ことばとこころ

いわゆるカウンセリングとかコンサルティングというのは、言語を主媒体として行います。
でも、クライアントの発する言葉が、クライアントの心の状態と一致しているとは限りません。
カウンセリングは、心と言語をクライアント自身が一致させていく作業のお手伝いだなとよく思います。

「私はいいんですけど、子供がかわいそうで」
「あの上司さえいなければ、働きやすい会社なんですけどね」

クライアントがそう言った言葉だけをチョイスして、
「そうか、この人は困ってないんだ」
「そうか、上司が問題なのか」
と鵜呑みにしてしまうと、問題把握の深掘りができなくなります。
「お母さんは今の状態に困ってないけど、子供さんがかわいそうだと思うんですね」
「上司さんが変われば、何もかもうまく行きそうだと感じていらっしゃるんですね」
受けとめたり、返したりを繰り返すうちに、子供は事態をどう思っているかは一度も言葉にしたことがなく、辛いのはお母さん自身だということにお母さん自身が気づいたり、上司との関係性が問題なのではなく、「上司」という存在に対してご本人が勝手に期待しているバイアスが問題だと気づかれたりします。

言葉を使って思考を整理し、こころの深いところを言語化していく。
クライアントのその作業を少し後ろから見守る。
今日はそんな仕事をしています。

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