小説「人間きょうふ症」26

 学校生活は、順調そうに感じられた。授業も静かだし、クラスメイトに何かされていることもないし。身体も落ち着いた様子だった。そんな生活を2週間ほど経った後だった。
 この日には午後に体育があり、朝早く来た私はロッカーを開け、体操服を取ろうと思った。しかし、体育着袋がどこにも見当たらなかった。そんなはずはないと思い、何度かロッカーの中を確認したのだが、それでもなかった。家に持っていった記憶もなく、どこかに忘れたのではないかと思い、体育館や更衣室へ探しに行った。さぐりに探ってみたものの、その痕跡がどこにもなかった。仕方なく教室へ戻り、体育は見学することにした。
 奇妙に思ったのはこれだけでなかった。英語の授業は移動だったため、終わってからお昼の弁当を食べるために自分の教室にあるバッグを開けた。すると、きちんと入れたはずのランチボックスが見当たらなかった。
 ここで第六感が働いた。この時、私は何かを察した。おそらく、クラスメイトがやったんだろう、と。ストレスを抱えてしまうのも行けないかと思い、クラスメイトに見られないように、人気のない場所へ向かった。
 すると、聞き覚えのある足音が耳の中に入り込んできた。

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