見出し画像

復帰半年、やらかし事件簿。

〜たまにはマジメな話もしなくちゃね〜

佐々木 順(渋谷で走る会)


1. 半年経ちました

 学生時代の同期からの二年越しの誘いを受けてCC7に参加してから半年が経ちました。最初はスポットのつもりでしたが、同宿先で新調されたトリムの在庫分を手にしたら気分が高揚。多くの方の御縁をいただき、昔取った何とやらでノコノコと戻ってきたのは、以前ネタにした通りです。

 以来、フォレスト・スプリント・インドアと一巡し、変わったもの、変わっていないものなど、一通り目にしました。タイムが遅いのは昔と変わりませんが、昔と違って今はそれなりに走り込んでいるので、走りをスポイルして余りある認知の力の低さを正視しなければいけません。

 メモ程度ですが、アナリシスも付け始めました。PDCAとGood/Badのみという簡単なものですが。幸いにしてまだ半年でレース数も少ないので、どこでどんなことを考えていたかをある程度再生可能でした。

 Twitterにも書きましたが、アナリシスで「〜ができなかった」を書くこと自体は原因追求にも大切と思いますが、「〜しない」では次のアクションプランになりません(これは仕事でも同じ)。やることをリスト化して、必要な場面でそのやることを引き出せなければいけない

 というわけで、1レース1フレーズの、やることリストです。
 初歩的なお話ですが、自分のメモとしてまとめておきます。

2. リスクを評価する(姫木ミドル)

 23/9/16 姫木ミドル「姫木平」 MAS S→1 ミス時間19:05
 15年ぶり、フォレストに限れば20年ぶりのオリエンテーリングの初レッグがコレ。今にして思えば、慎重に行くならコンタ沿いの道+歩測で穴から斜面を登る考えもあるのかもしれないけど、コンパス直進を選択。

 登りを意識しすぎたせいか直進が左にずれ、行けども行けども岩は現れず。距離感を叩き込む間もなく奥の建物群が見え、以後は行っては戻りを繰り返す、という典型的な現在地ロスパターン。気分が折れました。

 斜面の方向が変わっていることを手がかりして行き過ぎを認識するんじゃない?というのは、いま机上で見直しているからできることで、現地でそれを知るにはさらに数回の練習を必要としました。

 点状特徴物に直進で行くケースでは、そこに当たらなかった場合のリスク評価とセットで考えるべきで、ファーストチョイスはスピードを落とす。あるいはアタックの方向を変える(真下から攻めれば必然的にスピードは下がる)という、リスクを抑えるひと手間が必要と認識。

 でも、このレースの7→8は同じ点状特徴物への直進で難なく取ってるんだよな・・・いや、そんな確率事象的な評価じゃダメかorz

3. ルートを分解する(CC7蓼科)

 23/9/17 CC7「蓼科千駄刈の森」 5走(H) 6→7ミス時間6:06
 「B相当なんてウソだろ!」と叫んだレースで、7走がウムの原因を作ってしまったもの。ミス時間が大きいレッグは他にあるけど、教訓も作りにくいひどいレベルのものなので、こちらを載せます。

 現場でのプランニングは「手前の池に当てるように直進して左から回り、道に乗ったら南に走って岩を探す」だったのですが、直進が左にずれて池が見つからず、安全回路のはずの道も見つけられずにその先まで行ってしまう。さすがに行き過ぎと思って戻るも、道が見つけられずに右往左往、ようやく道の分岐でリロケして最初のプラン通り見つけたもの。

縦ハッチがほぼ全面。膝がおかしくなってしばらく走れなかった

 直前の3→4で比較的長い直進ができてるんだけど、途中に道をはさんでいてルートが簡略化されていることと、4が線状特徴物であったことを割り引かなきゃいけない。同じ発想で、道を使ってナビゲーション負荷を落とすべき局面。できないことやっちゃ、ダメだよね。。

 ちなみに、前日の姫木とこの日のCC7とも、直進がことごとく左にそれていました。遠くの特徴物を拾う練習が必要と痛感した次第。

4. 現地の特徴を地図に落とす(東工大)

 23/10/1 東工大スプ「国立大岡山公園」Long 7→8 ミス時間2:07
 復帰後初のスプリント。以前のパークには無かった人為的な立入禁止や、立体構造表現に苦しみました。中でもどうして間違えたのか、走りながらものを考えている状態に立ち返らないと分かりえないのがコレ。

 先に示したふたつはいわば「現在地ロスのあるある」なので他の方でも多くが経験しているはずですが、これからの話は(現行スプリントが初めてなので当然)聞いたことが無く、自分の認知の歪みを見つめるきっかけになりました。似たような経験されている方、ぜひお知らせください。

 7を脱出するときの考えは「左にふたつ建物を見たら左折し、右に見える建物の裏にある」だったはず。この感覚で走り出すと実際に左折したとき(青ペンで矢印入れた箇所)、その瞬間に右にある建物(青ペンでハッチング入れてある)がカウントから外れてしまい、右に見える建物(┫型になっている)の裏手を探しに行ってしまいます。建物の形状の違いはどこかに行ってしまい、この┫型の建物の周囲をウロウロします。

何かのきっかけで認知が消失する一瞬がある

 フォレストと違って修復不能なほどの道迷いではないはずなのですが、「ふっと意識が切れた瞬間に目に入った特徴物に飛びついて大ロスする」という症状に、以後のスプリントでも悩まされます。O-Mapに比べると特徴の乏しい(=複雑な認識を要求しない)NaviTabiではまず起きないミスなので、それだけオリエンテーリングが厳しい認知を要求し続けるスポーツだと認識を新たにしています。

