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生命保険でカネを貸す銀行が登場するところだった件

ウシジマくんも苦笑いするような銀行が誕生するところだった。

記事の中から引用すると、

吉村氏が企画した「全国区の個人金融専門の銀行」は「格差社会におけるマスリテール層の生活改善のための金融を展開する」とうたっていた。顧客に毎月10万円を貸し出し、返済は貸出金が上限に達するまで利息のみにとどめ、顧客が死亡したら死亡保険を返済に充てるというもの。低所得者を対象に死亡保険で返済させるというビジネスモデルだ。

https://biz-journal.jp/2021/12/post_266888_2.html

要は貧困層にたいして毎月10万貸し付けて、利息だけ回収して、元金は死んだら生命保険で回収すると言った内容だ。

CEOの肝いりだったみたいだが、流石に他の取締役がクーデターで止めたらしい。実行に移せば利益にはなっただろうが、多分人死にがでる。悪名の方が轟く。他の取締役達はナイス判断だと思う。

計算してみた

利用者は10万円借入の対価として毎月利息に加え、自身の保険料も合わせて負担することになるだろう。後々利息と保険料の2重苦で苦しむのは明白だ。

消費者金融のアイフルと提携するということで、おそらく利率は10%を超えるだろう。実際にアイフルの返済明細シュミレーションの上限が15%になっていたので、回収リスクが高い人に貸し付ける前提でMAXで計算した。

説明用に一部省略して表示。

雑な計算ではあるが、10万円あたりの月の利息は1,200円強だ。都度利息を返済する前提だと複利計算がなくなるので、単純に借入月数×1,200円をすると大体の支払利息を計算できる。

保険料は最終的に保険で降りて欲しい元金が不確定のため、一概には計算できない。おそらくは借入残高×○○%という形で出てくると思うので、一律月1万円計算は高すぎるとは思う。
が、ここにも保険会社の利益が多分に乗るだろうと思ったのでこれで計算した。利用者に選択の余地がない分、通常の生命保険に比べて割高になるのは間違いないと思う。

その結果、この借入を続けると73回目(7年目の開始時期)から借入金と利息等の合計が一致し、その月以降は財布に1円も残らなくなってしまう。この時点で借金は730万円に膨らんでいるのに対して差し引き手元に残っているのは324万円。

さらにこのまま借入を続けると、段々と借入金額より返済額が大きくなっていって、145回目(13年目の開始時期)から借入金で借りた額と同額を消費者金融に払ったことになる。
12年の月日を経て借金が1,500万円弱、手元の資金ゼロの債務者が出来上がる。

控えめに言って地獄。

実際こうはならないが

とはいえ、上の計算通りにはならないのは間違いない。
貸金業法によって借入れ上限は年収の3分の1までと決まっているので、どこかで上限に触れてストップをする。

対象者が年収300万と仮定すると、10ヶ月で追加貸付は終了するだろう。

しかし貸付が終わったからといって救われるわけではない。利用者に待っているのは月約12,000円強の利息+保険料の支払だ。しかも一生涯

ここに一つ罠があって、通常の借入れであれば当然利息+元金で一定の返済額を求められるのに対し、この借入は利息だけ払っていればそれ以上うるさく言われない。約束通りカネを返さず、指摘されたら不機嫌になるのは人として如何なものかとは思うが、催促だとわかっている連絡を受けるのも強いストレスのようなので一定のメリットになる。

ちなみに上の計算式通りに支払いをする場合、48回目(4年間)で借入額と同じ100万円ほどを業者に支払うことになる。元金は1円も減らずに。

ずっと利息を払うのも嫌なら元金を全て返済するしかないが、日常的にお金が足りないと感じているユーザーが元金を返せるとは思えない。そういう計算ができる人間はそもそも生命保険を担保にしないで普通に銀行から借りて計画的に返す

サブプライムローンとカードローンのハイブリッド

担保をとって資金を貸し出すという意味では、2011年に話題になったサブプライムローンの構造に似ているようにも思える。
が、あれは「ローンで住宅を買おう!返せなくなったら住宅を売ろう!地価はどんどん上がるから実質無料で住めるし、もしかしたら売却益もでちゃうかもよ!」みたいなウリ文句で、土地の値段は永遠に上がり続けるという前提だから出来た。

しかし日本は今30年も年収が横ばいの国なので、今借りて後で年収や資産価値が増えたら返すみたいなことは望めない。しかもこの月10万は投資資金じゃなくて運転資金。いいとこブランドもののバックくらいにしかならないだろう。

なので、サブプライムローン時みたいに計画が狂った!全く返せない!とはならない代わりに真綿でじわじわ首を絞めるような借金が残ることになる。多分多くのカードローン債務者のように、ボーナスやちょっとした実入りがあった時にちょっとだけ元金含めて返済し、また足りなくなったら申し込んで・・・という自転車操業が目に浮かぶ。

行き着く先

生命保険の手続きは貸金業者が代行してくれるサービス付き。

勿論こんな過激なことは業者からも言われないし、実際100万くらいなら人間なんとかなる事が多い。が、どうしても暗に上みたいなこと言われてる気分になること必須。

負け確定の利息費用

日常生活のためにカネは借りるな。銀行の利息を思い出せ。

今銀行普通口座の利息は0.001%。一年間100万預けて10円だ。
性格には国税と地方税が20.315%かかるから手取りは8円だ。

なのにこの借入で100万円の元金を返済しないと年間の利息支払額は16万円を超える。あまりにも効率が悪すぎる。

仮にこのお金を株に突っ込んでも、良くて運用益は7%くらいが平均だ。全然間に合わない。

今借金を考えている人へ

まずは家賃とか支出を見直せ。実家に住んでもいい。
通信費も削れ。携帯はMNVOにして、車も必要がなければ売れ。最悪軽にしろ。

それでもカネを借りるときは返済を本気で計算しろ。
最悪それを返せるアテを作れ。例えば資格試験を受けるために本気で勉強するために1年限定で仕事も何もしないためとかならOKだ。受かれば余裕で返せるし駄目でも勉強した事実で仕事には就けるから返済ができる。

結論

現取締役達に良心があってよかった。


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