不妊治療いろいろ

さらに間を空けてしまった。現在本稿を書いているのは、予定帝王切開の前日@入院の病床である。

前稿で不妊治療について書くと書いて、次の稿が出産直前というのも怒涛のように思われるかもしれないが、実際怒涛の数か月間であった。

まず、お伝えしておくと、不妊治療は個別事情に多分に左右される。これを大前提として、読まれる方は、こういう体験をした人もいるのだな、くらいの気持ちで読んでほしい。

上記の個別事情というのは、
・母体側の事情(身体的・感情的)
・父親側の事情(身体的・感情的)
・受診する不妊治療医療機関の事情
・その他の第三者(親・義親含む)の干渉
になると思う。

母体・父親側の身体的事情というのは、生物的な年齢、生殖器の機能面の話である。一般に母体側は生物的な年齢が早い方が生殖に向いており、35歳を超えると高齢出産であり、妊娠・出産に色々とリスクが生じうるといわれている。但し、これは統計学的な話であり、実際に貴方や貴方のパートナーがどうか、については、その方自身の健康状態・身体状態に非常に依存する。女性の場合、若くても内性器の状態によっては妊娠しづらい体質の人もいる。

そしてこれは、実は、父親側も然りである。そもそも自然妊娠(Sexによる妊娠)を想定する場合、男性側の生殖能力、そのうち、勃起するか、持続するかといった物理的な面については年齢やストレス等による影響を受けやすい。ここに問題がないとしても、不妊治療においても、精子の活動能力など内性器的な面での能力低下が影響し得る。

したがって、二人の遺伝子をもった子を希望する場合、自然妊娠でいくにしても、不妊治療をするにしても、親となる男女それぞれの生殖能力(何等かの異常がないか)については、早期に確認しておくに越したことはないのである。なお、子を希望するかどうかは将来のことであるとしても、可能性を否定したくないのであれば、現状把握としては非常に有益である。状況が分かっていれば(定期的に検診をうけることは前提になるが)、ライフイベントの想定スケジュールを立てることも可能となるからである。仕事に忙しくて30歳になって妊娠を希望してみたら想定外に妊娠しづらく、結果、不妊治療にも時間がかかったということも防ぎうる。

次に、両親となる側の感情的事情である。
これはつまり、不妊治療についてどのように考えるか、である。医療機関にいって治療してもらってまで子を望むわけではない(自然に子を授からなければ二人だけでよい)という人もいれば、不妊治療によってでも子を得たいという人もいる。そして、不妊治療には費用・労力・精神力を要することも踏まえて、どこまで二人の意識が合致しているか、そこにギャップがある場合は、お互いにストレスになりやすく、ストレスはさらに妊娠に逆効果になりかねない。

この点について、子を持つことを少しでも希望する場合には、パートナーとなるべく早く希望を伝えておいた方が良い。身体的な確認と、感情的指向の不一致がある場合、それを受け入れてでも関係性を維持するか、という人生に関わる問題が生じるからである。そうすることによって、相手方のあなた自身に対する向き合い方もよく理解できる。

さて、おまけのようで結構重要なのが、第三者の干渉である。特に避けられない関係がそれぞれの両親(いる場合)である。妊娠・出産・子育て、どこをとってもストレスをなるべく排除した方がよいに決まっている。にもかかわらず、親による子への孫の期待というのは、いつの時代も変わらず強い傾向がある。わきまえている親や、もはやすでに諦めたという親は良いが、なかなかに子離れができていない親も世の中には存在する。そして、親の意識と子の意識というのは、そもそも別個のものなのに、無意識・善意で親の意識を押し付けている親も少なくない。一言でそのような親を黙らせる方法として考えられるは、ストレスが一番妊娠に悪影響だ、と教えて差し上げることである。妊娠は2人でしかできず、これをサポートできるのは医療機関しかなく、第三者にサポートできるものではないのである。

少々長くなってきたので、医療機関については、次稿で述べることにする。

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