 教訓として得るべき手続きとしては「地図上の特徴を現地に照らし合わせて確認」だけではなく、逆の「現地の特徴を地図に落とし込んで確認」となるのですが、ミスの起点が「当然そうあるべきだよね」という誤認知であるために、"迷わずに"誤った方向に行ってしまうので根が深いです。場数を踏んで、非言語の手続きを積み上げる以外に道は無いのでしょうか。

5. ルートを俯瞰する(銀杏杯)

 24/2/12 浦和高校部内杯「鐘撞堂山」決勝10→11 ミス時間4:51
 CC7以来のフォレスト。お誘いを受けて参加してきました(詳細はこちらの記事参照)。この日最大のミスは午前中にあるのだけど、今後の教訓を作りやすい方としてこちらを載せておきます。

 勝負どころの終盤ロングレッグ。事前にここのラップが一番速い人(現役生のみ)を特別表彰するという話があって「自転車の山岳賞かよ!」と思いましたが、フタを開けてみればそれを理解。それは山岳賞ではなくて、いかに最速なルートを見つけられるか、という相当メタなお話

事前に尾根線を有効活用と課題設定したけど裏目に。そもそも10と11が
尾根の同じ側にあるのだから登らないルート選択肢もあったはず。

 別記事にあるように、この部内杯はコースプランを外部委託していました。プランナーの意図としては登らずに、4〜3〜2の東側を通すことが意図だった模様(このため、10をもう少し南に置くことも考えていたと)。

 当日は上の画面からは外れている道走りがベストルート、自分と同じ尾根未知の選択が外れルートという議論に。おまけにその尾根道走りもきちんとたどれず、変なところで登ってしまう始末。上記のミスの半分は尾根道選択によるもの、もう半分はその道たどりもうまくできなかったもの。

 レッグ線にとらわれず、両脇を見たルート選択をするべきとはよく言われるところですが、これは今後に大きな教訓を残しました。

6. 履歴にとらわれないルートプラン(有栖川)

 24/2/21 麻布高校練習会「不思議の国の有栖川」リレー(XB)11→12
 12でペナっているためミス時間定義なし。日没後かつメガネが合わないという超絶悪条件だったとはいえ、東工大同様の重大な認知ミスが出たので、ここにさらし上げしておきます。

 10→11そのものは問題く、記載ルートの通りに見つける。ただし途中で道が二股になっていることを認識しておらず、道は自分が走っている1本しか無いと思っている。さらに11を出て12に行くとき、いま通ってきた道をまたがないと12に至る道に行かないはずなのにそれが認識から抜けている。

 結果的に、走ってきた道イコール12に至る道と信じて走り、13方向に行ってしまう。気がついたときには地図外の東側にある大きな建物に惑わされ、現在地ロストしてしまう。(地図北端を通ってリロケするけど、それでも別の問題で12には到達できなかった・・)

文字通りのワンダーランドに入ってしまった。

 こうなる原因は、東工大でもあった現地の重要な特徴を地図上に落とし込むことが出来ていないことのほかに、ルートプランがそこへ至る履歴の影響を受けていることではないかと思ってます。あるいは、現地でも地図上でも複数の特徴が見えているはずなのに、自分の処理に都合の良い選択肢しか見ないがために、見えていなかった正解への対応が遅れるとか。

 最終的には「何のためにコンパス持ってるんだ?」状態かも。地図が物理的に読めていなかったこともあり、帰宅後、それまでのメガネを捨てて度を上げたのをはじめ、デフケースを買い替え、サムコンを買いました。

7. 地図読みの情報量を増やす(ぶそう)

 24/2/26 上尾OLC大会「武相中学校・高等学校」1→2 ミス時間5:55
 初めてのインドア大会。会場に張り出された海外事例に「解けねえ!」という声が続出。本番のコースはそこまで特殊ではありませんでしたが、構造の読み取りには多くの時間を要しました。

 上位陣でも15%のミス率が出るように、特定のレッグで構造を読み解く作業は避けられません。ウィニング24分なので、その15%で3〜4分。これが自分の場合、3番までに11分近く、全体で16分を要しました。

 アタックの概念も現在地ロスも無く、曲がりだらけでトップスピードも継続しにくい。ミス時間のほとんどがルートプランニングに帰結される中でのこの数字は、認知の力の遅さと向き合うきっかけになりました。

たったワンフロアの距離が遠いのだ。ここだけでは見えないが、左方に行って1階まで降り、
右側の後者から登って1-54の右側の階段から上階に向かう必要あり。

 ここで出てくるのが「1回の地図読みで読み取る情報量の少なさ」なのだと感じました。前述の東工大や有栖川の例を出すまでも無く、地図から読み取ったことを現地化する、現地から読み取ったことを地図化するときに、ルートプランを完遂出来ないほどの重大な情報の欠落がありそうです。

 解決にはお絵描き練習なのだろうな・・運営者であれば、地図調査も一番いい練習会もしれない。以後のスプリント練習では、地図を読むときに「何を読み取るか」を問いかけながらやるようにしています。

Special Thanks

 というわけで、過去数回にわたって学生時代の会報そのまんまの飲み歩き記録みたいなものをタレ流しましたが、さすがにオリエン本体のヤバさに気が付き、今後のためのアクション集を作りました。

 フォレスト系の課題はブランクがあろうとも変わることは無く、昔を思い出しながらやるだけですが、ナビゲーションの本質を凝縮したようなスプリントではより認知の問題にフォーカスする必要を感じました。

 さすがに戻ってきたからには昼も楽しめるオリエンティアでありたいので、これからも皆様のお力を借りながらやっていこうと思います。よろしくお願いいたします。 m(_ _)m



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?