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2021/10/06 『LETHWEI × UNBEATABLE』 後楽園ホール大会 感想(ZAIKO配信で視聴)

ZAIKOはトラブルが多かったらしくちょっと不安だったけど、筆者は幸いにもトラブルは遭遇せず。

各選手敬称略。予めご了承願いたい。

0-1.アンビータブルルール

オープンフィンガーグローブを着用

5分2R 判定あり インターバル2分 3ノックダウンシステム ダウン時2秒1カウント

有効打
・従来のK-1・キックボクシング系の立ち技での攻撃
・首相撲などの掴みからの攻撃
・投げ
・肘
頭突き※選手双方の合意が必要

禁止事項
・上記を除いた一般的なキックボクシングルールと同様

判定基準はおそらくトータル判断

0-2.ラウェイルール

拳にバンテージを着用

3分5R 判定なし インターバル2分 3ノックダウンおよびトータル4ダウン ダウン時2秒1カウント  ダウン時タイマーストップ
タイム有り
※1回だけ使用可能。2分の休憩を与えられる。該当ラウンド及び累計のダウンが1加算される・・・のだが累計をとったりとらなかったりする。選手、セコンドどちらが要求してもいいが最終ラウンドでは使用できない

有効打
・上述するアンビータブルルールの物すべて
頭突きは任意ではなく、デフォルトで許可
・流れの中での関節技※認められるケースはあんまりない
・流れの中でグラウンドでの打撃※認められるケースはあんまりない

禁止事項
・アンビータブルルールと同じ。 それに加えて以下のことがある。
・相手選手を罵倒する行為
・相手選手を過度に煽る行為※不必要にスリップしたり、逃げ腰の選手相手に来いよ!とする等戦うためのものは大丈夫な場合が多い。というか現地やこのご時世になる前は場内マイクでハヤー!(男なら行け!)の後押しがある
・リング上で履物を履くこと※靴下、サポーター等は良し
・選手、ドクター、セコンド以外の女性がリングにあがること


第1試合 福田泰暉(TEAM-STAKE)vs 中島光陽(氣魂道場)66kg契約

ラウェイinジャパン7(2018年2月)以来3年半ぶりの参戦となった福田(2Rタオル投入で敗北)WARDOGで4月に試合をしている。札幌の格闘技団体PFCに出場しMMA空手をバックボーンとしている中島(ご時世的な問題か2年ぶりの試合?)。

2020年試合どころか練習もままならない選手が多かった中で、立ち技では結構なブレイクスルーがおきていた(カーフの流行が最たる例か)。

福田は強烈なロー 的確なカーフを少なく混ぜつつフックを当てる。地力か仕上がりの違いか福田がKOで圧勝。勝利後ラウェイルールでの参戦をアピール。


第2試合 笠島竜二(GTジム) vs レバナ・エゼキエル(コンゴ民主共和国/BRAVE) 70kg契約

笠島は空手でキャリア100戦以上をしキックボクシングも12戦5勝としている。
エゼキエルはMMA3戦1勝の新鋭で風貌と違って19歳と若い。またラウェイ経験もありパンクラス、GRACHAN、巌流島、RIZINキックルール等にも出場したロクク・ダリの親戚でもある(当のダリは窃盗未遂で逮捕されてるらしいまぁ海外の団体だとエグい犯罪して実刑受けた後に普通に試合してるケースも多いのであんまりあれこれ言うことじゃないのかもしれないが・・)。

圧倒的にキャリア差があるが、意外にも技術で勝るのは若いエゼキエルの方。笠島のカーフ、ローを膝でしっかりとチェックしている。さらに前足で相手の前足の外側を蹴るなどの技術・身体能力を見せる。また膝蹴りのフェイントを随時見せてパンチがあたるように工夫してヒット数を増やしていった。
笠島も時折良い打撃(特にボディストレート)をヒットさせるも徐々に顔が赤くなって流血もしていく上に蹴りも減っていく。ハイキックも被弾(浅かったので致命傷にならず)。

