超個人的・和嶋慎治の生んだ名歌詞
ペテ美セレクト(一般的な感性なもので至って普通かもしれない)の人間椅子・和嶋慎治の生み出した名歌詞を勝手にまとめていく。
Twitterで書いていた人と被ってしまうところも度々あるが、私も好きなのでお許しを。
まぶたの奥で微笑んだ
三原色の残像
そのまま冷たいくちづけ……
【ブラウン管の花嫁】
人間椅子らしからぬ美しい表現、ゆったりしたメロディ。厨二病真っ盛りの自分には正直堪らない歌詞。統合失調症の男が画面に映る女性にそっと口付ける場面なんて言葉で聞けば幻想的だが、現実なら相当怖い。
優しい顔をした お前が欲しい
綺麗な声をした お前が欲しい
こっちへ来い
一緒に来い
恐れず来い
迷わず来い
芳一
【芳一受難】
間奏の般若心経に隠れがちだが、歌詞は中々にストレートな愛を歌っている。
平家の怨霊は只々、芳一の琵琶の音に慰められたいだけなんだろう。曲調に合わない寂しい詩。
あぁ 甘い記憶
寄せては返す 夢の中
あぁ 数多の恋
我忘れじの慟哭の歌 相剋の家
帰りたい帰りたくない
帰ろかな帰るのよそうかな
【相剋の家】
この歌詞にはひたすら共感してしまった。
和嶋氏とは親子以上に年が離れている私も、こんな気持ちを抱えて生きている。
嫌なことばかりでは無い。甘い記憶が自分をひたすらに痛めつけてくる。
この後に「恩讐の母」という歌詞があるが、これは言い当て妙である。きっと誰しも母親には大き過ぎる恩があるせいで、その影のように恨みのような後ろめたさがぴったりと付いてくる。
「修羅囃子」というマイナー過ぎるアルバムには入れておいてはいけないレベルの名曲、名歌詞だと思う。
真っ黒な薔薇で 俺を打ってくれ
滴る血潮で 息もつけぬ程
不埒な言葉を 傷に塗りたくり
昨日の俺とは 他人にしてくれ
【悪魔と接吻】
なんだこれ!マゾにも程があるだろ!と思ったが、この辺はまだマシな方である。
この後もエスカレートしていく狂気のSMプレイはなんだかコミカルですらあるように思う。
悪魔との接吻は意外にも可愛らしい感じ。
「ちゅ」ですもんね。
そして僕はあなたのベットに横たわり
いつの間にかあなたは絨毯で眠ってる
でもほら あなたの寝言と話していたら
僕の声があなたの声に変わってく
【甲状腺上のマリア】
「成り代わり」を歌った曲であるのは確かなのだが、それがいかにして行われたかは大した言及がない。(小指と薬指のソーセージを食べたからだと認めたくない。妄想であって欲しい。)
僕はあなたになることに陶酔を覚えていて、和嶋氏の歌声も甘い感じの響きがある。そこがまた狂気を増幅させる。
挙げ出したらキリがないので五曲で一旦打ち止め。官能的なものから生活苦までを凄まじい語彙力で綴る和嶋氏は、間違いなく鈴木氏にはない超越的な作詞の才があるのだと思う。
(でも私はスズケンの作る率直で過激な詩が相当好きなのだ)
次は鈴木氏の名歌詞をまとめてみようと思う。
曲数が相当絞られてくるから五曲は厳しそうだが。
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