」と読む方が、日本では親しみを持ってもらえるかもしれません。

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一方、茶道のグローバリゼーションの視点からとらえるとどうでしょうか。「ちゃどう」とあえて読ませることは、世界の人々がなじみのある音を用いた戦略として意味のあることと感じます。

おわりに

Chadoがなぜグローバリゼーションにつながるのか、おわかりいただけましたでしょうか。茶葉の世界への伝達と語音をみてみました。

余談になりますが、どの国の茶(飲料)も、茶色です。緑茶、抹茶は日本特有のものです。
この日本特有の、緑色のお茶、抹茶を点てて、もてなす「茶道」は”Chado" と海外に紹介されるのかもしれません。
グローバル商品のネーミングに悩むとき、茶道Chadoの呼び方の経緯をヒントにしてみてはいかがでしょうか。


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