見出し画像

15.悪魔 (The Devil) 《タロットカード解説》


悪魔 (The Devil) についての全体解説

タロットカードの大アルカナにおける「悪魔」のカードは、最も誤解されやすいカードの一つです。その象徴的なイメージは、恐怖や誘惑、束縛を連想させますが、実際にはこのカードは内面的な闇や、自己の欲望や依存を象徴しています。

悪魔のカードには、翼を持った半人半獣の悪魔が、二人の人間を鎖で繋いでいる姿が描かれています。この二人は、鎖に繋がれているものの、その鎖は緩く、実際にはいつでも外せる状態にあります。これは、束縛されていると感じる状況が、実際には自分の選択や行動によって解放できるものであることを示唆しています。

また、悪魔の下には逆さの五芒星が描かれており、これは精神性よりも物質的な欲望が優先されている状態を象徴しています。悪魔の存在は、自己の内なる欲望や依存がどのように自分を支配しているかを示し、その結果、自由が失われることを警告しています。

このカードは、恐怖や罪悪感、自己欺瞞、そして物質的な欲望に囚われている状態を表しています。しかし、それは同時に、これらの束縛から解放される可能性が常に存在することをも示唆しています。悪魔のカードは、自己の欲望や恐怖と向き合い、それを克服することで成長できるチャンスを示しています。

正位置の解釈

悪魔のカードが正位置で現れた場合、これは物質的な欲望、依存、恐怖、そして自己欺瞞が表面化していることを示しています。状況や関係において、自分が何かに囚われている、あるいは操られていると感じるかもしれません。しかし、この束縛は、外的な力によるものではなく、内面的な欲望や恐怖が原因であることが多いです。

恋愛における実占解釈

正位置の悪魔は、関係性が物質的な欲望や性的な魅力に基づいていることを示しています。この関係は、情熱的で魅力的な一方で、健全な感情的な結びつきが欠如しているかもしれません。また、依存的な関係や、不健全なパワーバランスが存在する可能性もあります。

人間関係における実占解釈

人間関係においては、悪魔の正位置は、誰かが他者をコントロールしようとしているか、または支配されている状態を示唆します。この関係は不健康で、両者にとって有害な影響を及ぼす可能性があります。相手との関係を見直し、自分が無意識に支配されている部分がないかを考える必要があります。

仕事における実占解釈

仕事においては、悪魔の正位置は、仕事に対する過度な依存や、物質的な成功への執着を示しています。この状態では、成功への欲望が強すぎるために、他の重要な側面(例えば倫理やバランス)が犠牲になっている可能性があります。仕事に対するアプローチを見直し、長期的な視点でのバランスを取ることが求められます。

お金における実占解釈

お金に関しては、悪魔の正位置は、金銭的な欲望や依存が強すぎることを示しています。お金に対する執着が、他の重要な側面を見失わせているかもしれません。また、リスクの高い投資やギャンブルに走る危険性も示唆しています。慎重な判断が必要です。

逆位置の解釈

逆位置の悪魔のカードは、束縛からの解放や、自己の欲望や恐怖を克服するプロセスを示しています。これは、内面的な成長や、自己の問題に対する新たな理解を得ることができる時期を意味しています。逆位置の悪魔は、自由を取り戻し、自己を制御する力を再発見するサインです。

恋愛における実占解釈

逆位置の悪魔は、関係性において束縛や依存から解放されることを意味します。これは、過去の不健全な関係やパターンを手放し、より健全でバランスの取れた関係を築く準備ができていることを示しています。新しいスタートを切るための良い兆しです。

人間関係における実占解釈

人間関係においては、逆位置の悪魔は、支配的な関係や有害な影響からの解放を示唆します。これは、自分を取り巻く環境や人々に対する新たな視点を持ち、自分自身の力を取り戻す時期です。過去の負の影響を断ち切り、新しい始まりを迎えることができるでしょう。

