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50. 高木芳徳『トリーズの9画面法』

 発想法にはいろいろと手を出してきた。赤羽雄二氏の「ゼロ秒思考」にはじまり、正統派のロジックツリーや教科書的なフレームワーク、アウトライナー、マンダラートなどなど。
 けれども、いざ実務となると、目の前にある課題を近視眼的に対処してきた。そして、それでそこそこやれてきていた。

 Kindleの日替わりセールでたまたま出会った『トリーズの9画面法』も、結局は頭の引出しのなかにしまわれたままになるのだろう、そう予感しながら読んでいった。

 トリーズの9画面法とは、画面を3×3の9つのマスに区切り、それを埋めていくというフレームワークの一種。
 同じ9つのマスから思考を広げていくマンダラートに近いが、中心から外に向かってアイデアを広げていくマンダラートと違い、トリーズの9画面法では、9つのマスにあらかじめ意味が与えられている。

 横の軸は、時間軸。左から、過去、現在、未来となっている。
 いま、何かの課題に直面しているとき、どうしてもその課題にどう対処するかという場当たり的な対応をしてしまいがちだが、過去、現在、未来という3つのマス、それも最初は空白のままのマスの存在によって、それらを埋めたくなる、もしくは埋めなければならないという気持ちになるのだ。結果、現在のその課題への対応も自然と複眼的になる。

 縦の軸は、包含関係にあるシステムの軸。左から、上位システム、システム、下位システム。
 この「システム」は、システム思考における「システム」に近いのかもしれない。身のまわりにある「システム」と呼ばれるものは、それが単独で存在しているわけではなく、その前後、上下に関係するシステムがつながっている。ぼくが経理の人間だからか、一番しっくり来たのは、経営管理システムという上位システムから、会計システム、経費管理システム、旅費精算システムといった下位システムへのつながりだった。

 この9つのマスの基本を前提として、膨大な事例を挙げながらトリーズの9画面法の説明が展開される。事例に紙幅の大半が割かれており、それらをきっちり読めてはいないのだが、見様見真似で9つのマスを描いてみるところからはじめてみるとしよう。

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