エゼキエルの完勝という印象だった(なんかジャッジ一人おかしかったけど)。


第3試合 大村友也(掣圏会) vs 杉山和史(TURNING POINT) 65kg契約

負傷欠場したテレカ∞の代役で大村は10月1日に出場決定のスクランブル。杉山はヴィーガンを自称しているベテランファイター。

こちらも第一試合と同様に明らかに調整不足が見て取れて、大村が地に足つくまえに杉山がカウンターで仕留めた形に。

杉山は引退を表明。初出場のイベントでそれを宣言するの、なんというか独特のセンスを感じる。


第4試合 半田勝也(猛者連八幡支部チームキクリン) vs 内田ノボル(翔拳道) 無差別級

半田はアンビータブル旗揚げに続いて連続参戦。突破二冠王者 益荒男と宴でも王者のち地下立ち技無差別級の強豪。アンビータブル連勝・アンビータブルのエースの座を狙う。まだ27歳とヘビー級では若い。前回同様あまり身体を絞れてる感じではなく、パフォーマンスに不安。
対する内田は旧K-1にも出場経験がありアレクセイ・イグナショフから大金星をあげている。他にマゴメド・マゴメドフ マイケル・マクドナルド(同名のMMAファイターとは別人)にも勝利。埼玉県行田市・熊谷市で後進の指導もしつつ、本人も46歳ながら未だ最前線で戦い続ける。こっちもお腹が出ているがおそらく年齢によるものだと思う。実際10分間スタミナが切れた感じではなかった。

内田はデビルマンのアレンジ 半田はミッキーマウスのアレンジ でそれぞれ入場。・・・どういうセンス

百戦錬磨で世界を知る内田、テクニックは健在どころか下手したら技術は向上しているのではと思うようなパンチ 蹴りを見せる。重いパンチ 速いパンチ 遅いパンチとパンチだけでも素人目にもわかるだけでもいくつも使いこなし、強烈な膝蹴りを半田のボディに見舞う。ただキックボクサー故に頭突きというかバッティングを異様に嫌っているように見える。これは他ルールでベテラン故の弊害か。
半田は上述した頭突きは良い感じでローキックは良い感じに使えている・・・が明らかにその他では負けている。近距離での頭突きは有効なのだが、パワーや組みのテクニックでは内田が勝っていて頭突きをそこまで使えていない。
さらに内田の圧力と、身体を見た感じそこまで絞れてないのもあってガス欠気味。20歳上の内田よりも消耗も激しい。またオープンフィンガーグローブなのでブロックしてもすり抜けてパンチをもらってしまう場面も目立つ。

結果として内田の完勝。素人意見だが半田はもう少しコンディションを整えておくべきだった。また技術で負けている以上はステップで距離を外したり 斜めや横気味に組んで頭突きをあてたり 頭突きのフェイントを見せたりといくらかやりようはあったのかもしれない。


第5試合 佐藤光留(パンクラスMISSION) vs 大成(フリー) 90kg契約

佐藤はベテランのMMAファイター。プロの試合は52戦も経験。20年前にはお互い若手同士だったころに長南亮に勝っている。前回は負傷欠場したが、今回は出場。プロレスラーとしての活動も平行してるのが不安要素か
大成は16歳から地下格闘技をはじめて19歳でプロデビュー。期待されている新鋭だが5戦3勝2敗とプロの壁にぶち当たっている(最も現代MMAは覚えることが多すぎてキャリア10年くらいしてから本番みたいなところはあるが・・・)。契約からアンダー2kgのわりにそこまで絞れてる感じもなかったので適正は83kgあたりなのだろうか 大きくなる可能性ももちろんあるが

試合序盤のペースを握ったのは大成。前蹴り ローキック カーフキック ハイキック 膝蹴り ミドルキック 三日月蹴りとMMAファイターらしからぬ蹴りを多用。佐藤は面食らったか後手にまわる。MMAなら・・・ケージでなら・・・ここまで蹴りは多用できないが、残念ながらここはアンビータブル そしてリングである。
蹴りに対処しようと距離を縮めた佐藤だが、大成はまってましたと言わんばかりに掴んで膝蹴りを直撃させてダウンを奪う。
立ち上がる佐藤。ダメージはあるはずだが、意を決して前に出てパンチをいくつか効かせる。
しかし大成も被弾しつつも蹴り(特にカーフ 三日月)を当て込んだところで動きを鈍らせパンチをクリーンヒットさせて2度目のダウン。しかし佐藤まだ立ち上がる。
ただ粘りもここまで、続く大成の攻撃で佐藤は前のめりにKO負けしてしまった。

