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三割の魔力

三割…野球(baseball)好きには馴染み深い
数字ですね…
「一流打者とは三割打者のことである」という考えは昔から言われ続けていることであり、
現代野球においてもこの認識はあります。

三割打者とは、例を挙げると十回の打席(試行回数)で三回ヒット(成功回数)を打つ打者のことで
これより良い打者、つまり四割以上打つ打者は長いプロ野球の歴史の中でも今だに現れてはいません。baseball (MLB)においても稀です。

なぜこのようなことが起きているかを端的に
説明すると、ルール→ストライクゾーン・ホームプレートからマウンドまでの距離・守備側の人数・バットやボールの規格指定などによって三割程度までしか打てないように調整が続けられているからです。

どうして野球というシステムを動かしている人たちはこのようなことをしているのか、いろいろな説・考えがありますが、
私が一番しっくりくる考えはプロスペクト理論という行動経済学の理論です

プロスペクト理論とは、価値関数と確立加重関数の二つの関数で構成されている理論で、
心理学に基づいた不確実な状況下で
人がどのような意思決定を行うかを説明するものになります。

価値関数を野球チックに説明すると一年間でにヒットを100本打った選手と0本だった選手がいて翌年前者が110本、後者が10本ヒットを打った場合
増加したヒットの数(客観的価値)は一致しても観客から見た価値(主観的価値)は一致しないというものです。グラフにするとこんな感じです。

今回注目すべきは右上の部分、
利益(ヒット)が増えていっても嬉しさ(主観的価値)の伸びが悪いですね。
この部分をさらに詳しくみたものが確立加重関数であり、グラフにするとこんな感じです。
実線が客観的価値で点線が主観的価値です。

このグラフから分かることは観客は確率の低い事象は過大評価し、確率の高い事象は過小評価する傾向にあります。「10%⇒20%」に感じてしまったり、「90%⇒70%」に感じてしまうのです。

そして主観確率と客観確率が重なる基準点が”37%”です。
つまり人間は37%以下は過大評価、37%以上は過小評価して確率を判断していると見ることができますね。

話はちょっと脱線しますが昔のひとたちも感覚的にこのことを理解していたからこそ、ことわざに4以上の数字がはいったことわざが少ないのかもしれないと考えるとロマンがありますね。
三日坊主・早起きは三文の徳・石の上にも三年etc…

話はもどりまして
このことから野球というゲームのシステムを動かすにあたって、
四割打者が誕生できるようにルールを作ると
費用→試合時間や選手の肉体などと、効果→観客の喜びが釣り合わず
結果費用対効果が悪いという結論にいたることができました。
逆に現在の三割打者までしかでない野球界は費用対効果の高い状態を維持できているということですね。よくできてるシステムだ…

さて今回長々と三割打者について書きましたが、結局モリゾーがなにを言いたいのかというと、
このようにスポーツはただ体を動かしているだけ
ではなく、人間の本質に焦点をあてている部分もあるということを言いたかったのです!

今後も定期的にこういった題材でnoteをかいていきたいと思ってます。
このスポーツってどうしてこんなシステムなのという疑問がありましたら
コメント、DMなどで受け付けてます。

それでは 

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