64. 浦川浩貴『なぜトランクルーム投資が注目されているのか? 自己資金100万円台ではじめる不動産投資』
2015年出版の『トランクルーム、コンテナ、バイク倉庫で儲ける方法』で語られていた「実質利回り20%」の世界。
利回り3%ぐらいあれば御の字の世界観からしたら、あまりに浮世離れしている。だから、慎重に検証すべく、トランクルームや貸しコンテナといった、いわゆる物置投資の本を探してみた。
ところが、ほとんど見つからない。あまりにニッチでまだまだメジャーではない分野なのか、それとも、再現性が著しく低い投資なのか。
数少ない類書が、2021年に出版され『なぜトランクルーム投資が注目されているのか? 自己資金100万円台ではじめる不動産投資』だ。
著者の浦川浩貴氏は、自身の運営する株式会社UKコーポレーションで投資家を募集する側の立場。『トランクルーム、コンテナ、バイク倉庫で儲ける方法』の千葉涼太氏が個人投資家の立場であるのと対照的だ。
第1章で将来への不安という問題を提起し、第2章で一般的な投資手法の難点を指摘している。例えば、預貯金はインフレへの耐性がない、株式はリスクが高い、投資信託は利回りが低い、アパマン投資はその魅力のレバレッジ効果を期待できない、コインランドリーや太陽光発電はもはや儲からない、などなど。ひとつひとつの話は納得できる。でも、本題のトランクルーム投資に入るまでに紙幅の半分を費やすのはどうだろうか。
後半から、ようやくトランクルーム投資の話がはじまる。
コロナ禍を経たいまでも、利回りは10%から25%ぐらいらしい。しかし、1000万円前後となる初期費用と、集客に時間がかかるというキャッシュフロー面がデメリットである。だから、区分単位で投資でき、かつ、キャッシュフローがマイナスになりがちの最初の1年間の広告費の負担が不要というUKコーポレーションで投資をしましょう、という流れ。ちなみに、『トランクルーム、コンテナ、バイク倉庫で儲ける方法』では、書名のとおり、屋内型のトランクルームと屋外型の貸しコンテナ、同じく屋外型のバイク倉庫を扱っていたが、本書ではトランクルームにのみ言及されている。
なぜトランクルーム投資が注目されているのか。
確かに、高利回り、しかもローリスクであれば、注目せざるを得ない。それでも、表舞台であまり見かけないトランクルーム投資にはどうしても二の足を踏んでしまう。
まずは、100万円ぐらいで試してみてもいいのかもしれない。
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