プロキャリア10倍違うという中でキャリアの圧倒的に浅い大成が勝利。これもアンビータブルか。
試合後に大成はRIZINそして海外への野望を表明。
・・・まぁいいんだけどね。掛けや踏み台でも有力な選手が参戦してくれるのはいいことなので。
筆者の超個人的な事情で言うと現代MMAがあわなくてラウェイに行き着いたところが強いので・・・

個人的に内田や半田と対決した時にどうなるか見てみたいが・・・


メインイベント  渡慶次幸平(クロスポイント吉祥寺) vs レバナ・デオグラシャス(コンゴ民主共和国/BRAVE)  ラウェイ・ルール 72kg契約 3分5R

ラウェイジャパンのエース渡慶次。K-1グループに参戦している南雲よりも倍以上のラウェイでの試合をこなし、現在の運営体制になったラウェイを日本で行えるのも渡慶次がいるからこそ。しかし、だからこそ今回のようなことにもなってしまったのかもしれない。
対するデオグラシャスは第2試合に出たエゼキエルの実兄。そして今回がプロデビュー戦。

まず結果を先に言ってしまうと渡慶次が最初のダウンを奪い エゼキエル陣営がタイム要求。タイム後にエゼキエル陣営がギブアップを宣言。
完全にミスマッチだった。これが今大会唯一のラウェイルールかぁと物足りなさが凄い。前回と違ってアンビータブルルールでの試合が良かったからプラマイでちょいマイナスくらいだけど。



残念だったこと(愚痴みたいなものなので注意)

スクランブルオファーの大村vs杉山は仕方ないとして、福田vs中島 渡慶次vsエゼキエルは事前にわからなかったのだろうかと思うくらいのミスマッチを感じた。

特にエゼキエルはプロデビュー戦だし、72kg契約ながら前日計量67.5kgと大幅にアンダー(70kg契約で試合した弟は69.85kgでパス。すでにプロで試合経験もある)。無理に体重を増やすくらいなら少ないままのほうが良いのは確かではあるが(ミャンマー人選手は超えなきゃいいくらいで平気で数kgアンダーでくる)、それにしてもアンダー4.5kgまでいく選手はミャンマー人でもあまり見かけない。
・・・というか公式でもこんなだし

キャプチャa

赤丸で囲ったように渡慶次は何kgでクリアしたか書いてある

キャプチャ

赤丸で囲ったようにデオグラシャスのところはなし ミスだと思いたい
※公開計量なので体重非公開ではない。無差別級の試合含めてしっかり計量している。

たとえば前回のジョナタン・バイエスもメジャー団体でのキャリアはそこまであるわけではなかった。ただバイエスは軍隊に所属経験がありアマチュア修斗から昇格 柔術の大会や沖縄やアメリカのローカルイベントも重ねた上で77kgでの試合を経験している。
渡慶次は72kgまで落とせる(身長を考えるとここが適正かもしれない)ところを75kg契約で事実上のキャッチウェイトだったので、ミスマッチにはならなかった。

ちなみに心が折れてのKO負けやギブアップなどは、ラウェイではよくあることなのでこれが特別に悪いわけではない。※ミャンマー人王者でもわりとある。
引き分けで両者に金メダルが送られるのも15分戦い続けるのってすげーぜって讃えるものだし。敗者にも銀メダルが送られるのも戦いの場で戦ったことだけでもすげーって讃えてるからだ。

今回どういう経緯でこのメインイベントが組まれたのかわからないし、ミャンマーから選手を呼べない、バンテージで試合するという格闘技の中でも特殊性の強い という状況で色々難しいんだろうなって勝手に思っている
わかるが、興行として、そこをなんとかしてほしいのが1人のラウェイファンとしての正直な思いだ。

ちなみに一番最初に書いたZAIKOのトラブルだが、ZAIKOで配信ということで不安がある声が多少あった(筆者も事故ってもいいから運営にお金をっていう前提で購入した)。またRIZINが最近配信トラブルもやらかしたのもあったのも影響しているかもしれない。
この辺を運営が予めケア(何らかの事故が起きた場合の返金方法や補填の有無など)をしておいたら、もしかしたらチケット購入がもう少し伸びたのかもしれない

面接時に「遊ぶ金欲しさに」と言いたい人生だった。