仕事における実占解釈

仕事に関しては、逆位置の悪魔は、過去の物質的な執着や、仕事に対する過度な依存から解放されることを意味します。これは、新たな視点を持ち、仕事に対するアプローチを見直す良い時期です。また、バランスの取れた働き方を模索するサインとも言えます。

お金における実占解釈

お金に関して逆位置の悪魔は、金銭的な依存や欲望から解放されることを示しています。これは、過去の無駄遣いやギャンブルなどのリスクの高い行動を見直し、より慎重で責任感のあるアプローチを取る時期です。金銭面での健全な選択をするためのタイミングです。

動画解説

タロットカードの大アルカナ15番「悪魔(デビル)」のカードには、奥深いシンボルが隠されています。まず、このカード全体を覆う黒色は、闇を象徴しており、その濃さがネガティブな意味合いを強めています。しかし、実際の主役は、悪魔ではなく、彼の足元に鎖で繋がれた男女です。

この鎖は実は緩く、彼らは自由になれるにもかかわらず、その居心地の良さや誘惑に負け、自ら進んでその状況に留まっていることを示唆しています。つまり、このカードは、自らが作り出した束縛に囚われる危険性を警告しているのです。

たとえば、暴力的な恋人から離れられない場合が典型的な例です。周囲から見れば「別れた方がいい」と明白な状況でも、本人は依存や固定観念に縛られて、それを認識できていないことが多いのです。

また、社会的な固定観念に囚われることもあります。たとえば、安定した収入がなければ生活できないと信じ、退職をためらったり、愛情を感じなくても長年付き合った恋人と別れられない、といった状況です。これも悪魔のカードが示す「誘惑に屈する」というテーマの一部です。

悪魔として描かれている存在は「バフォメット」で、ヤギの角を持ち、そのシンボルは性欲や貪欲さを表しています。キリスト教においては悪の象徴とされるヤギが、欲望に溺れる男女を表すのです。また、頭部の逆五芒星(デビルズスター)は、堕落や不運を象徴しています。

このカードは、6番のラバーズ(恋人たち)とも関連がありますが、ラバーズが禁断の果実を食べる前の状況を描いているのに対し、悪魔はその後、欲望に溺れ、快楽に囚われて抜け出せなくなった状態を示しています。

さらに、このカードは5番の教皇とも似ています。悪魔が手を上げる姿は、洗脳や神への冒涜を象徴し、手に描かれた逆さの「4」は皇帝の知性が反転し、ルール無視や限界、弱さを表すものです。

悪魔は、ギリシャ神話では「デーモン」として、ユダヤ教では「サタン」、日本では「鬼」として知られています。各文化で悪の象徴として擬人化され、教育的に戒めの役割を果たしています。カードに描かれた尻尾は知性の欠如を示し、男性の尻尾からは火が燃え移り、女性の尻尾には快楽と豊かさを象徴するぶどうが描かれています。

このカードのメッセージは、誰もが快楽や堕落に溺れる可能性があることを警告していますが、ウェイト博士は、描かれた男女がまだ知性を持ち、気づけば抜け出せると述べています。つまり、このカードは恐怖を煽るものではなく、気づきによって自由を取り戻せる希望を示しています。

このカードの数秘術的な意味も重要です。15という数は、1+5=6で恋人たちのカードに繋がりますが、堕落が深まった形として15番が位置づけられています。15は5+5+5ともなり、教えが過剰になれば洗脳となる戒めを含んでいます。また、7+8でもあり、戦車と力のカードに関連し、誘惑から抜け出すヒントを示唆しています。

正位置で現れた場合、快楽に溺れること、執着、欲望に負けることなどを示し、逆位置ではそれらの束縛から解放されることを意味します。このカードは、依存や執着から解放されるための気づきを促し、新たなステップへ進むことを後押ししているのです。

タロットカード解説マガジン



#タロットカード #タロット #占い #占い師 #悪魔

作家・ライター・デザイナー・アーチストなどのクリエイター活動を支援しています。いただいたサポートは、支援活動資金として大切に使わせていただきます。