「正義のためなら鬼となる」仮面ライダーアマゾン感想(ネタバレ有)

 お疲れ様です。オタえぼんです。
今回は仮面ライダーアマゾン(以下本作)の感想です。
 例によって例のごとくネタバレ有なのでご注意をお願いします。

1 原点回帰

 ヒロイックな路線のV3、更に濃いストーリー性を付加したX、次回作のアマゾンの最序盤は謎の組織ゲドンとの闘い、意思疎通ができない不気味さが残るヒーロー、「仮面ライダーアマゾン」。出会ったらどうしようもない怪人への打開策が不安定というのがなんとも薄気味悪い本作には原点回帰を確かに感じた。
 この雰囲気事態は徐々に薄れていくが、「仮面ライダーアマゾン」という異形を強烈に印象付けるものになったと思う。

2 アマゾンとまさひこ

 僕は仮面ライダーはヒーローであり、子供としっかり接するヒーローに優しさ、かっこよさ、良き兄であった時に深い感動を抱くのだが、それを番組全体として作り上げたのが本作だ。アマゾンと岡村まさひこ少年の交流をメインに本作は進んでいき、特に序盤はまさひこが言葉の喋れないアマゾンの心の拠り所となっていた。最終話の二人の別れには計り知れない感情があふれていたことだろう。
 この二人の関係のエピソードは多数あるが、僕は特に1話ではじめてアマゾンが変身したところが好きで、まさひこは変身したアマゾンを見て、仮面ライダーみたいだ!と叫びこの瞬間「仮面ライダーアマゾン」が誕生した。
 昭和ライダーの世界観は地続きなので1号~Xまでの存在をまさひこは知っている。それが世界を救った優しい異形であることを。その名をアマゾンに与え、変身前のアマゾンの名前と合わせてアマゾンライダーと呼んだところが特に好き。
 「仮面ライダーアマゾン」は既存ライダーと比べれば容姿がかなり特徴的だが、まさひこにとっては関係ない。一話での戦いを見て、彼はアマゾンに迷わず仮面ライダーの称号を与えた。仮面ライダーとは姿かたちより心に依りそうヒーローの称号だということを強く意識させられた1話だった。
 そして二人はかけがえないトモダチになっていく。アマゾンを中心に様々なトモダチが増えていく。アマゾンという作品のトモダチという言葉の大切さは視聴する毎に強く僕の心を打った。
 アマゾンとまさひこの絶対的な信頼関係は本作を楽しむうえで、アマゾンをヒーローとして描くために最重要なファクターだ。
 

 

3 アマゾン

 アマゾン、この男は優しい男だ!!いや、本当にもうそうなんだって。人殺しと蔑まれようとゲドンの悪事を自分のせいにされようとも助けを求める声にはわが身を顧みず立ち向かう。まさひこのピンチには今の今まで敵視していたバイクにも躊躇なく乗る。例え敵対したモグラでさえ、助け、仲間にしてしまう。そして一度恨まれたとしても最後には最高の笑顔で仲良くなってしまうのだ。
 そんなアマゾンでさえ、悪にはその腕を振るうのがまさしく「正義の為なら鬼となる」の言葉が似あう男だ。アマゾン。
 
 そして純粋な男でもある。人殺しの疑いをかけられた時には小屋を破壊し、自らがかけられた言葉である罵倒「馬鹿野郎!!!」とやり場のない怒りを叫び、昨日まで敵だったモグラを助け、はじめて会う人間にはまず笑顔でトモダチになろうとする。
 この優しい男を嫌いな奴はいない!!
 あれ?それを考えると「ディエンド、トモダチ」もあながち間違ってない演出なのか?
 

4 勇気の士 モグラ獣人

 仮面ライダーアマゾンでここに触れないわけにはいかない!!勇気の士、モグラ獣人である!!最初は、アマゾンの敵だったのだが、命を救われ徐々にアマゾンのトモダチになっていく。
 まさひこにも「モグラ」と呼ばれている。お調子者な面もあるのだが、気のいいヤツだ。
 そして彼が注目される見せ場は最期となる20話だ。キノコ獣人の毒の解毒剤を作るため、単身アジトへ向かうのだが、毒を浴びてしまう。なんとかアマゾン達の元へ帰るのだが毒の完成を待たずに力尽きてしまう。
 そんななか、まさひこは「モグラ!死んじゃ嫌だ!!!(この時の演技はすごい)」と泣き、立花藤兵衛、律子、アマゾンもモグラとの別れを惜しんだ。
 ここまでモグラを中心とした大きなエピソードはないのだが、アマゾンが見つからない時にまさひことモグラがコミュニケーションを取るとか少しづつ彼らは彼らでトモダチになっていった。僕もアマゾンの周りにモグラがいるのが当たり前だった。
 そのモグラの命をかけて作り出した解毒剤を飲んだアマゾンがキノコ獣人を圧倒していく様、本作でアマゾンの怒りをこれほど感じたことはない。仮面の下にどのような表情を浮かべているか・・・怒りのままにキノコ獣人もろともアジトを崩壊させると勝利の立役者の名を咆哮した。

5 仮面ライダーアマゾンとはヒューマンドラマ

 僕は本作をヒューマンドラマの側面を持っている。逆説的ではあるが、アマゾンは変身した場合ほとんどの相手に圧勝している。十面鬼、ゼロ大帝という大ボスポジションくらいしか彼を本格的に苦戦させていない。(ゼロ大帝はギギの腕輪のパワーを奪い変身を解除させるという作戦勝ちではある)直接的な戦闘に入ってしまえばアマゾンライダーは無敵だった。
 そんなアマゾンの試練とはやはり日本とのコミュニケーションだった。日本語が話せないから、自分の無実を証明できない。半裸という非常識な恰好だから人から信用されない。そういうのを克服していくことがアマゾンの試練だった。それは戦うことよりも困難だったに違いない。
 中盤からはアマゾンがしゃべれるようになるのでこれらは緩和されるのだが、アマゾンとトモダチのコミュニケーションを見ているのはそれはそれで楽しい。


 うん、改めて文章にしてみたが、僕はこの作品が大好きだ。
色モノではあるけどその中にはヒーローモノのノウハウが詰め込まれていた。強烈にこの作品が好きな人結構いるんじゃないかな、と感じた。
 仮面ライダーシリーズの最終回でもこれかなり考えさせられるものがある。正直、気持ちの置き場がないのだ。アマゾンとまさひこは再会してほしいんだけど再会してほしくない。このもどかしい感覚を視聴済みの方は共感してくれるはず。


 

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